建設工事費の上昇

建設工事費の上昇は著しく、その上昇率は他の物価の値上りを上回っています。建設工事費の上昇は、工事の質の向上や工事条件の変化等にもよりますが、主として資材、労働力等の生産要素の価格高騰によっています。そしてセメント、鉄鋼、化学製品等の工業製品材料の価格が横這い、ないし下降ぎみであるため、需給の逼追している砂利、砂、木材等の資源材料の大幅な価格高騰によるところが少なくありません。資源材料への依存度の高い木造建築の上昇が特に大きいのはこの事情を示すものといえ、資源材料価格の大幅高騰は、値上りの少ない工業製品材料への依存を強めさせる要因の一つとなっていました。しかし最近における値上りの最も著しいのは賃金です。そして賃金の高騰は技術進歩による労働生産性の上昇を上回っているといわれます。

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建設業は生産労働者の調達を下請に依存しており、労働者数を正確に把握することが困難であるのみならず、労働生産性は技術進歩だけでなく、工事の種類、構造、規模や地形その他の自然条件等によっても影響されます。また資本装備率の上昇も機械設備の操業度が不安定で低いため、製造業と異なり労働生産性の上昇と必ずしも緊密に結びつくとは限りません。したがって建設業の労働生産性の測定についての制約は大きくなります。しかし施工の機械化、工法の変化等により、在来の技能の組合せを変え新しい技能体系が要求され、これらにより労働生産性が上昇していることはたしかです。しかし調査によれば、1人当り工事消化高指数は上昇していますが、その上昇率は製造業の生産性のそれより低く、賃金上昇率を下回っています。製造業では賃金高騰を生産性の向上で吸収しているのに対し、建設業では吸収できていないと思われます。近年における物価の動向をみれば、一般に低生産性部門の産業の価格高騰が大きくなっています。このことから建設工事費の上昇は生産性の低さによるところが大きいといえるかもしれません。そして建設業の生産性の低さは、建設業の合理化、近代化のための努力不足にもよるとしても、建設業の特性や設計と施工の関係、契約方式等建設業の努力だけでは解決できない問題も少なくありません。労働生産性の低さ、労務費の高騰を主要因とする工事費の上昇は、国民生活に大きな影響を及ぽすため、その低下が強く要請されています。
建設業における労働力不足は職種や企業規模により一様ではありませんが、今後不足は一層激化する方向にあります。そのため従来は下請まかせであった元請に、労働者確保養成に対する関心を強めさせ、また労働力の全体としての効率的な運用、配置のため労働力の流動化をはかる方向を辿らせています。それと同時に、省力化の必要から消極的であった建設業の技術進歩を促進する要因となっています。施工の機械化、プレハブ化等による建設業の技術進歩は一層進展するものと思われます。そしてこのような施工の機械化、プレハブ化とならんで施工マネジメントの革新も進んでいます。工程、原価管理の技法としてネットワークシステムを導入し、それが急速に普及しているのなどはその例です。これは各作業の流れおよび工程を分解し、相互の関係を明確にし、どの作業に問題があるかを明らかにし、総合的な見地から合理的な管理を進めようとするものです。ネットワークが効果をあげるためには、部分作業の標準化、工事を施工する下請の強化等解決さるべぎ問題は少なくはありませんが、施工計画の是非がコストに影響するところが大きいだけにこれに対する期待は大きく、また新しい施工マネジメントの導入とともに、このような方法を実現するため工事の実施と計画の分化、計画部門などのスタッフによる立案等の組織の整備も進めています。

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