住宅の普遍性と進化

一般住宅の中でも、特に最近の建築技術や計画技術の恩恵から離れた存在は、昔ながらの伝統的住宅、いわゆる民家とよばれるものです。これは全国いたるところの農村や田舎町に見られますが、最近は次第に古いものは壊されて新しく建て替えられ、昔の面影をとどめるものが少なくなって来きました。これらは地方ごとにそれぞれ特徴のある姿を見せています。しかし日本全国では、その間取りや形態においてむしろ驚くほどの統一性を有することが知られます。越中民家の型は広間型とよばれるもので、東北、北陸地方に多く、信楽民家の型は四つ間型とよばれて、全国に分布しますが、特に関西以西に多くなっています。「なんど」または「へや」は寝間であり、家族の就寝する場所で、昔の姿では外壁には窓もなく、入口は板戸で、閉め切れば真暗の極めて隔離性の高い部屋でした。広間型における「うち」は一家の日常生活の中心となる部屋で、囲炉裏が切られ、これを中心に煮炊や食事や団らんや家内作業までもが行なわれ、神棚や仏壇が祀られ、ふだんの客もここに招かれました。四つ間型ではこの空間が二つに分化しており、会事や家族だんらんは主に「だいどころ」で、近所の客との応対などは「でのま」で行なわれました。また、「ざしき」または「おくのま」は家中でいちばん格式の高い部屋で、冠婚葬祭の集まりの時にだけ用いられ、日常はほとんど使われず、畳をあげておく地方も多くありました。このように、単に外見的な形だけてなくその使われ方に至るまで、慣習によって厳格に定められ統一性が存在していたといえます。

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間取り

民家を作るときには、専門の大工や職人に一切を任せるということはされず、村のなかの大工の指導のもとに、家族や親類や村人たちの共同作業で作られました。特に茅の屋根葺などは、少数の職人のほかは村中総出で行なわれました。こうして伝統の技術は、次第に洗練されながら受け継がれて行ったのです。もちろん、これら民家にも変化や進歩はあります。特に最近の民家調査によって明らかにされたことでは、その進化変遷がはっきりと跡づけられる例も多く、しかしその進化は概して緩慢です。進化は中で行なわれる日常生活の発展と、環境条件としての経済的、社会的制約の変化と、さらに建築技術の進歩とによってもたらされます。したがって生活や経済、社会や技術の条件が変わらない限り、住宅の姿もほとんど変化しません。そして変化しない住宅は、その中での人間の生活を一つの枠にはめ込み、逆にその変化発展を妨げる働きさえしています。
しかし現代においては、生活も経済、社会も建築技術も、その変化の速度は驚くべきものがあり、したがって住宅の変化も著しく、それだけにその変化のコントロールの必要性もまた極めて大きい。自然の成り行きに任せておくことがほとんど不可能になりました。それぞれの場において、発展を意識的にはかることが必要で、その意味から計画のもつ意義はますます高くなっています。しかもその計画を、その場限りのものでなく、誰でもが使える不偏的な技術にまで高めて行くことが求められているのです。

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