住宅建設での公共住宅

第2次大戦後の住宅建設は、公共住宅の比重が戦前とはくらべものにならねほど大きくなった点が特徴的であり、住宅の計画もまた公共住宅によって飛躍的に進展しました。建設量からいえば、民間建設に多くを負っていますが、計画の面では、住様式の改革、不燃化の推進、地域環境の形成等の種々の側面で、民間定設のモデルとしての役割を果たしているといえます。このような計画上の発展は、公共住宅が経営上の束縛から解放され、もっぱら住生活の水準向上を目的として作られているという事情によります。もちろん公共住宅とて制度上、予算上の多くの制約はありますが民間の借家建設におけるように営利そのものが住宅建設の主要な目的となっているものと異なり、一応は住宅困窮者のために良い安い住宅を供給するということが目的とされています。このため、住み方調査をはじめとする種々の研究の成果が適用され、さらに住生活の今後のあり方、将来の姿を求めた計画が行なわれ、住宅計画における主導的な役割を果たしているといえます。

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間取り

太平洋戦争が敗戦によって終りを遂げた直後は、その住宅不足数420万戸と見積られ、住むに家もない人々は壕舎や焼ビル内での生活をよぎなくさせられていました。その年の冬を越すための応急簡易住宅の建設は政府にとっては焦眉の問題であり、6.25坪の極小住宅が国庫補助により各自治体の手で建設されましたが、これが公営住宅の前身となりました。翌昭和21年からは住宅復興は公共事業として実施され、国庫補助住宅も9.45坪となりました。この年の秋に発足した戦災復興院は住宅基準調査委員会を組織し、各専門分野の建築学者を集めて、住宅基準、住宅設計の指針を作成し、今後の公営住宅のみならず民間建設をも含めてその依るべき基準として発表しました。この序文には、住宅難は戦災によって破局にいたったことは事実としても、不良住宅、過密居住などの形で戦前から存在し人々を脅かしていたことを正しく指摘し、住宅難を単に量の上からのみ眺めて不足戸数の復興を急いでも、決して住居水準は向上しないことを警告しています。事実、敗戦直後の貧弱な越冬応急住宅は、急場の一冬をしのいだとしても、数年を出ずに再び不良住宅として住宅難の一面を担うにいたったのです。この意味から、新たに建設する住宅の質を規定する基準の確立は、住宅計画の上で重要な意味をもつものです。
建設省住宅基準は、一般基準、木造住宅基準、鉄筋コンクリート造住宅基準、一団地住宅基準の4部より成っていました。全般的構成としては、戦時中の住宅営団の住宅設計基準にならっていますが、特に戦後の建設において次第に主要な座を占めて来る鉄筋コンクリート造の基準を設けたこと、また集団的建設の重要性を認識して一団地住宅の基準を設けたことに特色があります。そしてこの基準は、後に公営住宅の設計基準へと受け継がれて行きます。
しかしこれらの基準設定の難しさは、現実の社会事情といかに析合いをつけるかということではないでしょうか。当時の疲弊した建築事情、経済事情の下で、あまりに高い基準を設けることは現実から遊離して守られず、けっきょく無力となります。一方であまりに現実的条件に密着すると、経済の発展、生活の発展に対して住宅水準の向上を保証しないことになります。したがって、基準は常に将来の姿を見通しつつ、現実を一歩前進させる働きをもつように定められるべきです。そしてその基準そのものも、固定的でなく、常に新しく改訂して行く制度が保たれるべきです。その点が、日本の行政では常に忘れられがちになります。公営住宅の基準においても、当初は一応の水準を示す働きをしても、その後十数年間にわたる固定化の一因となって行くのです。

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