家族型対応住宅

昭和30年には日本住宅公団が設立され、大規摸な住宅団地建設にとりかかりましたが、ここにおける住宅計画の理論としては、単に設計の標準化だけでなく、多くの標準設計に一貫性をもたせ、これを一つの型系列として作り上げたことが特徴的です。住宅公団では、次第に集中する大都市人口のための対策として、東京、大阪、名古屋等大都市周辺における大規模な宅地開発、住宅建設が主要な目的でしたが、この大規模な建設は、これまでの地方自治体による小規模な公営住宅建設とは異なった問題をもっていました。小規模の集団の場合には、同一の型の住宅の集まりであってもそれなりに成り立ちます。特に僅かな戸数を種類の異なる住宅で構成しようとすることはかえってコスト高を招きやすいので、需要者層の要求が仮に分散していたとしても、建設する側からは一団地内では型の統一への要求が強い。しかし集団が大規模化すると、一団地がすでに一つの地域社会を形成するのであるため、この中には年齢、家族型、階層の異なる世帯が入ることはむしろ当然であり、住宅型も多くの種類が要求されます。また、事業の規模からいっても、地方自治体における乏しい年間建設戸数の場合と異なり、公団では1支所管内だけで1万戸を超える建設戸数をもつのであるため、多くの型の住宅を準備することはこの点でも当然なのです。

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間取り

公団では、住宅の型を示すのに主として寝室の数と台所や食事室の型をもってあらわすこととし、畳の居室の数を1、2、3等の数字で、台所、食事室の形式をK、DK、D等の記号で示しています。すなわち食事の場を含まない台所をK、食事室兼用台所をDK、炊事の場の分かれた専用の会事室をDと称しました。そしてこれらの組合せで、2DKとか3Kという具合にあらわしたのです。これは平面構成の基本を、食寝分離の実現のためのダイニングキッチン(DK)の独立と、隔離就寝の実現のための寝室空間の確保に置くという、昭和26年度公営住宅以来の考え方によっていることは明らかです。しかし全面的にDK型を採用するだけの面積上のゆとりがなかったために、K型を併用せざるを得なかった点は、一種の現実妥協と見られます。また予算的には2DK平均であったものを、3寝室型確保のための3Kを生み出すために一方では1DKという極めて融通性のない型も作らざるを得ませんでした。さらに、1、2、3という寝室数が実は畳の居室を指す数字で、必ずしも寝室の数ではありません。特に3K型では、食事室が設けられてない以上、3室のうちの1室は食事の場として使われるのは明らかで、3寝室として使えば食寝分離は放棄せざるをえません。
一方で、この型系列の運用上にも問題は多く、そもそもこのような型を作るのは、居住者層の要求があるからにほかなりません。しかしこの型系列を、主として居住者の生活様式に対応させるのか、あるいは家族型に対応させるのかが明確でありませんでした。例えばDK型とK型とは明らかに食事の様式が異なり、これはまた就寝方式にも影響を及ぽすのであるため、生活様式全般にわたる問題ですが、これを明瞭に意識して使いわけられているとはいえませんでした。また、1DKは明らかに新婚世帯用の小住宅であり、公団もそれをうたい文句として建設したのですが、やがて子供が生まれ成長しても、他の型への住みかえ制度が整っていたわけではありません。さらに、入居、管理上の運営において、家族人数の大小と住宅型の大小とが対応するように考えられているわけでもありません。むしろ入居資格は、家賃の支払能力という意味から収入の下限が住宅規模と対応して定められています。したがって、2DKに5人で住む場合もあれば3Kに2人で住む場合も生じます。このようにして、規模による型系列も家族型との対応は実現されず、したがってその平面計画も規模の違いによる生活形態の差を明瞭に規定することができないのです。このように多くの矛盾を含んだ型系列ではありますが、それにもかかわらずこれは高く評価されます。それは、型系列の整備が、大量建設、大量生産にとって必須の条件であり、これがその計画の質を保証すると考えられるからです。標準的な条件を設定してそれに応じる型を作り、建設の条件に応じてその型の中から選択して使用するというのがいわゆる型計画の基本的な理念ですが、住宅公団の標準設計の系列化は、条件の整理と適用において多くの問題をはらむとはいえ、この型計画を実施に移したものとして評価すべきです。

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