住様式変化

昭和26年度公営住宅標準設計によって確立された2DK型の平面構成は住宅公団にも引き継がれ、型系列の展開は見せながらも計画原理はほとんど絶対視され固定して、10年以上もそのまま踏襲されました。しかし、建設や計画の条件は次第に変化して行きました。特に団地の大規模化は、一つには住宅をとりまく地域環境計画との関連で、一つには量産化の要請から、標準設計の再考を促すものでした。このような案件の変化への対応は長い間なかなか行なわれませんでした。住み方調査に対する過度の信頼から生まれた住戸設計への依存は、DK型を中心とする型系列の完成を指向し、その設計は細部にいたるまで無駄を省いた合理性が追求され、次第に洗練されて行ったのです。しかし、その間にも国民の生活水準は次第に向上し、特に昭和35年頃から後の家庭消費生活の急激な変化は、生活革新と呼ぶにふさわしいものです。洗濯機、冷蔵庫などの普及は、それ以前の台所を全く古くさいものにしてしまい、テレビの浸透は団らんの様相を変えると同時に、家庭内での居間の形成に大きな力を持ちました。ダイニングキッチンの普及とともに椅子テーブル形式はすでに一般的となり、さらにソファの類の進出も著しく、これを板の間だけでなく畳の部屋にしつらえる例が増えていきました。家具も、以前はタンスなど収納的なものが大部分でしたが、今日ではテーブル、椅子、机、テレビ等生活用具的なものが多くなり、さらにはピアノ、ステレオ等の趣味生活にわたるものの進出が目立ちました。暖房も火鉢、こたつの局部援房からガス、石油ストーブによる全室暖房へと向上しました。このような一連の生活革新は、従来の和室を主体とした空間の広がりを使いこなして行くという生活様式から脱して、各室を機能的に明確化し、家族の集まり部屋を要求する一方で、家族成員の個人空間を明確化する方向へ進みつつありました。

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間取り

公共住宅の規模は予算的に縛られ、しかも家賃が建設費と直結するしくみになっているため、規模増加は直ちに家賃増加をもたらすということで押えられ、ほとんど動きのとれぬ状態になっていました。しかし住宅と生活との間の矛盾が次第に顕在化して来ると同時に、いくつかの住み方調査もこれを明らかにし、最近になってようやく、平面形式の再検討の動きが見えて来ています。住宅公団では昭和42年度には居間兼食事室としての板の間を設けた2LDK、3LDKなどの型を標準設計に加えましたが、まだ建設量においては試行の域を出ていませんでした。いずれにせよ、住様式の変化に対応しての標準設計の変質は必然で、この場合、単にDKからLDKへという一筋の変化ではなく、各種の住様式の併立に対応して、種々の住居型も併立することとなります。この場合、それに応じた入居管理の機構が必要となります。そして現実的には、公営第1種、第2種、公団、民生住宅などの各種公共住宅の供給機構が、その対象とする居住者層に応じた住宅型を追求しそれぞれ特色を発揮して行くことが要求されるのです。
公共住宅における量産化の要求は、種々の量産工法の開発を生んでいますが、この趨勢がまた住宅平面にも新たな課題を提出し、住宅計画における新しい問題となりつつあります。日本の公共住宅は、鉄筋コンクリート造の共同住宅においても、長い間その工法は極めて原始的な現場施工によっていました。これは建築というものが土地に結びついたものであるという宿命にもよりますが、日本の建設産業が伝統的な請負制度によっていることが、施工技術の近代化を拒んでいたといえます。
しかし、近年にいたってようやく日本の労働事情も変質を遂げ、これまでの安価な労働力の供給源であった農村人口も激減すると同時に、都会へ集中した労働力は近代的産業へと吸収され、封建的な労働機構や危険な現場作業や長い修練期間を必要とする建築産業は、はなはだしい人手不足をきたすにいたっていました。このような社会条件では建築生産の合理化、工法の近代化は必至であり、しかも、集合住宅という、同形の小さな単位の繰り返される建築は、プレハブへの移行のための格好の対象となりうるのです。
プレハブ化の最初のとりかかりは、住宅内の付帯部品からはじめられました。ステンレス製台所流し、鋼製ドア、アルミサッシ等がこの例です。これらは公共住宅用規格品として、寸法、仕様などが定められています。より本格的なプレハブは、構造体のそれです。鉄筋コンクリート造を前提とするとき、現場打込みの工法をとりつつもその型枠をあらかじめ鋼製型枠として作っておくというプレハブ工法があります。これは、現場作業として手間のかかる型枠の製作を簡易化するという利点はありますが、依然としてコンクリート現場打ちというやっかいな作業は残されます。さらに将来性のある工法は、コンクリートの大型版を量産し、これを現場で組み立てる工法です。現場での型枠組立て等の作業がなくなるため精度が上がり、何よりも現場労動の量を減らしてこれを工場労働に変えることができることが、将来性のあるゆえんです。
大型パネルは、パネルそのものの精度は高いので、パネルが大きいほど建物全体の精度は上がり、現場作業も簡易化します。しかしパネルの運搬その他に障害もあるので、大きさにはおのずから限度があり、高さ方向は1階分、横方向は1住戸分の開口を1枚ないし2枚で構成する大きさとなっています。
このような工法上の要求は、平面、断面の構成に大きな制約を与えることは論を待ちません。階高の統一はもとより、開口や奥行寸法に対する規制、壁の位置の制約や、さらに浴室や便所などを一式としたプレハブとして考えるならば、その寸法統一から来る制約も大きく、現在ではこれらの開口寸法に関係する寸法調整がさかんに研究されています。

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