市街地再開発における住宅計画

生活圏ならびに生活領域という概念は、大規模開発における住宅計画の重要な側面になりつつあります。住宅が単に一戸だけで存在するのでなく、集団として建設される以上、そこでの生活は自分の住戸から拡がって存在し、また人と人との関係が生じます。また学校や商店等の日常公共施設を利用することによりそこへの行き来が生じます。このように拡がる生活圏は、直接の行動にあらわれる圏域もあり、交際圏のように近隣のつきあいの圏域もありますが、これらをどのように導きどのように形成するかは、まさに住宅計画の重要な一側面です。小さくは住戸まわりのスペース、例えば廊下や階段を、単に通路スペースとしてだけでなく近隣の接触のためのスペースとして計画するとか、棟と棟との間の広場や子供の遊ぴ場、いわゆるグルーピングとよばれる住宅棟の集団、さらに拡がって小学校区とか商店街を中心とした住宅地の構成単位、近隣住区の大きさの問題など、これらはすべて生活圏の構成の問題として、様々な試みが行なわれています。生活圏を、より心理的な問題としてとらえたものに生活領域の概念があり、最近この研究が盛んになっています。人は自分の住居のまわりに、自分のよく慣れ親しんでいる場、いわは自分のものと感じている領域を形成します。住宅地において、この領域の形成を助けるものは、その住宅地の空間的、視覚的な特徴です。均一な、あるいは乱雑な住宅地は心理的にも把握しにくいのですが、全体の構成の筋の明瞭な、特徴のはっきりした住宅地は把握しやすく、このような意味から、シンボルとしての高層住宅とか、空間を囲むための長い棟など、特徴的なデザインが要求されるのです。このように、大規模開発に伴う住宅計画は、様々な分野の新たな問題を提起しつつありますが、これは今後の開発事業の進展とともにますます多方面へと発展して行きます。

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間取り

郊外開発、新都市開発の進展によって、都市がますます外へ外へと伸びて行くことは、交通問題、地価問題等の欠陥を露呈して来ています。これに対して、既成市街地の内部を再開発すべしとの意見はかなり以前から叫ばれていますが、これには数々の難しい点があります。市街地は一般に地価が高いだけでなく土地が細分化して所有され、居住者は居住の権利を持ち、商業や事務所などの機能が複合し、しかも道路や交通の関係が複雑です。したがって地区をまとめた総合的な再開発の実現は極めて困難であり、実例も少ない。これに対し、事業所のビル建設に対し公共体が融資してその上部に賃貸住宅を建設するという制度、あるいはそれに類した手段により、単独の棟の市街地住宅を建設するということが行なわれて来ました。
ところがこれらは限られた敷地内の1棟だけの建設であって全体的な計画性を持ちえないだけでなく、融資の条件を有利にするためには敷地に対してなるべく床面積を大きく、密度高く建設せざるを得ないので、アパートとしての居住性に劣るものがはなはだ多くありました。つまり、隣のビルの日陰になるとか、街路に面しての騒音や、西日、子供の遊び場がないなどがその例です。しかし昭和40年頃からは,市街地においてもある程度のまとまりのある広さを全面買取して建設する、いわゆる面開発の市街地住宅建設が行なわれるようになりました。開発が点から面へと拡がったのです。このようにいわゆるスーパーブロックを一団として計画することによって、日照条件や空地を確保した総合的な計画がはじめて可能になります。
市街地住宅地の計画は、郊外開発とは全く異なった問題点をもちます。まず第一に、地価の高さを多少ともカバーするため、住戸数を多く、すなわち高密度で計画されねばなりません。これまでの実例では1haあたり人口900人から1000人程度を予定されています。このため当然のことながら高層化します。高層高密住宅の計画を実現するために、その棟の形式をどのように工夫するかが、計画の最大の難点です。またこのような高い大きな空間において、子供の遊び場などをいかに計画するかということも難しい問題です。
しかし同時に、何haという大きなまとまりであるため、市街地環境の形成における役割ははなはだ大きい。まず第一に、既存市街地に乏しい空地や広場の回復のための役割があります。これは単にこの敷地内の住宅のためのものでなく、周辺を含めた地域の人々のためと考えられ、外部からのアクセスも重視されます。最近の計画では棟の1階はすべてピロティとして自由に行き来できるように作られたものが多く、このような日常的利用だけでなく、緊急時、すなわち火災や水害の際の避難の場としての機能も付与されます。特に面開発が東京都でいうならば江東地区に多いため、この避難拠点としての性格は極めて重要です。
市街地におけるシンポルとしての都市デザイン上の機能もまた大きく、特に面開発は都市のオフィス街ではなく、市街地周辺部、特に住工混合の地区に多いことから、周辺の密集低層建築に対し際立った存在となる場合が多く、これが目標となって市街地に方向性を与え、領域形成の核となります。
このように、市街地面開発による高層高密住宅は、これまでにない、新しい問題を住宅計画に投げかけています。

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