住居観と計画

住宅の間取りを考える場合に必要な部屋数をわりだしたり、その所要面積をあたったり、部屋相互の連絡順位を考えたりすることは計画、設計の技術です。また、その考察に必要な情報の収集、調査、分析などが計再研究の一部を占めています。しかしそれは、住宅とはかくあるべしとする既成概念のなかで、具体的な平直なり建物の形に組みあげていく知的、技術的作業です。その前に住宅はかく有るべしのということをどう考えるかという問題があります。その規定が異なれば、そこから導き出される計画原理、具体的住宅像は全く異なるものに形造られます。住居観とは、人々が各々に抱くかく有るべしです。それは計画以前の、計画に不可欠の問題です。住まいなどというものも、起きて半畳、寝て一畳、以て五尺の身を横たふれば足るの禅家風住居観ならば、もともと住宅などに重きをおいていません。雨露を凌ぎ居住に足る広がりがあれば、間取りや機能は大して問題でないことになります。住宅とは労働力再生産の基地であると見なすならば、再生産される労働力の最低の質を保証するには、いかなる計画原理があるか、例えば食寝分離を平面化しなければなりません。

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間取り

住宅とは住むための機械であるというの警句は、エンジニアのように造型したいという意志表示であると同時に、住宅平面に対しても機能的、合理的要求を強調する言棄です。住む機械であるためには、平面、空間への動線、機能等、近代的原理が誘導されます。以上の例はいずれも、特定の個人あるいはある種の立場からする住宅の観方を示しています。そして、それにしたがって計画のあり方、住宅の型は異なってくるのです。
このような住居観は、すべての人々に総括あるいは断片的意識として抱かれています。またその意識対象は、住宅計画のみに関する一面的なものではありません。その外観についても、また住宅生産や経営、所有関係や行政、あるいは住居にまつわる迷信や言い伝え等、ほとんど無数の断画において、各人の意識は様々に展開されます。しかしそれらは、決して偶発的、無原用にバラバラなのではなく、老若、男女、職業、学歴、貧富の差、生活経歴等、人々の現実におかれている社会的、階層的諸条件により、複雑ではありますが、ある類型をもち、静止することなく動的に発展しています。私達は現実的な実施計画をもつと同時に、常に将来の計画の方向を追求しようとします。その場合、住宅計画の前提を形成するものの一つである住居観の発展方向を考えることは、切実で重要な事柄になるのです。
住居観が意識上の問題であるとすれば、住様式は主として生活の行為、慣習に関する問題であるといえます。そしてこの問題も計画のあり方、内容に直接の影響を与えます。生活様式という言葉は一般に広く使われていますが、住様式は、住生活面にあらわれる生活様式を指します。したがって生活様式の一面であると考えられます。例えば私達が畳に坐るか椅子に腰かけるかのたち居ふるまいを起居様式と呼んでいますが、それはまさしく住の面からみた生活様式であり、住様式です。また家族形態にしても、戦前は家族成長周期のある段階で親子世代夫婦の同居は一般的でしたが、戦後の家族形態はいわゆる核家族、夫婦と子供だけの集団に分解していく傾向がつよく、それは新しい家族観による結果とも考えられます。また、家族形態のみを見れば家族様式といえるかもしれませんが、住空間と結びつけて住宅計画、住居形態のあり方としてみるとき、それは住様式の問題となります。
また、関東の畳は寸話まりで175cm前後、関西の京間では193cm、関東は夜具は1人用ですが、関西では夫婦用の夜具が使用されました。これらは地方性の問題ですが、それをいかに扱うか、あるいはどう統一するかは住様式の課題であると同時に、そのまま直ちに計画に響いてくる問題でもあります。以上のように、生活客面において住様式につながる問題が数多くあり、しかもそれらが住宅計画に対して、住居観と同様に不可分の関係をもつ場合が多い。住宅が生活の容器であるとすれば、生活内容の麦貌、住様式の発展は、ただちに容器のあり方を左右します。先の例のような場合についても、室の床面積、室機能の固定化、住宅型、設計標準等ただちに計画にはねかえりますが、直接住居と関連のない生活様式、例えば衣、食生活の様式的変化についても同様のことがいえます。
住宅計画の発展を、現実の生活発展状況にからみあわせて、現実的、科学的に考えようとすれば、単に機能、面債、容積等の物理的、計量的合理性の追求だけでは、抽象的な計画論になるおそれがあります。住様式の考察は、そのような計画に社会的、人間的な合理性を加える意義をもつものです。

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