住宅政策と住居観

住居観は住宅計画に対してだけでなく、他の住宅関連の問題に対しても重要な要因になります。国民の住生活に重大な影響をもつ住宅政策と住居観との関連もその一つです。住居観は具体的な形では住生活に対する生活要求、住要求としてあらわれますが、その国民的要求を最も反映しなければならないものとして住宅政策があります。しかし個々の住要求は具体的であるだけに、各世帝のおかれている状況によって異なり、一つの要求が個人的に満たされれば、さらに次の要求へと発展します。例えば現在の住宅事情下で現住宅が狭いという不満は、公団、公営住宅層では最も多い。したがって住要求はもう1部屋ほしいという表現が一般的にされます。また一方で6畳1室に親子9人というような超過密居住が、東京、大阪のような人口集中地帯には実在します。そしてこのような世帯でも、もう1部屋あればと願うのです。とても1部屋で片づく過密状態ではありませんが、居住者の現実にとってはそれが真実具体的な要求なのです。

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以上の両者の場合、同じもう1部屋でも、その1部屋が住生活に対してもつ比重あるいは意味が違うのです。住宅政策が血のかようものであるためには、このような住要求の発展を国民階層的に把握することが必要ですが、それには国民の住居観の発展方向として把握する必要があります。また、似たようなことが、住宅難と住宅困窮感についてもいえます。
住宅センサスでは、低所得階層において住宅難世帯が多く、上に行くほど少なくなります。それは階層社会において常識的現象ですが、さしせまった住宅事情に困っているという主観的評価を伴う住宅困窮感になると、逆に中層ホワイトカラーに多いという結果が見られます。これなども客観的にホワイトカラー層が最もひどい状態というのではなく、感じ方がつよく、生活基準のたて方が違うからです。
住居観と住宅政策との関連問題は、住宅所有関係の指向傾向についても考えられます。戦後、都市の住宅所有事情は、持家率が借家率より高く戦前と逆転する状況になりました。また、所有指向も総体的に持家指向がつよい傾向を示しています。しかし、これらの現象は、自力解決しかあてがないという不安感がもたらしている結果であって、絶対的な持家指向ではないことが、住宅調査等の結果からも推測できます。
またそれは階層的に異なるものでもあります。住宅取得の困難さが宅地問題に起因することは、公共主体による住宅ですら、この問題で行き悩んでいることからもわかります。
宅地は所有できないものと思えという宅地観の転換を促すとともに、住宅の高層集合化の提言が、経済同友会によってなされました。経済団体の提言を待つまでもなく自己の注宅を取得することは、大都市では戦前にくらべて数倍困難になってきています。それにもかかわらず持家指向がつよいことは、まともな家が欲しいという夢の表現であるといえます。これに応じるかのように、数年来大都市の都心近くに、したがって地価も高い所に、中高層の立体分譲高級住宅、マンションが建てられるようになりました。また公団、住宅供給公社等の公共企業体も同形式の分譲アパートを建設しています。
しかしこれらはマンションの名が示すように高級住宅であり、庭園がなくても都心における仕事面の有利さ、生活面の便利さと華やかさを享受しようとする高所得階層を対象としています。したがって芸能人、自由業、会社重役等が多く、郊外に住宅を持ちながら都心にも持つというものもいます。公団、公社の場合それほどでないにしても高額の支出が可能な層に限られます。これによって大多数の勤労者階層がすくわれるというものではありません。夢を実現させてやろうというほど親切でもない政府が、持家政策に重点をおいたことは、国民感情の真実を十分踏まえたものとはいえません。あえて持家を強行すれば、持家というだけのことで、住居の質は低下することにもなりかねません。20坪程度の敷地に15坪ほどの民間分譲住宅が、都市用辺に林立スプロールしている様子は、そのことを示しています。所有することに真の要求があるのか、適切な住空間を後顧の不安なく保障されることに真の国民的要求があるのか、これは正に住居観の問題であり、住宅政策にとって、その正当な評定がきわめて重要なことなのです。

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