核家族と老後問題

家族形態の核家族化の方向が説かれています。夫婦を家族の核とし、それに養育される子供とだけから構成される家族形態の進行です。戦前にもこのような家族型は、結婚により別居独立の世帯をもつことにより、当然生じましたが、それと同時に健在の親夫婦と若夫婦、子供達が同居する世代複合の型も、ごく至当なものとして一般的に考えられました。戦後とくに近年の核家族化がいわれることには、都市においてその傾向が顕著にあらわれている事実と同時に、将来あるべき家族の姿として説く姿勢が感じられます。一時流行したははぬきカー付きなる新婚世帯理想の表現は、それを示しています。さすがにこの不快、軽薄を感じさせる流行語は間もなく口にされなくなりましたが、それが現代の世代の家族理想、家庭生活への要求を、あるていど表明していることも否めません。また世代差による老若夫婦間の無益な摩擦を避ける賢明な方式として、あるいは独立性尊重のより積極的理由によって、核家族はあるべき家族像として描かれます。しかし、もしそれを唯一の理想的状態とするならば現在の2DKないし3Kを主体とする公共住宅あるいは民間のアパート等は、その平面規模の点で最低限の機能をほぼ果たしているといえます。ただいくらでも増加する核家族の需要に対して供給量が少ないというだけの問題です。

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しかし核家族化の傾向については、家族制度からの税却、生産水準の上昇により純化された小家族単位の生活の可能性など、一応の発展理由があるとしても、現実的には小家族向きの住宅しか供給されていないという住宅事情が、逆に核家族化を促進しているのではないかという面も感じられます。問題になってきた人口停滞現象にしても、生活水準の高さを保つための産児制限、過密狭小の住宅事情などが、その有力な一因として予想できます。
一方でこのような問題と世代の同居、別居問題、ひいては老人、老後問題とは裏腹の関係にあります。老齢人口の増加は、人口問題でもありますが同時に、家族形態のあり方として、住生活の問題に直接ひびいてきます。核家族化は世代別居を促進しますが、老人世帯はどうなるか、最近の中老年者は、別居と同時に老後の経済的自立を覚悟、用意しているものも多い。しかし、そういうことが実際上できないものも多くあります。また養老院に入ればよいと割り切って考える元気なものもいます。老人問題の対策として、まず挙げられることは、養老施設、老人ホーム等の社会的整備です。しかし、このような集合生活形態が、一律に老後生活に課せられることには、種々の疑問と問題があります。それは共同生活形態というより、一種の収容ないし病院施設のようなものですが、人生の最終段階に入って家族ないし家庭生活を棄て去るということは、悲哀です。また人は、職業にたずさわるかどうかにかかわりなく、家族または社会の一員として何らかの役割をもつことに存在の意義を見いだすものですが、現在考えられる養老施設のあり方は、本質的には社会の構成員からはずされた姥捨山です。このような社会福祉的施設も、全く身よりをもたないような特殊な状況の老人には必要でしょうが、最終過程の家族の一般的な形として想定するには、なお考慮すべき多くの問題があります。またやや現実的立場からすれば、日本の現在の社会体制下で、どれほどそれを徹底して実現させる真剣さと能力を期待してよいのかはなはだ不安です。
経済的に自立している老齢世帯においても、体力的限界がきた時に問題が生じます。その時に既述のような福利施設に頼る方がよいか、家族の世話になる方がよいかは、個々の家庭事情によっても異なるでしょうが、一般的には後者の方が自然で合理的です。特に現実的な条件の下ではそうなります。つまり、何らかの形で同居的形態が必要となるのです。このような家族周期に対応する居住の様式を考えると、住居の型もそのようなバラエティをもって供給される必要があります。それは必ずしも同居可能な住宅平面だけを意味しません。団地計画における老人施設あるいは老齢層住宅棟の混合等、計画上検討してみるべき種々の問題が生じてくるです。しかしこのような計画を展開させるためには、家族形態のあり方、それに対する居住様式、生活慣習等、様々な面について検討する必要があります。

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