住様式の地方性

住生活の地方性は、建物形態、平面形式、設備、家具のほか居住習慣等にあらわれますが、それらはかつて住宅計画とは不可分のものでした。それは現在どうなっているか、どう扱うかなど考えなければならない問題です。総じて地方性は薄くなったといえます。生活圏の交流範囲は、時間的に縮小され、しかも広がりは大きくなった。国内の東西交流は数時間で大量に行なわれ、都市居住者も流動的で各地の人が集中混合しています。またテレビ等直接目にうったえるマスコミの働きが、共通の生活様式や流行を権威や商業主義を背景にして押しつけてくる影響もみのがすことはできません。住宅の内外とも工業製品が使用され、画一化しています。住宅設備、外来の住様式の導入等は、どの地域にも一律に新しい住様式を成長させる等の理由が、住様式の地方性に対する考慮を不必要に感じさせています。しかしこの問題を全く無視することはできません。生活は文字通り活きて歴史的に発畏するものであるため、そこには過去の蓄積を変化発展させた伝統的なものがあります。いかに生産が工業化されても、その産物が直接生活に関係するものであるかぎり、伝統的なものが付随していくます。

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住宅生産の最も工業化したものは、プレハブ住宅ですが各メーカーの定める寸法規格には、メーカー独自のものがあります。一般に柱間真々182cm(6尺)の単位をとるものが多いようですが、関東方面のメーカーではそれが当然です。しかし関西に本社をもつ一大手メーカーでは、京問に近い96cm ×192cmの内法方式を用いています。他のものより広いプレハブ住宅という宣伝のための商業政策もありますが、工業化の面で地方性を活用しうる可能性を示す例です。広さの点に限っていえば、生活のスケールに合う点で関東間に遥かに優ります。6畳に箪笥を置いても、成人2人の寝室と十分なりうるからです。その広さが関東の居住者にとって不服がないのも道理です。しかし生産面では、3尺×6尺単位の建材、畳が間にあわないという不合理さがないわけではありません。それを技術的に解決するか、人間の生活の方を縮めて生産に便利な規格にあわせるか、それは対象と場合にもよるでしょうが、物の考え方にもよります。地方性の問題です。
公団住宅の場合、外見は全国ほとんど変わりありませんが、内部の設備で関東、関西のやり方に多少の違いがありました。その一つは台所設備です。中央に流し台、左右に調理台、コンロ台となっていますが関東ではこの三者が高さ80cmで水平にそろっています。ガスコンロは居住者自前であるからこれをコンロ台にのせると95cm高になり、その上に鍋をおくことになります。関西の場合、コンロ台高は65cmで、ガスこんろを置いて80cmにそろいます。もちろんこの方が見た目にも美しいし、第一、煮炊きの高さとして合理的です。しかしこれは関東方式に統一されました。その理由は、調理台、コンロ台が同高であることによる生産向の合理性、左利きの場合の互換性などにありますが、後者はつけたりの理由にすぎません。左利きは少数で、炊事も左利きとなるとさらに少数になります。そのために全部が高い鍋をのぞかなければならないという理由はありません。
さらに浴室の浴槽の問題があります。引越しに際して風呂桶も持ち運ぶ関東では、据え風呂の一種である鉄砲ぶろが一般でした。その慣習は浴槽形式に残り、洗場と浴槽との高低差は60cm前後になります。設置には浴室の床面を切りさげなくてよいから合理的といえますが、入浴には入りにくく洗場が狭くなります。関西の場合、浴槽は床面下に嵌めこまれ、洗場と浴槽上端とは30cmから40cmです。この方が入浴行為には合理的です。多分浴室の設計、浴槽の取りつけなどの面からみた経済性、便宜などがその理由です。
以上すべて、地方性が現在にも生きている事例ですが、それをどううけとめるかは、計画にとってなお重要な問題であることを示しています。場合によって地方性はそのまま活かされなければならないだろうし、またいずれかに統一されなければなりません。ただその場合、人間の生活、使い方にとって合理的であることを第一とし、それを普遍するための経済性あるいは生産性を追求すべきです。

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