住宅の経営発展

原始社会では、人々は共同体の一員として生活し、住宅を共同体の営みの一部を構成するものとして、人々の協力によって建てられ、その管理、維持については,共同体の慣行に従って、住み手が直接これを行ないました。近世の農村社会においても事情はほとんどかわっていません。農民に対する封建的支配と搾取が行なわれたため、彼らの住まいは牛馬舎に等しく、またしばしば人間も堆肥をふむような農耕の営みに従属させられました。はなはだしく低劣な住まいでしたが、住まいを営むことは、農民の生活の営みの一部として行なわれました。建てかえや大修理は慣行として成立していた集落の共同作業で行なわれましたが、個々の営み、維持、管理は、住み手自らの企画と責任によって行なわれました。住宅経営の全過程は、住み手の生活そのものの一部をなし、共同体の慣行、協力の下に、住み手自身によって運営されてきました。しかしその一方で階級社会の成立と共に、住居が支配者と被支配者の主従関係の中で、前者の後者に対する支配と庇護の手段として給与されるという形の住宅経営があらわれてきました。古代奴隷制社会での奴婢達はその主人のあたえる小屋に住まわされました。近世封建社会における家の子郎党の一部はその領主、武士の邸宅の一部分を与えられそこに住まわされました。都市における庶民についても、大家に対する店子の関係はそれに似ていました。多数の従者をかかえた支配者の邸宅の営みは、自家経営の巨大化したものですが、同時に多数の従者、被支配者からみれば、次の時代に発展する貸家住宅、給与住宅などの居住と住宅経営との分離の前段階をなすものとして経営されました。

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間取り

農業と手工業の分化、商品流通に基づく社会的分業の発展によって、都市の発展とともに、都市への人口集中を背景にして、貸家経営があらわれてきました。日本では、室町末期以降に貸家の発展がみられますが、ここでは住宅は居住者の所有物ではありません。しかも、封建的な供給住宅とは違って、住宅はその所有者にとって営利の手段となります。つまり営利的な住宅経営があらわれてきたのです。それは、自らの住む持家住宅と異なり、不特定の居住者に対して住宅を時間的に賃貸する経営です。しかし、当時の貸家経営は現代のそれとは異なっており、極めて封建的な色彩が強く、家主は独立した市民として認められていない店子の保証人、保護者として、店子の病気や事故による家賃の滞りを認めねばならなかったと同時に、粗末な住まいに対して高利貸的な利潤を保証する搾取を続けることが当然とされました。
住宅の所有と使用の分離は近代的大都市では決定的となりました。貸家経営は都市の発展とそこに集まり居住する庶民層の広範な形成を通じて、多数の労働者、勤労市民に住宅を供給するものとして、都市住宅経営の基本的な型となりました。資本主義の発展とともに、住宅経営が営利的活動として利潤の対象となる性格が次第につよめられてきました。しかし、日本では貸家経営に特有な長期に販売される高品としての不安定性から、大家と店子という、保護、庇護、支配、従属という前資本主義的な性格をたやすくねぐいえず、零細経営者によって経営されることを特徴としていました。これら小経営者は、貸家を蓄財の手段として、また一種の地位象徴として考えていました。しかし、大正期における都市への人口集中と経済変動に伴う貸家争議の頻発などによって、次第にその経営を前資本主義的なものから脱皮させました。
敗戦後、急激なインフレーションによる建築費の高騰に対して、地代家賃統制令や不動産に対する課税の強化などによる一時的な貸家経営の低迷がありましたが、大多数の都市住民が貸家経営に頼らざるを得ない状況のもとに、最近再び貸家供給が、民間による低劣な木賃アパートから高級所得層のためのマンションに至る様々な形態をもって、復活しつつあります。
このようにして、自らの計画にしたがって住宅を建て、生活経営の一部としてその維持、管理を行なっていくという封建時代までには支配的であった持家経営に対して、資本主義都市の発展とともに貸家経営が住宅経営の主要な型としてあらわれてきましたが、このほかに、住宅の生産、供給、流通、管理の諸過程の分化に対応して、それらの個々の部分あるいはいくつかの部分を包括します。これとは別のいくつかの住宅経営のタイプも発展してきました。

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