貸家経営の盛況

貸家経営の盛況とともに、それらの生産の担い手である大工、棟梁が、経営者から注文される以前に建てて、貸家経営者に売るという建売貸家をつくることも生じてきました。これは注文者優位から、生産者優位の関係に移るという点で注目されます。これらの小生産者達によって、売家とか建売住宅とよばれる住宅径営が一般化し、住宅も商品生産の形態をとるようになってきました。建売住宅は、不特定多数の需要者を相手にする見込生産という点では貸家経営の場合と類似しています。また、売った後は維持、管理が買手、居住者に移ることにより、経営者にとって長期にわたる管理という繁雑さがないから経営としては簡明ですが、住宅を所有しうる層にしか売ることができません。しかし、住宅を住居としてあるいは営利手段として得たい需要者にとって、自分で土地を捜し、設計と建設の依頼をするなどの必要がありません。したがってそれは、広範に存在する貸家層の中に持家層を広げる作用をし、営利的な都市住宅経営のもう一つの重要な型として成長しています。

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間取り

民間建売、分譲住宅は、早くからみられましたが戦後、貸家住宅の一時的な後退期にこれにかわって大きく進展し、現在では大資本による都心部における分譲マンションから、都市縁辺部の零細経営による劣悪な建売住宅に至るまで多様な経営形態がみられ、都市住宅経営のいま一つの重要なタイプとして存在しています。
次に注目しなければならないのは、政策的な住宅供給対策としてあらわれてくる公共的な住宅経営です。これはすべての住宅経営が営利的経営にまかされているため、経済の好不況、戦争や災害による需要の変動に応じて、十分な住宅経営が行なわれないこと、また、低収入層における劣悪な住居の大量の出現、住生活の破壊、社会不安などの歪みの発生などに対処して生まれてくるものです。
公的な住宅経営は、戦前においては、関東大震災を契機に供給された同潤会住宅、救貧対策としての申訳ばかりの不良住宅改良事業、太平洋戦争中の生産力増強のための住宅営団による産業労働者住宅の供給があげられる程度です。戦後のそれは公営住宅と公団住宅に代表されます。
いま一つの住宅経営の型として注目すべきものに、給与住宅があります。これは会社、事業所がその従業員に対して現物給与として住宅を供給するもので、前資本主義的な従属者に対する主人の給与住宅にその源流を求められるかも知れません。資本主義の発展とともに、まずあらわれてきたのが工場寄宿舎、炭鉱住宅などで、一般の貸家供給の期待されない地域に特珠な労働力を拘束、集積するために、事業主によってつくられたものです。八幡、タ張などはそのような住宅を中心とした工業都市です。戦争直後は石炭増産の政策にしたがって炭鉱住宅が大いに建設されました。同じく労働力確保といっても、低賃金を保証するためのもの、僻地、居住不適地での居住施設としてのもの、職階制的な権威づけのためのものなどの若干色あいを異にするものを含んでいます。しかし、住宅経営としての共通点は、賃金として支払われるべきものを現物給与という形で、事業経営者の厚生施設として住宅がつくられ、その管理運営は労働者に対する支配の手段となっていること、住宅経営の独立採算制を表面に出さず、無料またはきわめて低い使用料によって運営している点です。その質については低劣なものが多く、かつ個別資本の枠内で行なわれるため企業中心的で、また居住者にとってしばしば拘束的かつ非民主的なものですが、国民の住居水準を確保するため、国民の民主的な創意の下に将来国民的規模において推進されるべき住宅経営の型に通じる点をもっていることは注目されます。
都市化の発展にともなう住宅需要の大型化に対応して、最近では公私ともにその経営地が小単位のものより、次第に大規模なものがあらわれてきました。大団地の出現は、住宅経営の対象を個々の住宅にとどめておかず、環境条件の開発や大きな地域社会の経営にそのスケールを拡大させました。大量住宅供給者である住宅公団や民間団地建設者は、住宅供給を軸にして、団地施設の整備やアフターサービスといった仕事を住宅経営の重要な部分としてきています。こうして、住宅経営の受けもつ範囲は都市経営の領域にまで及び、住民が共同で消費する地域的な諸施設の充足と管理という従来背後にかくされていた問題が、誰によってどのように遂行されるかということを、住宅経営のきわめて現代的な課題としてうかびあがらせてきました。これに対する団地や地域社会における居住者の動きは、一部で注目すべき運動もみせていますが、まだ十分な発展をみていません。
住宅経営の主体についての戦後の新しい現象は、民間の大資本が参加してきたことで、住宅の生産、供給、流通、管理を同資本系統の複数企業の合同によって経営する場合が生まれたことです。最近の動きとしては、民間のディベロッパーという形で大資本の積極的な経営参加が一部で期待されています。このようにして現在の住宅経営の主体は、民間と公共、民間における大資本から小資本に至る底辺の広い構成しており、経営の階層分化と多様な展開が、住宅経営の今日的状況です。そしてこれは、居住者の階層分化、住居水準の階層分化に対応しているといえます。

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