住宅経営の特質

住宅は売手と買手によって形成される住宅市場における一種の商品とみることができます。しかし、この商品は他の一般商品と比べて消費の長期性、固定性、および他の生活物資と比較してきわめて高価という特徴をもっています。第1に住宅は長期にわたって消費される特殊な商品です。生活に欠かせない耐久消費財ですが高価です。このような性格をもつ住宅は、その使用価値を一定の期間だけ時間的に切り売りされます。つまり、賃貸されることができます。それは一時的使用権の売買、すなわち貸家として賃貸借される方が多い商品です。一般の商品では建売住宅のように所有権の売買が主要な形態ですが、住宅ではそれよりもこの一時的使用権の売買、つまり賃貸借の方が多くみられます。したがって住宅を供給する経営は、建てて売る建売業と一時的に使用権を売る貸家業とに分けられます。これを居住者の側からいえば持家と借家です。長期消費財としての住宅が流通面に現われるいま一つの特徴は、一つの住宅が何度も市場に現われてくることです。住宅供給は、新築される住宅と、現存する住宅と二つの種類で構成されています。前者はフローとしての住宅供給であり、後者はストックとしてのそれです。住宅不足の著しい今日では、借家人がかなり固定していますが、一般に貸家住宅は新しい需要の変化に対して流動的に対応しています。しかし、持家の場合でも居住者が売手として現われてくることもあります。日本ではこの種の供給量は統計的に明らかにされていませんが、住宅の転売市場の確立しているアメリカでは、新しい住宅が古くなって値下りしてさらに低所得者に浸透していく現象をフィルタレーションといい、年間全人口の20%程度に達しています。これは、需要者の階層的格差と長期消耗品としての住宅を結びつけるメカニズムとして注目されます。ここでは住宅市場の大部分が住宅ストックの売買市場であって、新築はそれを調整する役割を果たしているというふうにみられます。このプロセスでは、不動産取引が住宅経営の重要な一要素となっていることは見のがせません。

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間取り

住宅の消費が長期にわたって行なわれるということから、家族構成、生活内容の変化、住宅の老朽化、陳腐化がこれとからみあってきます。その過程は経営のタイプによって異なりますが、このため維持補修、改造、改築さらに住みかえなどといった問題が住宅経営にとって重要な現象となってきます。こうした長期にわたる経営条件の予測の困難さ、不安から保険制度の未発達の場合、著しく貸家経営を投機的性格のものにすることになっているといえます。
第2に、住宅は一般に土地に固定されていることから、土地との関係が住宅経営についてまわります。あるいは、主要な問題となってきます。通常、住宅を建設し供給するためには、敷地を前もって用意しなければならず、住宅の使用は土地の使用を前提とします。このことから、住宅の供給は土地の所有にもとづく財産的関係、立地上の空間的な関係などの制約をうけます。その販売市場は固定されており、土地柄が住宅とその需要者層の性格を規定します。つまり、住宅の市場は地域的であるといえます。これは、比較的広域的な都市圏といった単位でもいえるし、また都心部、下町、周辺部、推移地帯、郊外住宅地、あるいは放射線状の郊外鉄道の治線方面といったセクター別、さらには何々町といったその内部のより狭い地域についても指摘されます。後者については、市場の性格は、都市における地域分化の状況とその土地柄や風格に大きく影響されます。また、都市発展にともなって、地域の性格に発展、変化がおこり、住宅市場の内容も変わります。例えば都市の縁辺部では、周辺部の職場に近く居住しなければならない低収入層の住宅が立地していますが、都市の発展と共に、やがてその中に巻き込まれ、最後に追い出されるか、過密不良環境地区に変わっていくというようなことが起こります。前者については、交通機関の発達によって都市の圏域が拡大されていきます。しかし、居住者はやはり、限られた範囲の地域の住宅市場に制約されており、一地域の極瑞な過密と他地域の低密度が同時に共存します。この問題をより広い範囲でいえば、大都市では住宅が不足しているにもかかわらず、人口の減少しつつある都市や農村では空家が増加します。程度の差こそあれ、このような状態は常に見出されます。
土地との関係でいま一つ指摘しなければならないことは、住宅経営が基盤としている土地が、上物と独立して経営の対象となることであり、土地問題の動きが、住宅経営に大きな制約を与えることです。土地が潤沢に供給されている場合は問題はありませんが、都市化の急激な進展で、他のより高利潤を支える土地利用と競合する場合、また地価の値上りがインフレーション、都市化などで急速となる場合などでは、住宅の価格や家賃の高騰を通じて土地問題は住宅供給と住宅経営を圧迫する大きな原因となります。また、都市の資本主義的な成長、発展は、住宅地の都心からの追い出し、遠隔化、不合理な配置、環境低下と階属分化などをひきおこします。したがって、これらの障害を除こうとする都市計画や土地政策など経済外的な政策が、宅地開発や都市内部の再開発を誘導し、住宅経営の動向を左右する重要な要素となってきます。
さらに、土地に固定しているというところから流通システムの特殊性という特徴をもたらします。成長をとげている民間建売、分譲住宅のように、生産者、供給者が販売のイニシアティブをとっていたり、公的住宅のような公募制による窓口の存在するタイプはまだしも、新築住宅、アパートおよび中古住宅、アパートの流通は、多くの零細な仲介人の情報によって行なわれており、彼らは土地、住宅の市場が不完全であることをよりどころにして、その経営活動を成立させています。不動産仲介業は住宅経営の重要な要素の一つですが、これらの情報交流をより広範、敏速、確実にすることは、現実に好ましい住宅経営の発展にとってきわめて大切なことであることは明らかです。

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