民間による住宅経営

民間による住宅供給の形態としては、分譲宅地、建売独立住宅、分譲アパート、個人経営アパートがあります。この四つの形態に経営上影響を及ぼす要因によって概観すると、第1の要因としては土地があります。住宅が一般商品と異なる特質として土地との結合があります。全ての住宅に土地価格はついてまわり、土地価格の高騰が著しければ、これが経営に与える影響は大きい。土地は他の物価よりも変動が大きく、建築費は土地に比較して変動が少ない。つまり供給原価は用地費の変動によって左右されやすい。この面から地価が高騰する時は、用地費比率の低い供給形態の方が地価の影響が少ないので、市場での競争力は強く、今後の住宅経営の主流になると思われます。さらに、賃貸方式では用地費比率が大きければそれだけ投下資金が大きく、回収が長期化します。そこで現状では、用地費比率を小さくするか、投下資金の長期回収に耐えうるものでなければ賃貸方式の供給はできません。個人経営アパートは手持ちの土地を利用して経営されるのが大部分であるので、用地費の比率はゼロに等しいかまたは地代程度のものしか含まれていません。日本住宅公団でもこのことを示しており、立地として家主と同一棟内、家主と同一敷地内、家主の家から歩いていけるところにあるものが、全体の97.75%を占めています。つまり土地に対する新規投資は行なわず、従来から所有の土地に建物だけ新設し、アパートを経営するという型です。

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第2には、立地条件が重要です。原則として、住宅の理想的な立地には通勤の容易さ、生活の便利さ、そして環境の良さが要求されます。通勤と生活の便利さからは、都心に近い程、好立地であり、人間生活の面からは、緑の多い周辺環境のよい郊外が住宅適地と言えます。都心の再開発はクリアランスを伴うので、面積的にも、価格の面からも規制され、供給の多くは都外でなされています。もし都心で住宅供給を行なうとすれば分譲アパート形式をとらざるを得ません。したがって、郊外における生活環境という条件と都心周辺市街地への時間距離、便益性という条件との比較において需要者の立地選択はなされます。つまり都市周辺市街地の分譲アパートか、郊外の建売独立住宅、分譲宅地の選択となります。
また、供給者の立地条件は都心周辺市街地と郊外の土地取得の難易、および開発利益の比較において選択がなされます。需要側の条件を供給側から検討すると、時間距離は交通システムによって改善されうるし、生活の便益性、環境も社会資本の投下によって改善しうります。この際、両条件を効率よく改善するには、大規模開発が有効になってきます。
一般的にいって、従来は市街地に隣接した小規模な開発が多く、在来の社会資本を利用するだけで、住宅経営の中に交通をはじめとする各種社会資本を組み入れた経営手法はみられませんでした。ところが最近では、住宅経営は地域的に拡大し、社会資本の投下されていない未開発地域が対象となってきたため、地方財政のひっ迫をきたし、ここに社会資本を誰がどのように負担するかの、いわゆる社会資本の分担問題が発生しました。この問題を避けては、本来の住宅経営を遂行することは不可能となりました。
さらに特殊なケースとして個人経営アパートの立地は需要の面から強い規制を受けています。この需要層は比較的低所得層であり、住宅の位置をその生計上限定されるいわゆる立地限定型需要層です。東京都内の個人経営アパートの立地も、このことを示しています。個人経営アパートは、公的住宅の不足を補う型で存在しますが、たとえ競合しても、この立地条件により十分存在しうるのです。
第3に価格の要因をあげなければなりません。都心からの時間距離と各種住宅形態の価格を考慮すると都心では分譲アパートが、郊外では建売独立住宅が有利となります。ところが、建売独立住宅は分譲アパートの場合と異なり土地を専有するので土地価格の高騰が期待でき、実際には均衡点を都心に近づけて、分譲アパートの立地をせばめています。需要者が、分譲アパートを購入すれば、時間距離だけ都心に近い便利さが得られます。これを逆に経営的にみると、需要者の購入力をどこに想定するかにより、立地が限定されてきます。分譲アパートの価格の問題点として、建築の産業構造に起因するものがあります。建築する際に中高層分譲アパートは総括請負制をとり、幾段階もの利益が上積みされます。この価格が、旧来の大工建築をとる小規模のものと競合するため、分譲アパートはプレハブ化等による総括請負制を合理化する必要に追られます。また、分譲宅地と建売独立住宅の比較では、建売独立住宅の価格が当然高くなります。需要者は選択の基準を手持資金で判断する傾向にあるため、建売独立住宅は、一区画の土地面積を分譲宅地より小さくして、競争にたえねばなりません。
第4に、利益追求と主体の問題があります。近年、他産業からの住宅供給産業への進出がめざましく、不動度協会加盟の企業にこの間の事情をみると次の傾向が現われています。まず資本金では、年々進出する企業の規模は大きくなっており、資本系統では,昭和29年頃までは、本来の住宅供給業ともいうべき、不動産、私鉄、信託銀行,銀行が主力でした。昭和30年から35年になると、これに住宅関連産業である建設業や、比較的進出しやすい生命保険業の系列のものが加わりました。さらに35年以後になると、本業が斜陽化したため進出を余儀なくされた鉱業系列のものや、多角化を目的とした商社系列などがみられます。こうして、第1次産業から、第3次産業の系列まで、多彩な顔ぶれとなり、他産業にはみられぬ特色を持ちます。これは地価の高騰が激しいので、確実に利益が得られるためです。
しかし、ここで問題となるのは、住宅供給産業各分野に他産業からの進出が見られるのではなく、利益率の高い分譲宅地部門へ集中していることです。これは分譲宅地部門に比較し、建売独立住宅部門の利益が低いことを意味しています。その上、建売独立住宅は住宅建築費だけ多くの資金量を要し、需要者の嗜好をも考えると危険負担は大きい。さらにアフターサービスの面倒なことも加わって、この部門への進出を逡巡させています。
宅地分譲の利益には宅地化による価値増殖分と、投下資本に対する危険負担分が一部含まれますが、大部分は経済情勢、社会情勢からくる地価全般の高騰に依存したものといえます。宅地を地価高騰にのせ、右から左へ移すことには、比較的経営的努力を必要とせず、高地価に対処し、新しい注宅供給システムを生みだして地価の上昇分を経営努力で解消するという本来の経営の姿を欠いています。このことから、容易に高利益を追求するために住宅供給へ参加した他産業資本は、不利益となる事熊がくれば、直ちに他部門へ逃避することも考えられ、そこには本来の住宅経営は期待できません。

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