持家と借家の問題

持家と借家の優位性の比較は相対的でもあり、また絶対的でもあります。相対的な意味としては、例えば最近の建売、分譲住宅経営が盛んである事実は、適切な貸家経営が非常に少ないことの裏返しとしてあらわれています。これらの大半が割賦販売方式をとっていることから判断して建売、分譲住宅は所有関係の分類においては持家の範囲に入りますが、実質上住居費支出の形態からみると一定期間家賃の支払をつづけることになり、それは半ば借家化した持家です。さらに、信用制度が普及し、流通交換のシステムが完備してくることを仮定した場合、持家であってもかなり自由に住みかえができる可能性がでてきて、持家と借家の距離が狭まることも予想されます。しかし絶対的な意味としては、一定の居住水準を前提とする場合、家族の成長過程に要求される住宅がかわっていくという事実は、社会的に個々の家族の住み替えによる適合住宅の確保という点からみて、巨大な人口集団を取容する都市においては、基本的に借家の方が優位である点が指摘されます。さらにまた、大都市にたえまなく増加する流入人口をうけいれる住宅として借家が機能していることがあげられねばなりません。日本の都市では、当分の間,なおしばらく人口移動率、若年層率、雇用者率の増加現象がみられることは疑いありません。さらに人口の流動性の増加は、将来も十分考えておかねばなりません。これにこたえるために、借家が都市住宅のうちもっとも進んだ存在であることにはかわりはありません。

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全体として、住宅経営が持家化に強く傾斜していくことは、住宅における格差、階層差を強めるとともに、各級の空家が実在するという住宅事情の緩和や、転売市場の確立が存在しない場合は、住宅と居住者間の不適合や、居住者への負但と住生活の歪みを強めることになります。また、持家経営は、維持、管理過程を居住者に委ねることに利点があるかのように考えられていますが、それは一方に、住宅の維持、管理や住生活の分散、非能率化を引き起こし、他方では持家主義そのものに存在するいわゆるマイホーム主義に埋没させ、日本では社会的経験として未熟な居住地全体の経営の向上を目指す地域観の育成を阻害しかねません。住宅の質的向上が、居住者の主体的な、地域をも含めた住宅管理の向上によって可能ですが、住宅経営が個人個人に分断されてしまうことは、地域社会の連帯の中での生活の向上、発展を求めていく伝統に乏しい日本において、居住地の集団的な径営の経験を蓄積していくことを困難にする面のあることを指摘しておかねばなりません。
国民の住生活を確保するためには、様々な階層の居住者に、規模、質、価格の点でそれぞれの所得にみあった適切な住宅を供給しうる合理的な住宅市場の形成されていることが必要です。しかし、低収入層に対しては、その支出しうる住居費の限界から民間住宅経営を通じては望ましい住宅を供給することが困難です。このため住宅政策として公的な住宅供給が行なわれているわけですが、営利を目的とせず、建設費に対する国の補助や低利融資など経営採算に有利な条件をもつ公共住宅に対して、そのような条件をもたない民間住宅は支払価格に対するサービスの内容が悪く、両者の間に大きな格差を生しています。これは低収入層のための政策として供給されるのであるため、当然ではありますが、公共住宅は現状では量がきわめて少なく、したがって居住者層による民間、公共の分担関係が確立されているわけではなく、低収入層に対する民間住宅も必須のものとなり、その結果、支払価格とサービスに無数の対応がみられ住宅市場は混乱しています。さらに公共住宅においても、それぞれ独立採算性が原則として採用されているため、その中にも無数のアンバランスが生じ、特に物価の急速な上昇のため新しく供給される住宅は、家賃改訂など政策上行ないえない古い住宅に対してたえず割高となり、古い住宅の居住者は多少条件が不通合となっても動こうとはせず、需給調整は不可能となって市場形成を妨げています。低取入層に対しては、その所得全体の改善が求められない以上、社会的に必要な居住水準を維持するためには、その家賃をたとえば所得のおよそ10%といった居住者が負担しうる額の使用料とし、それが経済的家賃に満たない場合には、その差額を政府、公共団体が援助するという方法が当然考えられてきます。このような家賃補助政策は、個々の供給住宅の独立採算制の現状によるアンバランスと硬直性をときほぐす点で、合理的な面をもっていることはみのがせません。これは米価におげる二重価格制に通じるところがありますが、住宅経営は社会的性格の濃厚なものであることを考えると一考に値する方向です。

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