賃料事例比較法

貸家あるいはアパートの家賃について、あの地域では1坪あたり15,000円であるとか、あの辺の住宅地では借地の地代相場は1平方メートル当り200円であるといったことをよく耳にしますが、このいわゆる相場は当該地域の実例を基礎にしたものが多い。このように同類型の資産との事例比較による賃料を求める方式は賃料事例比較法といわれるもので、賃貸借の事例となった同類型の不動産と対象不動産とについて、品等、時点、賃貸借等の契約の内容などを比較対照して対象不動産の賃料を求めようとする方式であると賃料基準に規定されています。この方式は、一般に経験的に理解し易い方式であって、対象不動産と同類型の不動産に係る賃貸借等の事例を取集し、その不動産と対象不動産とについて比較することによって賃料を求めようとするものです。不動産の賃貸借等に当たって、同等の効用、機能をもつ複数の不動産が選択される場合は、賃料の安いものが選ばれます。また同じ賃料の場合は、効用の高いものが選ばれるものです。したがって、同等の快適性や取益性を有する不動産相互にあっては、一般人が経済的に行動する限り、代替の原則が機能し、これらの賃料は一致する傾向を有するものです。一方、現実の賃貸借等に当たって、不動産賃貸借の当事者は、その賃料を決定するに際し、他の同類型の賃料と比較して行動するものであり、その比較に際しては当設不動産の用途の指定など契約内容も含めて比較するものです。したがってこの方式は、賃貸借等の当事者、つまり貸主と借主の現実の経済行為に即したものであるとされています。

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賃料事例比較法は、借地や貸家の実際の契約事例を多数収集し、そのうちから比較するのに適切な事例を選択し、その事例の各々について時点の修正および事例の補正を行ない、次に不動産の賃料を形成している個別的要因を比較検討して、比準賃料を決定するものです。この方式において留意しなければならない諸点は、次のとおりです。
1. 適切な賃貸事例を収集選択すること。
木造住宅の貸家の賃料を判断するのにね非木造住宅の貸家の賃料を調査することは意味がなく、また高級住宅地の貸家賃料について、地域の異なる一般住宅の賃料事例を収集するとか、あるいは商店の用途の貸家の場合に住宅の賃料事例を調査収集するとかは意味のないことです。このように、この方式の適用に当たって、まず要請されるのは適切な賃貸借等の事例の収集です。つまり、これらの事例は対象不動産に対して規範性を有するものでなければなりません。この規範性は不動産の位置、形状、構成材料、規模、用途など、不動産の個性を形成している個別的要員の面からの物的同一性、その不動産の置かれている近憐環境などの面からの場所的同一性および対象不動産の価格時点と同一もしくは近接している時点であるか否かの時間的同一性の三つの同一性にかかっているものです。最近、大型化された賃貸マンション等は、そのテナント募集にあたり賃貸条件を公表している場合が多く、賃貸事例として参考になる場合が少なくありません。
2. 時点修正について。
場所的にも物的にも近似した賃貸借事例が収集せられても、その事例が求める対象不動産の賃料の価格時点より、はるかに過去の事例では規範性を欠くものです。このように賃貸借等の契約時点と価格時点との間に価格水準の変動がないことが望ましいのですが、現実には双方の時点が同一、または価格水準が同一であることは稀であり、このような場合、賃貸借時点の賃料を価格時点の賃料に修正する必要があり、これを時点修正と呼んでいます。時点修正をおこなうため、契約時点における賃料に乗じる率が変動率であり、この変動率を決定するには、適切な資料と的確な判断力を要するものです。変動率は対象不動産の価格並びに対象不動産の所在する地域、もしくは対象不動産の所在する地域と類似の地域における相似の用途の土地の価格、構成材料の価格、労賃、期待利回り等の変動率を総合考慮して決定すべきであると鑑定基準に規定されています。
具体的には建物については標準建築費指数を参考とし、土地については、比較的広域なものとして日本不動産研究所による市街地価格指数があげられ、このほか大蔵省各国税局の路線価格の推移や、各地区の不動産協会などが発表している価格の推移を十分参酌して決定する必要があります。
3. 事情補正について。
不動産の賃料は取引の事情により左右されるものであるため、賃貸借等の事例取集に際しては、契約の時点、賃料のみならず、必ず契約締結時の事情を追求して、正常な契約であるか、異常な事情がなかったかを判別し、その補正を行なわなければなりません。それらのポイントとしては次の点があります。
場所的同一性の検討。動機についての調査。貸急ぎ、借急ぎ等の事情調査。契約当事者の特殊性の有無、親族間、友人間、同系列の会社間の賃貸借等があります。
4. 不動産の賃料を形成する個別的要因。
不動産は、それが土地である場合は位置、面積、形状、地盤、方位など、建物の場合は構造、建築資材、形態、配置、面積、施工の質と量などにより、品等、有用性を知る必要があります。これにより対象不動産と事例不動産を比較考量することができます。

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