賃貸住宅の経営

住宅市場は、様々な種類の住宅群から構成され、大きくいえば持家、借家、給与住宅の3種類にわけることができます。それぞれの群は、さらにこまかくわけられます。そして、これらのなかで借家についてみると、一戸建、長屋建、木造アパート、文化住宅、マンションなど建築形熊上の区別、民間貸家と、公営住宅、公団住宅、住宅供給公社などの公共的貸家といった経営主体による区別があります。そして、それぞれの型の貸家を供給する経営と、家賃支払能力により区分される借家人の階層との間には、一定の対応関係が保たれます。正確にいえば、住まい方、住居形式、立地条件、あるいは住居観を媒介とする対応関係があります。借家住まいは、住居の所有と利用の分離を特徴とするものです。借家は、古くから都市住民の広汎な層に対応する住宅型として、様々な形態、立地条件のもとに、その経営形態を多様に分化させてきました。しかし、圧倒的部分をしめたのは、労働者階級を対象とする借家です。したがって、一時的、地域的に借家の減少傾向がみられることがあっても、潜在的な借家需要がなくなることはありえず、これまでも、それだけのことで住宅市場における借家の支配的地位がゆらぐことはありませんでした。借家人階層の大半が労働者階級であるということは、その収入が決して高いものでないことを意味し、その家賃負担能力の限界をぎわめて低いものとします。また彼らの収入が、つねに不安定さを伴うことは、家賃滞納のリスクを避けられないものとします。それゆえ貸家経営は、運営の困難さにもかかわらず、それにふさわしい利潤を確保することができず、また、長期にわたって安定した利潤を保証することも不可能でした。それゆえ、近代的な大資本は貸家経営に全面的に乗りだすことができず、もっぱら非近代的な零細資本の市場とみなされてきたし、現在もそうです。

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戦前には、労働者向け長屋を対象とする経営が主流をしめ、一部中産階級を対象とする一戸建貸家を供給する経営も存在しました。そして、単身の労働者、サラリーマンを対象とするアパート経営もすでにあらわれていましたが、昭和5年頃を境にして急速に成長しはじめました。そして戦後は、一方ですでに耐用年限に達し、投下資金の回収もおわった統制貸家を、依然として運用しつづける戦前からの経営が残存すると同時に、他方では、新しく木造アパート、文化住宅の経営が創設されました。また高級マンションの経営の成立が可能になりました。以上民間の経営に対し、公営、公社、公団などの公共団体の手になるRCアパート経営も誕生しました。
民間経営による木造の共同住宅形式の借家は、現在借家市場の中心的存在となっています。その一つは、戦前にはじまり、戦後隆盛をきわめているアパート形式のものであり、他の一つは、関西地方で文化住宅とよんでいる長屋形式のものです。
戦前すでに、1棟20戸前後の1室住戸を2層に債んだいわゆるアパートが存在しました。しかし、これは下宿屋の延長のようなもので、共用施設として食堂、談話室などを備え、上足の廊下を通じて各住戸に達するものでした。ところが戦後のアパートは、下宿屋的スタイルから抜けだし、それぞれの部屋は独立した住戸として機能するよう考慮され、住戸ごとに簡単ではあっても最低限水道、ガスなどの炊事施設をもうけ、直接土足で住戸の戸口に通じるものに変わりました。
アパートの立地は、借家人の通勤条件に強く規制されますが、より直接的には経営条件に支配されるといえます。そこで東京の例をあげれば、山手線のすぐ外側の既成市街地に立地するものと、デルタ地帯に立地するものは、職場との関連でブルーカラーないしは都心的職業に従事する人びとを対象とするものです。また、郊外地域では、ホワイトカラーを対象として、長屋建、一戸建借家にかなり近い比較的質の高いアパートが、郊外電車の沿線に立地しています。しかし、個々のアパートの立地点ということになると、既成市街地の内部にあっては、もっぱら既存建物の立替、ないしは庭先の余裕地を利用したものが多く、敷地規模から くる制約はきわめて厳しく、また、市街地周辺から外側にかけてみられる新規開発型にあっては、経営的条件の制約をうけて環境条件の適不適を考慮する余地はなく、低湿地であるとか、公害の悪れがあるとか、通勤や日常の買物に不便であるとかいった条件を無視して建設が行なわれています。そして、新しいタイプの木造アパートは,昭和29年以降関西地方の都市で急速に増加し、やや遅れて31年ごろがら東京でもこの傾向が顕著となりました。35年には全国市部で連設された専用住宅の40%が借家、うち70%が共同住宅となり、さらに5年後の40年には、5大都市において、民営借家は55%うち40%強が共同住宅と、増勢をつづけてきました。

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