アパート経営の概観

戦後より新しい貸家経営としてスタートしたアパート経営は、はじめその所有規模はたかだか1練数住戸程度のものでした。戦前のアパートの経営が、1棟20から25住戸のアパートを1ないしは数棟所有したのにくらべると、はるかに小規模なものです。その後東京では、6から10住戸棟を1棟だけ所有する極小規模の経営と、これよりやや規模の大きい11から20住戸棟のアパートを所有する経営への分化が行なわれました。大阪では、アパート20から25住戸棟、文化住宅10から15住戸棟が標準であることから、東京のような極小規模の経営はあまり見られませんでしたが、やはり1経営1棟というケースが圧倒的に多い点は同様です。また、ときには複数棟を所有する経営も存在しますが、その数は全体の10から20%にすぎず、これらの経営が、必ずしもそのまま大規模経営にむすぴつくとはかぎりません。つまり、一部には複数棟を所有するにもかかわらず、その経営規模がさほど大きくなりえないきわめて弱体な経営が存在し、その数も決して少なくない一方、大規模経営で復数棟を所有するものは、広汎な不動産経営を指向するという点で、経営数はさほど多くないが注目に値します。しかし、これらのアパート経営は、たとえそれがここでいう大規模経営であっても、その投下する資金額という点では、用地費ないしは土地評価額を加算しても、その所有住戸数から判断して、億の単位に達することは不可能であり、たかだか数千万円に達しうるだけです。つまり、大資本で木造アパートの経営に参加するものは皆無であり、他の業界で中堅にランクされる程度の資本の参加もきわめてまれです。そして、もっぱら零細な個人的資本が木造アパート経営にあたっています。

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間取り

借家人の要求、家賃負担能力からくる需要の性格と、これに対する貸家経営の形態、内容は、新しい借家関係を生みだしました。その第1の特徴は、多額の一時金を伴う家賃形態の一般化です。この一時金は、借家人に対して過大な負担を強いる一方で、経営の側にとって投下資金の回取をはやめ、実質的な固定資本を少額にとどめるという役割を果たしています。第2の特徴は、契約期間を2年から3年の短期に約定し、契約期間満了と同時に家賃額の改訂を行なうことが常識化したことにあらわれる、契約の明確化です。
月々の家賃以外に一時金を授受することは、戦前にも例がなかったわけではなく、敷金の形で家賃の2〜3カ月分を徴収することが行なわれていました。しかし、これはあくまでも借家契約を保証するためのものとみなされており、一般には直接経営的配慮から出たものではありませんでした。ただ、大規模経営においては、敷金収入が経営拡大にふり向けられる場合もありました。また借家不足の折に、高額の一時金が要求されることもないではなかったのですが、それはあくまでも偶然的超過利潤とみなされていました。ところが、戦後は高額の一時金を伴う借家関係が一般化するようになりました。
戦後しばらくの時期にあらわれた権利金は、家賃統制に対する脱法行為として、形式上授受しにくい高額家賃が形をかえたものでした。そこで、家賃が高ければ権利金は低く、家賃が低ければ権利金は高いという関係が成立しました。しかし、この種の権利金は、家主家計への直接の貢献が考慮されるにすぎず、貸家経営の内的必然性に由未するものとはいえませんでした。
ところが昭和25年頃から後は、もっぱら経営的考慮から出た一時金があらわれてきました。そして最初のうちは、その形態も様々でしたが次第に整理されてきました。はじめのころは、権利金、譲渡権利金、保証金、礼金、敷金など一時金の呼称、額もまちまちであり、その性格をあいまいにしたまま、何種類もの一時金の授受が同時に行なわれることもありました。しかし最近では、家賃の月額の1〜3カ月分を、契約解除時に必ず返却する本来的な敷金としてとるほか、3年前後の借家期間を限定したうえで全く返却を行なうことのない権利金、礼金を、家賃2〜3カ月相当分とるのが一般的になりました。大阪では、保証金という呼称で家賃10カ月分をとりますが、うち8割は契約解除時に返却し、残りの2割は返却しないという形式をとります。このことは、8カ月分の敷金と2カ月分の権利金に相当するわけです。なお、敷金、権利金の額は、建物の質、貸家経営の性格によってある程度の幅をもっています。

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