アパートの経営者

アパート経営者の性格を、家主の職業でみてみると、まず次のようなことが指摘できます。東京では、家主専業、サラリーマン、個人業主がほぽ1/3ずつを占めています。これに対し大阪では家主専業1/3、個人業主1/2、残り1/6がサラリーマン、農家によって占められています。そして、わずか1棟を所有したことにより家主になったものが大半です。専業者中いわゆる地主、家主とみずから名乗るものは数%にすぎません。また、専業経営のうちでも、その約1/2が借家経営を従と認めています。つまり、借家経営だけを業とする家主専業といっても、戦前のある時期一部にみられた、貸家経営自体の内部で拡大再生産を行なう本格派の経営を意味しているのではなく、わずかの資産、資金を運用して生活保障、資産保全のために貸家経営を行なうものであることを示しているにすぎません。また、家主の大半をしめる都市中産階級は、各種の個人経営者出身と、一般俸給生活者出身に大別することができます。個人経営者のうちでも、借家経営にとってなんらかの便宜を得ることのできる建設関係業者、不動産取引業者、金融業者、農家などの出身が多い。そして、アパート取得と同時に、彼らの生活のなかに占める借家経営の比重はそれなりに高いものとなり、大規模経営がなにかしかずつでも専業、兼業の方向に傾斜するものが約2/3あらわれます。これに反し、小規模経営でみられる著しい専業化傾向は、主となるべきこれといった職がないという意味のものであり、貸家経営としての完成度を示すものではありません。しかし、この種の経営を行なう家主の専業化は、彼らが過去の職業を離税して貸家経営を生活の主要な部分にすることを意味します。また、より貸家経営に近い職種、例えば不動産取引業、地主などに、その職業を転換し貸家経営の側に急激に近づこうとするものもあります。

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間取り

本来、貸家経営とは、住宅を提供する対価として家賃取入を獲得するものである以上、経営の成立は一定類の資金を投じて賃貸対象家屋を手に入れるところからはじまります。この点で、経営を成立させる根底にある条件として、経営資金の性格、その額、あるいはこれを補うものとして、家屋、敷地の取得に関する特殊条件を考える必要があります。さらには、家主の経営をはじめたいという主観的動機がからみあってきます。
経営の対象物であるアパートを取得するためには、自己資金であるか借入金であるかは問わないにしろ、あらかじめ一定額の資金が必要です。実際には、全額あるいは少なくとも一部自己資金によるものが大部分をしめ、借入金だけに依存するものは特例です。
経営を拡大するにあたっても、貸家経営自体から得られた資金を全面的あるいは部分的に投入するのが普通であり、自己資金を利用するものも、貸家経営以外から得られた資金によるものが多いという点で、拡大運動は大きく外部の力に依存しています。しかも、経営規模が大きくなればなるほど、建物取得に要する資金の量は大きくなり、自己資金だけでは不足となり、借入金に依存する度合いは大きくなります。しかし、貸家経営の持つ特殊牲からいっても、家主階層が持つ信用力からいっても、一般的にいえば困難がつきまといます。ただ、大規模経営の段階までのぽりつめると、自己資金として経営内での蓄績を利用することが可能となるという点で、経営外からの資金にたよることが少なくなり、借入金のうえでも保有資産の担保力が、金融機関からの融資をうけやすくします。
一方、新しく経営を創設するものにあっても、少なくともなにかしかの自己資金の保有が必要な前提条件です。この資金を用意しうるのは、主として個人経営主あるいは俸給生活者といった中産階級の一部分です。そして、その回転率の低さと危険率の高いことのために、一般の資本がとかく避けて通ろうとする貸家経営をめあてに流れ込んでくるのは、不動産を売却して得た資金、退職金などの一時金、あるいは、俸給生活者、個人経営者として得た一般蓄積など、事業資金としてはきわめて零細な個人的資金にあるといえます。そして、自己資金に限っていうならば、様々な種類の資金をかきあつめて投入するといった事例は少なく、比較的純粋なある特定の資金です。したがって、その額はさほど大きなものとなりえないと考えられます。また、不動産売却代金は、売却した不動産が上げていたよりも、より確実なより多額の収益を保証してくれるものであるという見通しのもとに、転換を行なったものであり、どちらかといえば財産保全的性格のものとして理解するのが適当です。
借入金についていえば、かつて貸家経営の成立、拡大に大きな役割を果たした不動産金融は、一時期の引締めがゆるんでようやく活況をみせはじめましたが、これらの零細経営には、不動産銀行あるいは一般銀行の資金は十分流れるに至っていません。その結果、一部ではかなり高利の融資をうけることが行なわれていますが、残りは人間的つながりに依存する親戚などからの借入金にたよらざるをえません。
これ以外にも、借家人からの一時金や、建設業者の立替金など、今日の貸家経営が運用しうる特殊な資金があります。一時金についていえば、返還を条件とする敷金は、経営にとっては、自己資金の不足を補うものとして必要な借入金を、経営開始直後において、借家人から無利子で借家期間中借入ることを意味します。借家人の交代にあたって再度敷金をとるなら、その借入期間は無限に続くことになります。また、返還を要しない権利金についていえば、これは建物の価値の一時的、大量的な実現であり、借入金の返済を短期間に完了させることを助けるという役割を果たし、実質的には自己資金の投下額を、はるかに低くおさえる作用を果たします。そして、この一時金の額が多ければ多いほど、経営にとっては有利なわけであり、経営の採算性をより重視する大規模経営ほど、小規模経営に比べ多額の一時金をとる傾向にあります。

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