アパート経営の内容

戦前では確実な採算性にもとづき、それ自体として拡大運動を行ないうるほどの経営にあっては、不景気の際、既存家屋の買取りが経営拡大の重要な手段の一つでした。また好景気の際に、増大する需要を見込んで新たに貸家経営にのりだす経営を目当てに、建売大工による貸家建設が行なわれていました。しかし、戦後アパート経営は、当初もっぱら家主の自己建設によっていました。ところが、アパート経営が盛んになりはじめた1950年代のおわり頃から、家主の直接の注文によらない、売りアパートの建設が再び見受けられるようになりました。

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このような売りアパートの建設者は、建売業者、貸家建設を目的とするある種の金主、土地提供者、ないしは不動産取引業者といったものであったり、その連合体です。これらの人々は、貸家経営そのものを意図しているわけではなく、あくまでも貸家供給者としてその資本を機能させようと願っているのです。つまり、建売り住宅の行き詰まりから転向した建設業者、土地の取引を有利にするための手段として、そのうえにアパートを建設した地主、不動産取引業者、手待ちの資金をより有効に運用しようとする金融業者などです。したがって、貸家経営自体のもつ内的要求によって、このような経営と建設の分化がすすめられてきたとは必ずしもいい切れない面があり、むしろ貸家建設者側の意図が優先しているといって差し支えません。つまり、貸家経営が高い利回りを維持することが可能であり、これに向かってサラリーマン、個人経営主などの中産階級が、手持資金を投入するという現状のもとてのみ、このような経営から独立したアパート建設業が成立するのです。しかし、その背後には多額の一時金と高い家賃という借家人の犠牲と、きわめて少額の資本の固定を前提とする、低水準の家屋の保有という危険がかくされており、この種の貸家経営の基礎をきわめて脆弱なものとしています。また、これらのアパート供給業者は、貸家経営者にその家屋を売却する際、経営者側の条件を考慮して分割払いを認め、一時金、家賃収入を直ちに割賦金にあて、その額は経営者側できめるというより、むしろ供給者側に立つ不動産取引業者の指示によって決定されます。したがって、供給者側は投下資金の回収をなるべく早期におえ、いちはやく安全圏に逃げ込めるように、ますます多額の一時金と高い家賃をとろうとすることとなります。
このような類向は、東京でも一定のアパート売買市場を形成することを可能にし、相当数、常時出回っています。これに対応するのは、経営自体でアパートを建設し、家賃収入で何年か後に償却を終え、その後利益を得ていこうという堅実な経営ではありません。投下資本が一時金収入相当分だけ少額ですみ、入居者募集の手間もいらないという条件に着目し、零細な資本で気軽に手掛けることができ、なおかつ月々の家賃収入が一設金利よりも有利であり、株よりも安全性の高い投資であるということで成立する副業的経営です。しかも、経営の採算性の不十分さを、数年後の借家需要の今以上の急迫が、やがて家賃値上げを不可避のものとするであろうという期待でカバーするか、さもなければ地価の上昇にともなう資産評価額の上昇が、まかり間違えばアパートを売却して、貸家経営からの離脱を可能にするだろうという見通しで補うという形をとります。また大阪では、市街地の外周部に建売アパートが集中的に建設され、1棟ごとに違った家主に売却されています。そして、一説によれば、新しく創設されるアパート経営では、経営と建設が分離した型が多数を占めるようになったとさえいわれています。

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