アパート経営の型

貸家経営は大資本から見放されたところで、もっぱら零細な個人資本によって成立、運営されており、その数は非常に多くなっています。しかし、零細経営といっても、借家市場の状況といった経営の外的条件の違いに応じてあるいは家主の性格、資金の性格、額などといった経営の内部的条件の違いに応じて、その経営形態は必ずしも同一ではありません。地域ごとに経営規模の格差による差異は大きいといわねばなりません。数住戸足らずのアパートを1練所有することにより成立する、きわめて小規模な経営においては、直接投下された資金に対する利回りだけが問題にされており、その限りでは一定の利回りが確保されているといえます。しかし、現在アパートの建設が行なわれている、きわめて小規模な敷地では、企業活動に一定の限度があり、他の利用に比べていくらか有利だというほどの意味で、アパート経営が行なわれているにすぎないのです。つまり、ここでは小経営者、サラリーマンなどの家計補助的経営、あるいは老人、退職者などの生活保障的経営が行なわれているだけで、経営拡大の可能性はほとんどないといえます。

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貸家経営としていくらかでも大規模化した経営、つまり標準的規模のアパートを所有するものとなると、経営はそれなりに合理性を持とうと努力するようになります。そして、ときには経営拡大の意図が一定の必然性をもってあらわれてきます。この段階での合理性とは、安定した家賃収入により、経営自体の内部で拡大再生産を試みるという、本来的な意味のものではないにしろ、小規模経営でみられがちな、投下資金量の如何にかかわらず、もっぱら家計側からの要請で、家賃額を決定するといった粗放な運営は行なわれなくなります。アパート建設に際しても、投機的効果を放棄するにしろ、敷地を購入するより借入たほうが投入資金が少額ですむと判浙したり、一旦経営がはじまると、建物の陳腐化を防ぐため、積極的な手段を講じようとうとする態度を示したりするようになります。また、より多額の収入を確保するためには、既存建物の建替えを考慮するものさえあらわれてきます。それは小規模経営と同じく、サラリーマン、自営業主層の生活保障的、生計補助的副業として貸家経営を考えるものが多いにしろ、一定の規模の経営が成立するためには、小規模経営にみられたような、建物の入手をもっぱら建設の便宜にたよることや,用地をもっぱら自己宅地の利用におくことは不可能となり、それなりの方法が考えられる必要がうまれます。つまり、商業ベースで建物や敷地を取得せざるをえなくなります。これに対して、貸家、アパートの建売りを行なう業者があらわれ、建物の供給と経営が分離したことにより、経営成立の段階で利潤を得ることはきわめて困難となり、もっぱら連営の過程の合理化が望まれるようになります。しかも、土地、建物の供給が建設業者だけではなく、土地提供者、資金提供者、さらには不動産取引業者をもまじえた連合体となったことにより、土地、建物の入手時の融資、入居者の選定、家賃額の決定、家賃の収受にまでおよぶにいたったことは、この傾向に一層の拍車をかけました。
こうした状況のもとで、資産保全を願いアパート新築予定地を十分に確保している農家出身地主や、必要な場合には新しく用地を取得しても経営規模を拡大させたいと願う専業的家主層があらわれてきます。そして、これらの拡大を予定しうる経営は、それが成長した段階では、より大規模なアパート経営へと向かうのです。
すでに、何回かの規模拡大を経験して、数棟の木造アパートを保有する大規模経営に達すると、それ以下の規模の経営でみられた副業的な性格は払拭され、本来的な貸家経営を積極的に進めるものとなります。しかし、木造アパートだけの経営に終始しているかぎり、経営規模の拡大には限度があります。そして、経営の拡大過程で経営のより一層の合理化をはかり、より安定した収入を得るため、公的資金を利用して鉄筋コンクリートアパートを建てたり、経営密度の高い高級貸家の経営をあわせて行なうものがあらわれ、経営は住宅経営一般へと進みます。さらに進むと、賃貸住宅経営だけではなく、分譲アパート・土地経営など、不動産経営一般に関与するようになります。この際、不動産経営として必要な大土地所有、あるいは大量の資金との接触がみられないかぎり、経営規模の拡大には限度があり、大規模不動産経営への道は開かれません。

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