賃貸住宅の立地

民間賃貸住宅経営の動向を、その立地という観点からみていくと、経営条件の違いは、その対象とする貸家の型にあらわれるばかりではなく、その立地する地域の違いにもあらわれます。そして、経営の成立、運営を可能にする内外の条件の変化は、同じ型の経営においては、その立地する地域の異動となってあらわれ、同一地域内においては、経営型の交代となってあらわれます。現在、民間賃貸住宅経営の主流をなす木造アパート経営は、敷地使用権の先取を前提に成立する零細な個人資本です。敷地確保の条件が許すところならどこでも、また、確保できる敷地がどんなに小規模のものであっても、そこに木造アパートの建設を行なうことができます。しかし、実際の分布はかなり偏在しています。家主の自宅敷地の利用から出発する経営では、生活保障的、家計補助的性格の濃い場合は、既成市街地内に、農家の転業から出発する場合は、当然のことながら郊外地域に立地します。そして、自宅敷地内建設で満足できなくなった、多少経営規模の大きな、採算性にも一定の考慮を払う、自営業者層出身家主の経営では、市街化のさほど進んでいない、今なお何ほどかの空地を残している地域へ進出することが行なわれます。

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間取り

木造アパートの需要者が、職場への通勤の便、物価の安さ、暮し向きにおける気安さをもとめる工場労働者をはじめとする一般勤労者の下層であることから、すでに形成されている地域的性格を考慮したうえで具体的に選ばれます。そのうえで、供給される住戸の規模、設備、家賃がきまるという形で、経営内容にも一定の規制が加えられます。
一般貸家の経営、わけても一戸建を中心とする小規模な経営は、木造アパートのそれよりさらに小規模なものであり、かつては経営成立の契機が偶然的な建物の取得や、特定人の入居を前提としたものが多かったことから、生活保障的、家計補助的性格すら欠くものが少なくありませんでした。そこで建物の質にも格差は大きく、あらゆる層の自宅敷地内の空地が利用され、既成市街地のあらゆる部分に分布しました。ところが、やや経営規模が増大し、一戸建数住戸あるいは長屋建を所有する段階に達すると、依然として敷地の使用権の存在が前提となる生活保障的、生計補助的性格の経営であっても、次第に採算性を重んずるようになり、既成市街地内でも、さほど土地の集約的利用をはからなくてもかまいませんが、一度に数住戸を建設しうる広さの敷地がもとめられる中流以上の住宅地が選ばれます。そして地価の上昇とともに、その立地は次第に市街地の外側におしやられます。
高級化した貸家を経営するものにあっては、経営の採算性が重視されるため、敷地の単位面積当り建築費を飛躍的に上昇させることにより、土地の集約的利用を可能にすることになります。その結果、かなり地価の高い高級住宅地においても経営の成立が可能となります。しかし、経営規模を著しく拡大したものにあっては、敷地をあらたに取得する必要上、前者にくらべてやや地価の低い中流住宅地が選ばれます。このことは、需要層の嗜好とも一致します。
鉄筋コンクリートマンションの経営では、その集約的経営と、需要層の要求から、多少の高地価を恐れず、鉄筋コンクリートアパート建設が可能な広さと、ふさわしいアメニティをそなえた土地として、繁華街の近くや高級住宅地の比較的大きな団地が選ばれます。一方でアパートの質が多少低下し、公団住宅なみのものになると、郊外地域にも進出するが、駅から近いとか、敷地内施設として子どもの遊び場、駐車場などを整備するとか、よい眺望をもとめるとかいった条件がつけ加わります。

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