賃貸住宅の環境条件

賃貸住宅の立地性向は、それぞれの型の賃貸住宅が立地する地点の環境条件にも大きな格差をもたらします。既成市街地にあっては、木造アパートの建設は、最初わずかの空画地あるいは画内空地をうめる形ですすみ、近年ではより稠密な形態のアパートにおきかえられる形ですすめられています。このことは、過密居住地帝をつくりあげることになり、ところによってはアパートだけで4,700戸に達する高密度地区を生みだしています。これらの地区では、道路、下水、子供の遊び場など一切の都市施設の増設、改良は原則として行なわれないため、集積による環境の劣化が進行します。しかも、うわべだけ気のきいた粗末な木造建築は、火災、地震などの災害に対する抵抗性をきわめて弱いものにするばかりか、急速な老朽化をもたらします。また、極小住戸における過密住、住戸内での内職、下請仕事は、建物そのものと環境の劣化をさらに強めています。また、市街地化がさほど進行していない地域においても、用地取得のための費用をなんらかの形で経営コストに組み入れる必要がある場合には、用地取得費ないしは用地評価額を低くおさえることが望まれます。したがって、どうしてもまわりに比較して安価な土地、つまり駅からかなり離れたとか工場などに接する地点、あるいは低湿地とか崖くずれの恐れのある敷地など、環境条件の劣悪な土地が選ばれやすく、しかも、これらの地域の都市施設整備率が元来低いことは、アバートによる稠密な開発によってさらに拍車をかけられます。ことにアパートが集団的に建設される場合には、建築基準法の規定を無視した建て込みがみられ、低劣な環境のもとで粗悪な建物による乱雑な町並みが形成されます。そして単に、個々の住戸の質が低劣であり過密住が行なわれているというだけてはなく、開発の当初から地域として不良住宅地区化が予想され、現にそのような地区を形成しています。また、アパート居住者は、その社会的、経済的条件のうえからも低劣な条件のもとにおかれ、激しい住宅難にあえいでいます。つまり、アパートの建設、開発がはじまった瞬間、すでに問題がその内部にはらまれているという形で、住宅事情の劣悪化現象がもっとも集中的にみられる地域をつくり出しています。

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間取り

高級貸家ないしは鉄筋コンクリートマンションでは、アメニティの高い地域を選んで、地域に見合った形で建設が行なわれます。一戸建形式の貸家は、次第に郊外に脱出する傾向にあり、必要な場合には個々の住宅ごとに、個別的に自家ポンプによる給水を行なったり、せまい範囲での下水施設を行なったりすることで、その住宅環境の整備をすすめています。したがって、個々の住宅の環境条件を維持することはできても、地域的に都市的環境を整備していくうえで不十分です。また市街地内部で、大資本を背景に新しい住宅経営の一変種として行なわれている鉄筋コンクリートマンションの建設は、それが市街地の集約的利用という形の既成市街地の再編成であることから、つねに既設の都市施設に対する過大の負荷となってあらわれるという点で、地域全体の環境条件に大きな影響をもっています。
そして、このような状態を全体としてながめるとき、次のようなことがいえます。つまり、零細な個人的資金の有利な、そして手軽な投資市場とみなされている貸家経営は、既成市街地内のわずかな生地をみつけ、そこに木造アパートを建設し、そこが飽和に達すると、その外側に地価の安いしかるべき地点をみつけだします。そして、粗悪な木造2階建アパートが密集する街区をつくりあげ、そこに収入の少ない労働者が住みつくことによって、そこはスラム化につながる環境悪化地区となるのです。しかし、問題はそれだけではなく、建設が零細な個人経営によってきわめて小規模な単位ですすめられること、さらには建設後分譲が行なわれる場合も少なくないことは、その土地の権利関係を細分化させ、その内容を複雑なものにしています。
木造アパート経営は、木造一戸建の一般住宅地にくらべてはるかに集約的な土地利用が可能ですが、高騰する地価に比べて木造アパートの土地利用効率が次第に低下してきたことは否めず、都心部ではより効率的な土地利用をのぞむ再開発が叫ばれるようになってきました。そして現に、一般産業投資から離脱して不動産設資に向かう一部の巨大資本が、新しい土地の高度利用の形態のひとつとして、鉄筋コンクリートアパート経営へ進出し、市街地の土地が単なる居住のための土地として存在する段階から、大資本により急激に資本化されることが望まれるようになっていきました。さらに、この傾向を促進するものとして、市街地の特定部分の都市施設だけを、他の部分と切り離して整備することにより、その部分の資本価値を高めることがのぞまれています。しかし、このように事態が進行すると、従来の利用者つまり所有者や居住者は、この地域からはじき出されるという減少が起こることは注目すべきです。

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