賃貸住宅需要の形態

アパート住戸は、過去のアパートとは違って、多額の対価を支払うことによって、そこで独立した家族生活を営みうるものとして存在しますが、同時に一室住戸の場合には、独身者の住まいとしても利用されます。ことに、青年労働者にとっては、彼らが地方出身である場合には、都市で勤め先をみつける段階で、親戚、知人など血縁的、地縁的つてをもとめてとりあえず落ちついた下宿、間借から、あるいは勤め先の寮から、都市出身者の場合には、親元からはじめて独立した際に選ぶ住居として、一室のアパートが求められます。この段階では、その収入の低いことからも、一室住戸に友人と二人住まいするものも多く、住戸は独立性の低い設備の不十分なものにならざるをえません。しかし、都市生活への憧れ、収入のわずかの上昇は、一人一室で設備のいくらかでも整った住戸への移動を可能にします。この間、最初の住居は通勤条件と無関係に選ばれる下宿、間借りですが、次第に通勤条件を重んじた選択が可能なものに変化します。さらに結婚を準備する段階に達すると、同じ一室のアパート住戸であっても、より独立性の高い設備の整った、したがって家賃の高いものへの移転がみられます。そして、かなりの部分がこの住戸でやがて結婚し、世帯生活に入るのです。この段階では、中小企業の住込み従業員のうちから独立するものも加わります。

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独身者としての各段階に対応する要求にもとづき、次々と転居を行ない、その間ある程度その住要求を充足させることができることを意味します。しかし、彼らの住まいの本質は、1日の労働を終えてそこに体を横たえることにより、明日の労働力を回復するために必要な休息をとるためのものであり、これに付随して朝夕の食事が行なわれることもあるという程度のものであり、住戸内ではレクリエーショナルな行為をはじめ、その他の生活はほとんど行なわれず、半日は空いたままで放置されるのです。また、労働、休息以外の行為のほとんどが、勤務先ないしは通勤の途中で行なわれるため、地域社会との接触はきわめて乏しいものとなるといった特殊な形をとります。
そして結婚を境に、多くは転居を行なうのですが、一室のアパート住戸から抜け出せないものもありますが、二室のアパートあるいは文化住宅の住戸を選ぶものもあらわれます。これらは、親元からの独立分離、寮からの退出、アパート住戸相互間の移転と様々の形をとりますが、独立した家族生活を営むにふさわしい、より一層独立性の高い専用の設備の整った住戸が望まれます。そして、この段階でさらになにほどか高い収入を得られるということが前提となって、この要求は実現するのです。また、世帯主ひとりで、この条件が得られない場合には、妻が社会的労働に参加することによって、その不足を補うことが一般的に行なわれています。
このような住居では、独身者のそれと同じく、日中は空室の状態がつづき、夜から朝にかけての生活だけが行なわれます。しかし、独身者の生活と異なり、就寝以外に朝夕の食事を中心とする家族生活がそこで営まれるわけで、最低限寝食の分離が空間的に可能な住戸であることが必要となります。そして、彼らは生活時間の合理的配分と、家事労働の軽減をはかるために、その収入とかかわりなく家庭電化製品や有用な家具を住居に持ち込むことを行なわざるをえません。そのため、ときによるとこの大量の耐久消費財が空間を圧迫し、寝食の分離すら不可能にする場合があり、これらの消費財が家族生活の重要な一部である家族団らんを圧迫する場合もあらわれます。
子供が生まれ、終日住戸内で生活が行なわれるようになると、一室住戸の生活はその広さからいって耐えがたいものになり、子供が成長して、戸外で遊ぶようになると、その環境に対する不満は大きなものとなります。また、外に働きに出られなくなった妻は内職を求め、これが可能な地域への移転という要求となって現われます。家主側も、このような家族に都屋を貸すことを好まなくなります。そこで、新しい住居を求めざるをえなくなります。そして、一部条件の許すものは、やや規模は大きいが遠距離通勤を強いられる公営、公社、公団などの公共貸家に移りますが、大部分は、切迫した住要求の一部をみたすため、要求の他の部分を犠牲にしながら、二室の貸家式アパート、文化住宅に移転するのです。また、これらの層のうち持家指向の強い部分は、粗末な建売、分譲住宅を購入して持家層に編入されていきます。しかし、いずれにしろ、住生活の困難さには大きな変化は起こりえません。

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