住宅限界地

住宅限界地は通勤の限界地を意味するために、まず限界地から通勤する主たる対象地域を定めておく必要があります。主たる通勤対象地域は、都心ということにするとします。そして、都心への通勤時間が1時間30分から2時間の地点が通勤の限界になっていることも、たいていの人は認めてくれるでしょう。しかし、この限界地は不動のものではないことはいうまでもありません。まず、第一に、限界地を規定する都心が、経済力の増大によって、少しずつ拡大していることです。その拡大によって、そこへ通勤する限界地の方も拡大します。第二は、交通機関の対応によっても拡大します。例えば、ある私鉄が特急を新設して、通動時間距離は同じ1時間30分から2時間でも、実際の距離ははるかに遠隔地に及ぶようになることがあります。また、各駅の周辺地域へのバス交通が整備してくると、その間を徒歩で通勤する場合の数倍の地域が限界地に加わります。さらに通勤者、すなわち土地需要者の対応による限界地の拡大があります。地価形成要因として主たる分析の対象となるのはこの側面です。
限界地に起きている現象について見てみると、地価は需要者の支払能力の最大値を示していると考えられます。そして持家取得者の敷地面積は165平方メートル(50坪)以下が70%以上に達しています。大抵の人達は将来を考えると、この際、もう少し大面積、例えば200から300平方メートルの土地を欲しいと考えているに違いありません。ところが、その希望を実現することができないということは、その人の支払能力を越えるからと考えざるをえないのです。
この他にも、農家がその所有地に貸家を建てることもかなり普遍的に見られる現象です。そして限界地にもアパートが建てられています。しかし一口にアパートといっても、間取りや施設は多様であって、単身者向きのワンルームもあり、家族持ちを対象とするものもあります。さらにキッチンやトイレなど諸施設を共用するものと、専用のものというように、様々な需要者を想定して客種のものが建てられています。したがって家賃もいちがいにいえませんが貸家の場合とあまり相違がありません。その家賃の中に地代部分が含まれているとしても、貸家の場合同様、実際の地価を反映する高さよりはるかに低くなっています。
限界地の新築の住宅では、持家の割合が貸家、アパートより多く、そして、持家の住人の通勤地はほとんどが都心がそれに近い地域です。貸家の住人の場合はがなりの割合が限界地付近に職場を持っています。アパートになると少数のものを除いてその限界地付近に職場を待つ人達です。その地域が限界地になり都市化の傾向が現われると、建築関係、飲食関係、教育関係、交通通信関係などの関係者が入り込んできて新しい住宅需要が発生します。それらの人達の多くはその地に永住を予定していないし、永住するものも始めは資金を持っていないものが多いので、貸家やアパートに対する需要が発生するのです。
このことは、都心への転入者の多くが低所得者か若い単身者であり、都心から近郊限界地域への転出者のうちの相当の割合は、所得が増大して持家を建てることが可能になった者によって占められていることを意味します。もちろん、限界地への転出者のなかには、所得水準が低くても、家族の人数が増加したりなどして、狭い区部のアパートを逃れて、広い限界地のアパートに転出するものもいます。しかし限界地におけるアパートの割合の低さと、そのアパートからの都心部への通勤者の割合の低さは、限界地におけるアパートに対する需要の主力が都心への通動者ではないことを示しています。
限界地の地価の規定条件らしく見える現象に、都や公団などの住宅団地の建設があります。このごろは地価が高いので、もはや住宅団地の建設予定地は交通の便のよい地域に選ばれず、通勤限界地をさえ越えてきわめて不便なところが選ばれる傾向になりました。そして、団地と既存交通機関と結ぶバス路線などを新設するなどして、ようやく限界地の範囲に入るのです。公団などが団地計画を立て、土地を買うころは、なお限界地に属しておらず、公団は安く買取し、団地が完成して、交通機関が整備すると団地周囲は限界地と化し、地価が上昇します。団地造成によって周辺が限界地に転化するために地価が上昇するのですが、実際には公団などの購入価格は、この地価形成には影響していないのです。団地造成により交通機関や店舖などが準備するがゆえに、限界地地価の水準に高まるのです。

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