土地の商品性の喪失

土地需要者の支払い能力の限度が地価となっていることは明らかですが、需要者はそのような高い地価を望んでいるわけではありません。では、需要が強いから、需要者相互の競争によって、支払い能力が高まるのでしょうか、もちろん、この観点は一面の真理を含んでいますが、単純にはそう割り切れないような現象があります。第一に通勤時間1時間30分から2時間の広域な地域はすべて限界地であり、交通条件と自然条件だけからは、供給可能量は需要に対しては無限に大きいと見られます。需要者の需要は決して特定の土地に集中するのではなく、通勤範囲が1時間30分から2時間の範囲ならばどこでもよいはずです。こうして需要が平均化されると、特定の地域に結びつく需要はきわめて少ないことになります。

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第二に、限界地を需要する人口の絶対数は決して多いものではありません。通勤に1時間30分から2時間を要するようなきわめて不便な土地を求める人達は、そこの地価でようやく住宅を求めることができる人達の人数にすぎません。この供給側と需要側の条件が結合して現実の農地林地の宅地化現象が起きているわけです。
需要者が支払能力一杯の地価で買わされる理由は、需要側の事情からはとうてい説明できないことになり、需要がそれほど強くないにもかかわらず、供給側になにが特別なカがあって、需要者の支払能力一杯に支払わせられるものと考えざるをえません。供給側のその力はいかなる機構によって生まれるのでしょうか。
昭和三○年以降の経済発展とその大都市への集中、それに伴う人口の集中により、地価の上昇傾向が生じたことは必然です。さらに、その集中してきた人口が所得の増大に伴ってアパート住いなどでは満足しなくなり、持家を持とうとして土地需要が増大するために、地価の上昇傾向が促進されることもうなずけます。しかし、これだけではいわば無限の宅地予備地の残存にもかかわらず、限界地においてまで、需要者の支払能力の限度まで地価が上昇する理由を納得させるにはなお十分ではありません。
新たに都市化していく地域の土地は、すべて純粋の意味の宅地供給を目的とする地主によって所有され、その土地は宅地以外に用途がないものと仮定します。このような仮定の下でも、年々の土地需要の増大によって、限界地は次第に外方へ延びるわけだから、その範囲内の土地の地価は年々上昇します。その場合、もし、需要が強いために地価の上昇率が利子率より高くなることがあると、いま売ることは将来売ることに対し損失を招くようになるので土地は原則的には売買の対象になりにくくなります。この商品性を失った対象をなお無理にも買いたいという需要者がいるとすれば、供給側の立場は強化され、相当長期の先までの地価の上昇を見越して、これを先取りしょうとします。かくて、地価はさらに激しく上昇して、ますます土地の商品性は失われます。つまり始めは需要の増大に伴って地価の上昇率が利子率を越えることによって、土地の商品性を奪うのですが、一度、このような状態が発生すると、需要の大小にかかわらず、新需要があるかぎり、地価の上昇はさらに激化せざるをえないのです。以上は、土地所有形態に、大土地所有であるとか、零細所有であるとか、特別な想定をしなくても、当然生ずべき帰結です。

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