持家限界地での家賃

個人が土地を買うということは一切ないと仮定し、農家が借入金によって所有地に貸家、アパートを建て、住宅の需要のすべてが充足されるものと仮定したとします。そうすると、家賃が建物の償却と金利との和以上に達する場合には、地代あるいは超過収益と考えられますが、土地は売買の対象にならないと仮定されているので、地代は地価として顕在化することはありません。もちろん、地代を資本還元すれば潜在的な地価は計算できますが、これは顕在化しません。その場合、農家は収益の多少によって農家と家主とどちらかを選択するような経済人だと仮定すると、貸家、アパートに対する需要が強く高い家賃が得られると期待でき、これが農業取益をはるかに越えると意識する場合には、家主の方を選択することとなります。そして、農家には農業と家主以外に選択の余地はないと仮定しているのであるため、すべての農家が家主になる方が有利だと判断するわけで、すべてが貸家、アパートを建てる方向にかり立てられます。そして貸家、アパートに対する需給条件は緩和し、家賃は地代部分を食いつぶして低下せざるを得ません。そして、貸家、アパートの建築は、家賃と農業取益が農家の意識として均等化するまで止むことはありません。これが貸家、アパートを単独に抜き出しての家賃の形成論理です。

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現実を見ると、貸家、アパートの家賃に含まれる地代部分は実際の売買地価から計算した推定金利に比較してはるかに低く、この事実は地価がその高さとしては地代に反映していないことを示します。また逆に、地代の高さによって直接に地価が規定されているのでもないことを示していることになります。
地代論では、地価は地代の資本還元額、つまり地代を利子率で除したものが地価であるとしています。日本の大都市圏の地価はそこの地代によっては規定されていません。地価は、その土地に対する持家を持ちたいという個人の所有権に対する需要と、供給側に独占的立場を保証する論理、つまり需給関係だけで発現しているのです。そして、家賃と地代は直接に地価と結びついていないょうに見えます。しかし、家賃は農業取益とは不釣合に高いことも事実です。そうすると、家賃と地代の形成の論理はどのような仕組みかが問題となります。
まず第一に、アパートに対する需要の特性について見ると、事実として、アパート住人はその限界地付近に職場を持つ者が多く、都心まで通勤している者はきわめて少ない。都心に職場をもつアパート住人の主たる範囲は限界地まで達していません。その土地が限界地になったのは、持家をそこに求める人が転入してきたからです。そして、その人達の建築や日常商品あるいはサービスなどに対する需要が生じ、そこに職場を求める人達が集まっできて、アパートに対する需要が生じたわけです。そしてアパートに対する需要には都心に通勤する人による需要はなおきわめて少ないので、需要の総体は狭く限定されざるをえません。限界地には、限界地の内側、特に都心に比較して、アパートの割合が少ないのは、このためです。
第二に、アパートの分布を見ると、持家の分布とはきわ立った区別があります。アパートや貸家が駅付近に集中する傾向は明らかです。この原因は、いうまでもなぐアパートの場合には、家主の間に競争が生じ、地理的に有利な地点に建てる傾向があるからです。
第三に、農家がアパートを建てる場合、多くは所有地の一部を売却して建築資金を入手します。
上記の第一の需要の特性に見るように、需要はなお少なく、これに対して、第二の現象では供給側が競争の原理に導かれていることは明らかです。需給案件をこれだけとすれば、家賃は、農家の意識として農業所得と均等と考えられる水準まで低下しなければならないはずです。ところが、現実にはがなり高い水準を維待しています。この論理と現実の矛盾はいかに説明されるのでしょうか。第三の建築資金の入手の方法は、この問題の解決への手掛りを与えてくれます。
所有地の一部を売ってアパートを建てるということは、その土地が持家の限界地になって地価が高くなったとしても、ただ、その土地を所有しているだけでは経常所得は増大せず、生活水準を高めることはできないからです。ところが地価は激しく上昇していて、こういう土地を経常所得を増大するために売るのです。したがって、アパートを建てて得られる家賃収入が、この地価の上昇分より下廻る場合には、経常所得は増大しますが、差引き損失と意識されるはずです。
アパートの数が少ないうちは高い家賃が得られますが、限界地ではなお需要は少ないために、アパートの数が多くなると、たちまち家賃は低下し、限界につきあたります。
しかし、農家にとって地価上昇と家賃とは等値とは意識されません。地価上昇があっても土地を売らなければ所得は農業所得だけとなり、生活水準の上昇は期待できません。売ってアパートを建てれば生活水準は確実に上昇します。同額であればアパートを建てる方を選択するはずです。こうして、アパート数が増加し、需要を越えるに至れば、家賃は低下せざるをえません。この低下の極限は、必要経費つまり運営費を除く家賃によって建物の償却ができ、建築費の金利が得られる水準です。
実際の家賃は面者の中間にあるわけです。個々の農家の意識では建てたアパートの規模が大きく収容世帯数が多くて総家賃収入、つまり経常所得が多くなるほど、それ以上に土地を売ることによる地価上昇の損失を強く感じるようになるはずです。つまり地価上昇率の高い限界地の農家の場合には、一般にアパートを建てて満足できる生活水準を達成できる程度の経常取入が得られるようになると、それ以上にアパートを建てることをやめてしまうと考えなければなりません。ところが、限界地においては、アパートの需要は少ないので、すべての農家が一応満足であると感じるほどの家賃収入が得られる帯数のアパートを建てることはできません。土地を売って損をしてでもアパートを建てたいと考えるものが多く残っているはずです。かくて、供給の増加とともに家賃は下限に向って収束しでゆかざるをえません。
ここで建築費の償却と金利といった場合、金利の方は社債など証券利子率と考えてよく、貸家業を選択するのは、証券利子で生活することと代替関係になるからです。償却の大きさは時代とともに変わり、需要者の所得水準が低い場合には、いくらがでも家賃の低い方を選択しょうとするので、篩いアパートに対する需要が強い傾向となるわけで、新旧アパートの家賃差は小さくなる傾向があります。逆に所得水準が高くなると、高くても新しいアパートの方を選択する傾向が強いことになるので、古いアパートでは家賃を引き下げざるをえません。後者では耐用年数は縮小し、償却率は大きくなるのです。

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