家賃の規定

新しいアパートと古いアパートが共存する場合、需要者としては高い家賃を支払っても新しい方に入居する傾向があります。アパート限界地から持家限界地の間の地域にはなおアパート限界に入らなくても地元需要者のためのアパートが建てられています。その地域までアパート限界地が前進すると、需要の増大に伴って急激にアパートが新築されるようになります。かくて、新築アパートと旧アパートとの間に競争関係が発生します。この競争は家賃差を手段として行なわれるわけですが、需要者の意識で家賃差が小さいと感じるようなら、古いアパートの入居者のうちには新しいアパートへ転居しようと考える者が現われます。逆にあまり差が大きければ古いアパートは飽和状態になり、全体として供給が需要の総量を超える傾向が現われれば、新アパートの方に空室が生じるようになります。この中間のある水準の時、どちらにも均等に入居する傾向が現われると考えられます。この差だけ新アパートの家賃は高くなるわけです。このことは、表面上新アパートが限界供給として現われますが、本当は限界供給の機能を果たしておらず、旧アパートの方が限界の機能を果たしていることを意味します。

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新旧アパートの差額の大きさは、現象的には需要者の心理によって定まるものとして現われますが、いうまでもなく、需要者の所得水準が低い場合には小さく、所得水準が大きい場合には大きくなります。現在のようにアパート入居者が比較的若年層に多く、所得水準が低い状態では、差はあまり大きくはなりえないわけです。物価上昇の影響を考慮しないと、新アパートの相対的高家賃は、建物が古くなるにしたがって消滅するはずのものです。こういう見通しが通念になっているわけであるため、アパートの耐用年数の平均としては、家賃の水準は、始めの水準以上と終りの水準以下が相殺して、償却と金利の水準が支配すると見なしてよいことになるのです。新旧アパートの家賃の差は土地の差ではなく、家屋の差であるため、いうまでもなく地代ではありません。利潤あるいはコストの差です。
持家限界地のアパートとアパート限界地では地代の規定条件の関係は等しいのであるため、両者の相違は主としてアパートを建てるに要する資金を得るために売る土地の面積が地価に反比例して増減する点にあります。都市化しない前の所有面積を与件として、アパートを遅く建てれば、同じ量のアパートを建てるために必要な土地面積は少なくてすみ、結局は有利です。しかし、生活水準を早く高めたいという欲求が強いために待てません。都市化しつつある大都市圏で農業を維待する方が有利とする考え方が確固として存在する理由は、農家のすべてが意識しているかどうがは別として、上述の経済の論理が背景にあるからです。
上述のような規定条件が妥当することは、アパート限界地が持家限界地よりはるかに都心に近いことからも単純に推測できます。都心への転入者の大部分はアパート貸家の住人になり、需要は持家需要よりはるかに強いのであるため、持家の土地のように供給を強く制限する要因が作用するならば、アパートもまた広範な地域に分散する傾向に支配されるはずです。主たる分布範囲が持家の場合の半分程度の距離にしか達していないということは家主の間に競争が発生しており、争って便利な位置にアパートを建てようとするからです。このように独占が崩れているということは、均衡条件が支配しているからです。
アパート限界地においても、広狭様々の種類のアパートが建てられているに違いありません。それは、ただ、需要者の多様性を反映しているにすぎません。この種類の多様性によって規定条件の基本が変るものではありません。
貸家の場合の家賃の規定は、アパートの場合同様、借手市場の状態にあることは明らかです。アパートに対する需要の強い地域に、より広い土地を必要とする貸家を建てることは有利ではないはずですが、アパートの供給が増加して、家賃が建築費の償却と金利の水準に低下しているのに、貸家の方はそれより高い水準にあるとすれば、地主家主の立場としては貸家の供給を増大するようにかり立てられます。こうして、両者の家賃の水準はともに建築費の償却と金利の水準に一致せざるをえません。もちろん、貸家の場合は一戸当り広い敷地面積を必要とするので、地価の高い駅付近にアパートが多く、その外側の相対的に地価の安い地域に貸家が分布するようになりますが、それによって家賃が建築費の償却と金利に取束する傾向があるという規定が変るわけではありません。また、貸家が外側に位置するといっても、都心通勤者の持家の限界地とアパートの限界地とを遠く分離させるような、それぞれに経済的規定関係があるわけではないために、近接して内外の分布の相違を示すにすぎません。敷地の必要面積の多少と地価の多少の相違といった関係だけでは、両者を遠く隔たらせる力はないのです。

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