家賃の格差

アパート限界地の家賃の規定条件は建築費の償却と金利の水準です。これより内側では差額地代的要素が加わります。同じアパートなら都心に近いほど地理的に有利であるため、家賃は水準より高くなる必然性があります。ここにいたって初めて理論的に地代の要素が加わります。しかし、家賃のなかに純地代の要素が加わるということは、借入金でアパートを建てて金利を支払っても余剰が生じるということです。古くから住みついていたサラリーマンなどが庭にアパートを建てるような場合、退職金や貯蓄のような自己資金によるものが多いとしても、理論的には借入金でも建てられるわけです。しかし、借入金では利子を支払わなければならず、しかも借入金の場合の金利水準は証券利子率より高くなり、この外にアパート限界地の均衡条件と同じだけの消費に廻すことのできる収入をえるためには、地代部分が上記を越えるような位置以内で、運営費を除き家賃は建築費の25パーセント以上でなければなりません。そこまで達しない場合はアパートの規模を大きくし、収容世帯数を多くしなければなりません。ところが、アパート限界地では家賃の均衡水準は建築費の償却と金利の水準です。しかも、都心からそう離れているわけではありません。かくて、都心と都心に近い地域でも限界地と競争が生じて、土地を持っていても、借入金でアパート、貸家を建てることは困難になります。

スポンサード リンク
間取り

家賃は建築費とアパート、貸家の限界地との地理的関係の二つの要因で規定され、これが地価上昇率と因果関係で結ばれていますが、地価そのものとの規定関係は存在しません。地価は持家限界地との相対差によって大きく規定されているのであって、副次的にその上昇率がアパートや貸家の家賃によって抑制されるにすぎません。戦後の回復過程において、疎開していた人達が戻ってくると、焼野と化した東京の住居事情は急激に悪化しました。大抵の人は家を建てるだけの資金を持っていませんでした。そこにとにかく住居を与えたのは粗悪なバラックのようなアパートの乱立でした。インフレの渦中において、アパートは安全有利な投資でした。しかし、資金面で建築数は強く制限されていたので、需給はいっこうに緩和せず、高い家賃が実現しつづけました。この段階ではアパートの家賃が地価を規定していたといえるかもしれません。
都心に職場を持つ人達を対象とするアパートの範囲も、都心に空地がなくなると、郊外に向って拡大していったわけですが、持家限界地とアパート限界地の間の農地を埋めながら、持家限界地の拡大速度より、かなりゆるい速度で拡大していきました。
都の区部における世帯数の増加の大部分は民営アパートによって吸収されていました。ということは、区部においては持家の需要は少なく、民営アパートに対する需要が大きいということです。にもかかわらず、その地域にアパートの需要が生じてくると、急速にアパートの建設が増大し、その需要を満たしました。こうした段階に達して上述の論理が支配するように転換したのです。
戦後、都心部や都心に近い地域に建てられた古いアパートの居住条件はきわめて劣悪でした。アパートの一世帯の広さは四畳半一室が最も多く、三畳一室の場合も少なからずありました。そして、出入口、流し、便所など諸施設を共有します。こういった本賃アパートに住む世帯が都心と周辺の区部では全世帯の三分の一から四分の一を占めていました。このような都心部のアパートが、アパート限界地までのアパートと競争関係にあるわけですが、一方では地理的優位他方では居住条件の劣悪を背景として、家賃を調節しながら、新築されるアパートと競争していました。都心の古いアパートの場合は、償却はすでに完了しているので、理屈としては、家賃が建築費の償却と金利に達しなくても対抗できるわけです。実際には地理的優位にあるので、なお需要が大幅に減退することがなく、前述の論理によって家賃はかなり高い水準に維侍されます。
こうして都心からアパート限界地にいたる間に新築されるアパートは、その周辺に現存するアパートと競争しなければならないばかりでなく、都心部の古いアパートとも競争しなければならないので、一方では家賃をそれほど高くはできず、他方では流しや便所などを専用にするなど居住条件を改善して需要を求めます。需要者の方は、アパート限界地は持家限界地ほど遠い位置に達していないし、通勤の不便を少し我慢すれば、都心部と比較し、比較的新しい設備のよいアパートに多少安くさえ入居できます。需要は都心部を離れて、外側部の新しいアパートに向わざるをえません。この新旧アパートの競争によって、家賃の地域間格差は縮小するのです。

間取り
住宅限界地/ 土地の商品性の喪失/ 土地供給側の特性/ 土地売却の目的/ 農家の土地ブローカー化/ 賃貸物件投資のための土地売却/ 代替地取得の地価への影響/ 通勤限界地の地価上昇傾向/ 地価上昇率と需要/ 持家限界地での家賃/ 地価格差/ 貸家アパートの限界地/ 家賃の規定/ 家賃の格差/ 家賃と所得水準/ 地価と所得水準/ 供給側の条件による地価/ 地価の上昇/ 需要側の条件による地価/ 家賃/ マンションの分譲と賃貸の比較/

       copyrght(c).間取りガイドドットコム.all rights reserved

スポンサード リンク

プライバシーポリシー