地価と所得水準

個人持家の限界地の地価は、その土地の需要者の支払可能限度によって規定されていることは明らかで、逆に地価によって支払可能限度が規定されているわけではありません。その場合、需要者の支払可能限度は、 基本的には土地需要者の所得水準によって規定されていることは明らかです。その支払可能限度が、現在の所得によってだけではなく、貯蓄、借入金、退職金によっているとしても、借入金は所得のうちから返却しなければならないために、その人にとっては過去から将来に及ぶ所得水準によって支払可能限度は定まるはずです。借入金が住宅金融公庫のような制度金融によっていても、論理は同じです。地価の上昇によって借入金額は増大しますが、その前に借入金の返却能力、つまり支払可能限度が予想されているのです。一般に所得水準が低くて貯蓄、退職金も少なく、借入の可能額も低く、結局、支払可能限度が低い場合には、その時の限界地の地価はその水準を越えてまで上昇できるはずはありません。そして公庫金融を含む借入金は、将来の所得を先取りすることを可能にしたので、借入金がなければ現在の需要たりえないものを現実化し、需要量を増大することによっても支払可能限度ぎりぎりの水準に地価を維持させました。そして、実需要の外側へのスプロール的移行を激化し、その内側の地価を高めました。その場合、借入金は所得水準の上昇期待をも先取りして現実化する作用を持っているので、限界地は外側の不便な位置に移りながら、その限界地の地価は時とともに上昇することとなりました。

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限界地の個人持家の場合に、土地需要者の支払能力の限度まで支払わせられるということは、土地が売手市場になっているということです。弱い立場に立つ需要者は、建築費の方を切りつめて、土地を購入しなければならないので、限界地域の持家建築は劣悪な居住条件にならざるをえません。限界地の内側は高額所得者の需要の対象となるため、居住条件の地価による影響度は小さいわけですが、それでもその地価が限界地の高地価によって影響されるかぎり、総建築費のうちの土地購入費の割合は増大し、敷地面積は縮小します。以上を要約して、持家需要者の所得水準が地価を規定するのであって、その逆ではありません。
以上の考察によって、一般的所得水準は家賃や地価によって規定されませんが、大都市圏の労働者、サラリーマンの所得水準は、地方に対し家賃に相当するだけ部分的相対的に上昇する傾向のあることがわかりました。そして、限界地の家賃を規定するのは建築費の償却と金利であり、地価や地代の要素を含みません。これだけのことがわかれば、将来の一般的所得水準の上昇や金利水準の変化が、貸家、アパートの居住条件、したがって家賃に対し、また、地価に対しどのように影響するかも判断することができます。
貸家、アパートについては、借手一般の所得水準の上昇は地代に吸収されることがないために、そのまま居住条件の改善をもたらします。そして、その建築費が多額にかかるようになるだけは家賃は上昇します。金利水準の低下は居住条件の改善をもたらす点では所得水準の上昇と同じ効果を発揮しますが、居住条件が等しい場合には家賃の低下をもたらす点では違った効果があります。持家の場合には、所得水準の上昇は地価の上昇に吸収され、居住条件の改善には役立ちません。大工など技能労働者の所得も上昇するので、建築費の上昇を通じても居住条件の改善を阻害します。このことは、限界地の新築持家の居住条件が少しもよくならない事実に現われています。
持家の場合は、金利水準の低下も、借入金を必要とする場合には、借入額の限度を高めることにより地価の上昇に吸収され、居住条件の改善には同じく役立ちません。以上の対比によって、一般所得水準の上昇は、貸家、アパートの居住条件の改善のための必要欠くべからざる条件ですが、持家に対しては居住条件の改善に役立たないことがわかりました。金利水準が低下することは、貸家、アパートに対し一般所得水準の上昇と同じ効果を持ちますが、持家に対しては居住条件の改善に役立ちません。ただ、金利水準の低下が所得水準の上昇の効果にまさる点は、前者が家賃を低下させる効果があるのに対し、後者にその効果がないことです。しかし、所得水準の上昇には限度がないのに対し、金利水準が下がるというような大幅の低下が期待できない点において、所得水準の上昇効果の方に、将来の居住条件の改善に対しより大きく期待せざるをえません。
現在の大都市圏の貸家、アバートの居住条件は、高金利と低所得の影響の下に、きわめて劣悪な状態を呈しています。そして、このような状態から逃れようとする人口は増大して、持家の需要を強め、地価の上昇を激化し、居住条件の改善を阻害し、他方、激しいスプロールを発生させ、通勤を困難にしています。そして、持家を求める人たちの所得水準が上がっても、金利水準が低下しても、持家の条件の方は一向に改善されず、その利益はことごとく土地の供給者たる地主の手に帰するのです。
ここで注意すべきは、一般的所得水準の上昇は持家需要を増大させるものと普通見られがちですが、必ずしもそうではないことです。持家の場合には所得の増加は主として地価に吸収され、居住条件の改善に役立たないのに対して、貸家、アパートの場合には改善を促進し、両者の居住条件の差を縮小するからです。これに加えて、金利水準を低下させることができるならば、持家の相対的有利性はさらに薄れることになります。しかし、現状では地価上昇率が高いので、持家を持つことは資産価値の維持増大に結果するため、持家と貸家の優劣の関係は大きくゆがめられます。持家を取得しようとする場合に地価が上がることは需要者を困らせる条件ですが土地を買ってしまえぱ、地価が金利以上に上昇することは、きわめて有利な資産保有の条件になるからです。

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