供給側の条件による地価

地価の激しい上昇傾向は、限界地のなかの限られた土地供給量に対し需要量が相対的に大きいことによって生じます。その需給量の差は、限界地が外側に移動することによって、新たに限界地化した土地のなかの同様に限られた供給によって埋められます。その結果として、新たに優良地化したこれまでの限界地の地価は上昇します。こうして、限界地の移動に伴って、その時々の限界地に対する土地需要は充足されているにもかかわらず、需要は新たに土地を求める新需要の発生にょって後を絶ちません。都心に対する通勤圏内に居住する持家を持たない人口のうち、その人の貯蓄の増大と所得水準の上昇の結果としての借金可能額の増大によって、新たに限界地に持家を求めうる人口を創出するからです。通勤圏への人口の集中がそのまま直ちに持家需要につながるとはいえませんが少なくも将来に持家を求めうる階層を生み出すための予備軍を増大させます。こうして、限界地の外側への移動による土地供給量の増大にもかかわらず、常に需要は供給を上廻り、地価の激しい上昇傾向は止まりませんでした。しかし、現在の状況では、限界地の外側への移動の可能性はもはや物現的に限界に近付きつつあります。この新条件を考慮に入れなければなりません。鉄道沿線の限界地は都心への通動時間距離を1時間30分から2時間の遠距離に達し、それ以上あまり遠くへは移動できません。そうなると、需要が供給を上廻っても、限界地の移動によって供給量を増大することは不可能になり、限界地の地価上昇傾向は拍車をかけられます。残された供給源としては、鉄道と鉄道の中間地帯でなお限界地化していない地帯ヘ、新鉄道路線を敷設したり、既存鉄道駅までのバス路線を新設したりして、新限界地が創出される以外にはなくなるわけです。

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こうなった場合に、まず考えられることは、投機的動機から限界外地を買うために限界地を売るという行為は不可能になり、限界地の供給はそれだけ減少します。そして、限界地における土地供給量は、限界地の地主たる農家の家屋の新改築などの待別な消費的欲望の充足のための土地売却と、貸家、アパートの新築などへの投資のための土地売却によって、厳しく限定されるようになります。そうでなげれば、制限量ではあっても、限界地の移動に伴って供給のフローは持続するのですが、限界地がもはや移動しえないとしたら、その供給量は制限量ではなくいわば固定量に転化します。これに対して、限界地での持家需要は年々フローとして維持されるのであるため、たちまち供給量は買い尽されてしまいます。ところが、なお需要が残るために、限界地の地価は激しく釣上げられます。さらには、内側の優良地へも波及してその地価も釣上げます。
ところが、限界地の地価水準は持家需要者の支払限度によって定まる傾向があります。この傾向は上述の地価上昇と矛盾します。この矛盾は次のような解決の方法を生み出します。一方では、限界地でも、地価はこれまでの需要者の支払限度を越えることになるので、需要者は購入面積を縮小したり、あるいは需要者たることを止めざるをえません。この側面では需要は滅少します。ところが他方、内側の優良地の地価も上昇するので、これに伴って優良地の需要者であったはずの人はその優良地を購入することができなくなります。かくて、その需要は限界地に移動せざるをえなくなり、限界地の需要の滅少傾向を相殺します。地価の上昇傾向を維持し、限界地の需要者の所得階層が上位のものに変り、その支払限度を高めることによって、地価上昇に対応するのです。
そこで、需要者の所得階層が変っても供給側に売る動機がないとするのであるため、売買の行なわれる余地はないはずであり、地価現象はおよそ現われえなくなるのではないかという疑問が起きます。
しかし、売る動機がないというのは、地主たる農家が家を新改築し、貸家、アパートの収入で生活の安定をえるためには売るが、それ以外は地価の上昇をいつまでも待つことが、事態に対応する最も経済上有利な仕方であるという判断に立つかぎりです。ここに注意すべきは、農家に売る動機がないということには、生活の安定を確保するための貸家、アパート建設の資金を得るために土地を売る範囲が制限されているということが前提されていること、この制限は持家限界地はなお都心通勤者のための貸家、アパート限界地になっておらず、そのために貸家、アパートの需要者が地元限界地とそれに近い地域に職場を持つ者に限定されるがゆえに生じる制限であるということです。このことは、この地域が持家限界地になったからといって、すべての農家が満足できるほどに十分な量の貸家、アパートを持つまでには到らないということを意味します。貸家、アパートの需要が増大すれば、それらを増設するための資金を得る目的で、さらに持家を建てる人に土地が売られる余地は十分に残っているのです。そして、限界地とそれに近い内側においては確実に人口は増大するために、それに関連してその地域に職場を持ち、貸家、アパートを需要する人口も増大します。その需要に対応しようとして、貸家、アパートを建てる資金を得る目的でさらに土地が売られるのです。
つまり、持家限界地での貸家、アパートの需要はこの限界地を含む周辺に存在する雇傭量の関数であり、その雇傭量は同じ地域の人口の関数です。貸家、アパートの需要は人口増の関数としての一定の制限を受けていますが、人口増があればこの制限の下でも増加します。この需要によって貸家、アパート建築資金のための土地売却も制限を受けながら引続き生じます。このように、限界地における土地売却量は完全な意味の固定量ではなく、時間の推移を考えれば移動の可能性があるわけです。しかし、ある時点に限って見た場合に、貸家、アパート需要は制限されており、そのために土地売却量は一定量に留まるように見えるのです。

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