需要側の条件による地価

大都市圏の激しい地価上昇は、国民総生産が大幅に増大し、総生産のうち大都市圏の占める割合がさらに激しく増大し、これに伴って人口が大都市圏に集中する結果であることは明らかです。しかし、大都市圏を離れた地方の中小都市周辺においても、大都市圏ほどでなくても、地価の上昇傾向が一般的です。このことは、大都市圏への経済、人口の集中がなく、平均的な経済成長率の程度でも、地価上昇の傾向を生むに十分であるということです。地方都市周辺では、大都市圏に比較して限界地の単位面積当り需要量は少なく、これに対し供給量は相対的に大きいのですが、東京圏のような場合に、限界地の外側への移動が止む段階に達すれば、限界地でも、その内側でも、地主たる農家が消費的投資的欲望を充足するために行なう土地供給は厳しく制限されるわけですから、地方都市に比較して供給量はより厳しく制限されてしまいます。したがって、大都市圏の地価上昇率を地方都市なみに引き下げるためには、限界地の単位面積当り需要量を地方都市の場合以下に引き下げなければなりません。ところが、大都市圏で限界地が一度固定化すると、持家需要は限界地に集中する傾向を示すようになるために、需要量を滅少させることはきわめて困難になります。したがって、地価上昇率を大幅に低下させることもきわめて困難ということになります。

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日本の経済成長率が欧米諸国などより高いのは、日本が生産力水準でこれら先進諸国に比較して高いからではありません。一人当り所得水準、より現実的にいえば賃金水準がこれら諸国より低いことが、経済成長率を相対的に高めた主たる原因であることは、一般に認められているところです。したがって、一人当り所得水準がこれら諸国の水準に近づくならば、日本の相対的有利性はうすれ、経済成長率はこれら諸国の成長率の水準にまで近接してゆくこととなります。しかし、生産力水準の一般的上昇に伴って、パーセント以上から例えば5パーセント程度に低下するわけです。しかし、この低下は日本の平均においてです。成長率の低下は、国内における企業間競争を激化します。競争の激化は、当然、大都市圏の企業の地方に対する優位件が、現在のような時より、より大きい状態をつくり出します。成長率が5パーセントでも、例えば地方での成長率は2パーセント、大都市圏では8パーセントというように、いぜんとして大都市圏の経済の集中傾向を維持する結果を導くこととなります。
このことは、経済成長率の国際水準への低下が実現しても、大都市圏と地方との不均等的発展の結果として、なお大都市圏への人口の集中と、大都市圏での一人当り所得水準の上昇傾向が止まないことを意味します。そして、持家のための土地需要が現在の地方都市の水準より大幅に低下することは容易ではないということをも意味します。しかも、大都市圏の限界地が固定化する段階では、土地の供給条件は、現在の地方都市の場合よりはるかに厳しくなっており、かつ、需要は限界地へ集中する傾向を示すわけであるため、限界地の地価上昇率が利子率以下に下がることは容易に は期待できないのです。
経済の高度成長が特に大都市圏の地価上昇をもたらし、地主のおもわくが加わって、実需要が伴わないのに、地主に土地の強い売りおしみ心理を誘発し、需給条件を逆転させることによって、地価のさらに激しい上昇を結果したとし、売りおしみのために激しいスプロールが発現したのであるため、経済の高度成長が止み、土地の実需要が供給に対し十分でないという事実が地主の目に明らかになれば、スプロール地帯に広く残存している農地などは、心理的な供給抑制から開放されて、爆発的に供給が増大し、地価の暴落が生じる段階がくるに違いないと、見ている人が少なくありません。
この見解が、これまでの分析の過程から見ると、事態をあまりに単純に見すぎていることは明らかです。限界地が外側へ移動できない段階に達すれば、限界地の供給条件は厳しくなり、これに対して、需要の方は限界地へ集中する傾向が現われて、限界地の地価上昇傾向は依然として続くことになります。経済成長率が低下しても、都市への経済と人口の集中は正まないので、供給が需要を上廻るような状態は生じにくく、内側優良地での需要は、需要が順次外側に移る結果として滅少し、地価の上昇を抑える傾向が生じますが、限界地に対する地理的優位のために、それにも限度があり、限界地と同じ水準に下がるのではありません。こうして、スプロール地帯の農地が一挙に売りに出されるような投売り状態は、安易には生じえないわけです。地価の暴落が生じるためには、限界地の需要が激減して、その地価の上昇率が利子率以下に低下し、換金の方が有利な状態が発生しなければなりません。ところが、経済成長の鈍化は、恐慌時を除き、一般的に利子率の低下をもたらします。この原因からも地価上昇率の利子率以下への低下はなかなか生じえません。

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