家賃

貸家、アパートの限界地は持家限界地よりはるかに都心に近く位置しています。それは貸家、アパートの貸借においては借手市場が成立していることを意味しています。この関係は近い将来に変るとは考えられません。なぜならば、アパートをも含む借家需要が維持され、あるいは増大しても、貸家、アパートの家賃が上昇すれば、アパート限界地がただちに拡大して、新たに拡大した供給によって需要に対応するからです。現在の貸家、アパートの限界地と持家限界地の間にはきわめて広範な地域が残っており、そこにはなお貸家、アパートを建てて生活の安定と生活水準の向上に期待する無数の農家が存在しています。その上、この地帯に持家を持つサラリーマンのうちには、退職後に所有地内にアパートを建てることによって、老後の生活の安定を期待するものも、きわめて多くなっています。

スポンサード リンク
間取り

見逃すことのできない条件として地価上昇率の鈍化があります。持家限界地と都心の住宅地の地価はほとんど不変に、とどまるわけですが、その中間地帯の地値上昇率は低下し、貸家、アパート限界地を含め、その内側はすべての地価が下がるものと想定して差支えません。こうなっては、土地を売ってアパートを建てることに対する心理的障害は皆無になり、需要の変化のいかんにかかわらずといってよいほどに、供給過剰の傾向が続くようになります。
他方で需要側についても、将来起りうるべく事態の変化によって現状の借手市場の状態を逆転させるような決定的な条件は見あたりません。首都圏への人口の集中も、地方人口の滅少、特に若年層の枯渇による給源の縮小によって、将来は漸滅することと思われます。東京圏内の人口の自然増あるいは核家族化によって借家需要は増大するわけですが、地方からの集中の減少を補なう程度のものと推測されます。持家限界地の地価上昇に伴って持家需要者の一部が脱落して借家需要者に転化したとしても、借家需要者の総量との比較においては問題にはなりません。このような需給条件の予想では、現在と同様借手市場の状態が維待されます。ただ、貸家、アパートの限界地が外側へ移動するかぎり、その内側の地理的条件の相対的に有利な貸家、アパートの家賃に差額的地代を付加させるというこれまでと同じ傾向は認めなければなりません。
次に、将来の所得水準の一般的上昇の影響について考えて見ると、アパートを含む借家需要者の所得水準の上昇は、一方では、その上層部を持家需要者に転化させる傾向を生みますが、他方では、持家限界地の需要を強めることにより限界地の地価を上昇させ、特に待家限界地が固定化するとすれば、その需要者の下層部を待家需要者から脱落させることによって、借家需要量を維持します。このことは、持家需要の場合、地価上昇が需要者の所得上昇の影響をすべて吸取することの結果です。こうして所得水準が上昇しても、借家需要量はほとんど不変にとどまるわけであるため、この条件によっては家賃の規定関係に影響は生じえません。
借家需要者の所得が増大すれば、すべて居住条件のよい貸家を選択するようになるわけですから、貸家、アパートの建築内容は総じて改善されます。所得水準の上昇に伴って家賃は上昇しますが、それは地代によるものではなく、建築内容の充実による居住条件の改善のためです。こうして、低所得者層の住居となっている木賃アパートも、低所得者層の所得水準の上昇に伴って、その居住条件は改善されます。木賃アパートの改善には所得水準の一般的上昇が前提されなければなりません。しかし、これら階層が高層住宅に住めるようにはなかなかなりません。
このことを事例的に説明すると、木造アパートの場合、地主がアパート限界地の所有地に建てる場合の家賃の規定は、前述したように用地費に対する金利を含みえず、建築費の償却と金利の水準に定まります。
所得のうち一定割合を家賃に振向けるものとすれぱ、低所得者層の所得水準が二倍になるまでは木賃アパートの存在の基礎はくずれません。以上は一般物価の上昇の影響を捨象しての話であるため、実際はもっと大幅な所得水準の上昇がなくては、民間賃貸高層住宅によって、住宅事情全般、特に低所得者層の問題を解決することはできないわけです。それまでは、民間賃貸高層共同住宅は、持家限界地の持家需要者と木造貸家、アパートを選ばざるをえない低所得者層との中間所得者層の対象になるにすぎません。それも、高層住宅では建築単価が高く、相当な高所得でないと入居することが不可能で、この程度の所得層の場合には、その借金可能額で持家限界地に持家を建てることも可能な場合が多く、高層住宅に対する賃借需要量はきわめて狭く限定されざるをえません。民間賃貸共同住宅が普及するためには、所得水準の大幅な上昇と持家限界地の大幅な地価上昇を必要とします。こうして低所得者層と一戸建持家需要者とが滅少して、この二層に扶まれた中間層が拡大しないかぎり、民間賃貸高層共同住宅の需要量は増大しないのです。

間取り
住宅限界地/ 土地の商品性の喪失/ 土地供給側の特性/ 土地売却の目的/ 農家の土地ブローカー化/ 賃貸物件投資のための土地売却/ 代替地取得の地価への影響/ 通勤限界地の地価上昇傾向/ 地価上昇率と需要/ 持家限界地での家賃/ 地価格差/ 貸家アパートの限界地/ 家賃の規定/ 家賃の格差/ 家賃と所得水準/ 地価と所得水準/ 供給側の条件による地価/ 地価の上昇/ 需要側の条件による地価/ 家賃/ マンションの分譲と賃貸の比較/

       copyrght(c).間取りガイドドットコム.all rights reserved

スポンサード リンク

プライバシーポリシー