土地にかかわる災害防止法制

土地にかかわる災害防止法制としては、宅地造成等規制法、砂防法、地すべり等防止法、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法、採石法、砂利採取法、海岸法、鉱山保安法、森林法などをあげることができます。宅地造成等規制法は、宅地造成に伴って崖崩れや土砂の流出が生じることを防止するために一定の地域を、宅地造成工事規制区域に指定し、その地域内での宅地造成工事を規制することにより、国民の生命および財産を保護することを目的とする法律です。地滑り等防止法は、地滑りおよびぼた山の崩壊による被害を除去しまたは軽滅するため地滑りおよびぼた山の崩壊を防止し、もって国土の保全と民生の安全に資することを目的とする法律です。急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律は、急傾斜地の崩壊から国民の生命を保護するため、急傾斜地の崩壊を防止するとともに、崩壊の際の警戒避難体制を整備することを目的とする法律です。採石法は、採石業に対する事業規制とともに採石に伴う災害を防止することを目的としています。また、砂利採取法も砂利採取の事業規制とともに、砂利採取に伴う災害を防止するものです。鉱山保安法は、鉱山労働者に対する危害と鉱害を防止し、鉱物資源の合理的開発を図ることを目的とするものです。砂防法は、冶水砂防のために土地の利用の制限を行ない砂防設備の整備を行なうことを目的とする法律です。また森林法は、一定の森林を保安林に指定することにより、土砂くずれやその他の防災の役割をもになっています。海岸法は、津波、高潮、波浪その他海水又は地盤の変動による被害から海岸を防護し、もって国土の保全に資することを目的とするものです。以上のように、土地にかかわる災害を防止する法律には、災害それ自体の防止を直接の目的にする、地滑り防止法や、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律、海岸法、砂防法などのほか、一定の土地に関する事業の結果生じる災害を防止することを目的とする法律として採石法、砂利採取法、鉱山保安法などがあることがわかります。

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土地にかかわる災害の防止のための法的手段としては、まず土地にかかわる事業についてこれを規制し、災害を防止する必要があります。採石法は、岩石の採取に伴う災害を防止するため、採石業を登録制とし、採石計画を都道府県知事の認可の対象としています。当該認可には、条件を付することができるほか、採石中に、認可条件や法令に違反する事実があるときには、都道府県知事は、当該認可を取り消すことができます。砂利採取法は、砂利採取業を登録制にするとともに採石法と同様に、採取計画を都道府県知事の認可制とし当該計画の変更命令、砂利採取業者への緊急措置命令および、砂利の採取中に法令に違反したり、認可の条件に違反したりした場合には、認可を取り消しうることを定めています。鉱山保安法においても、鉱業権者は、災害を防止する義務があり、そのために必要な措置を講じなければならないことが明記されています。また鉱業権が消滅した後でも五年間は、鉱山監督署長または鉱山保安部長は、鉱業権者であった者に対し、その者が鉱業を実施したことにより生じる危害または鉱害を防止するため必要な設備をするよう命じうることになっています。
宅地造成等規制法は、宅地造成工事により生じる崖崩れまたは、土砂の流出を防止するため、宅地造成工事を規制するものです。国土交通大臣は、宅地造成工事規制区域を指定することができます。当該地域内で行なわれる宅地造成工事には、都道府県知事の許可が必要です。宅地造成工事の技術的基準は、政令で定められ、業者はこれらの基準に従って工事をしなければなりません。しかも、工事が完了した場合には、都道府県知事が工事完了の検査を造成主に対して行なうことになっています。また、都道府県知事は、当該宅地造成工事が法令に違反したり、許可条件に違反しているときは、許可を取り消すなどの監督処分を行なうことができます。
これに対して、地滑り防止法や、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律あるいは、海岸法や砂防法は、特定の土地にかかわる事業行為を規制することによって災害を防止するのではなく、特定の災害それ自体を防止するために各種の行為を規制する法律です。急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律は、都道府県知事が、関係市町村長の意見をきいて、急傾斜地崩壊危険区域を指定します。当該区域内においては、水の浸透を助長する行為や、土石の採取または集積などが、都道府県知事の許可なくしては行ないえないことになっています。また許可をうけて当該区域内で、一定の行為をする者に対しても都道府県知事が監督処分を行ない、一定の場合、許可を取り消すことになっています。また、急傾斜地崩壊危険区域内の土地所有者は、当該土地の崩壊が生じないよう努める義務があります。一定の場合都道府県知事は、指定地域内の土地について、一定の工事施行命令を出すことができます。この場合の資金の助成措置についても特別の定めかおかれています。地滑り等防止法は、主務大臣が地滑り防止地域を指定します。その際大臣は関係都道府県知事の意見をきいて、当該指定を行なうことになっています。また、主務大臣は、関係都道府県知事の意見をきいて、ぼた山崩壊防止区域を指定する地滑り防止地域内において、地下水を増加させる行為などは、都道府県知事の許可を必要とします。都道府県知事は、法令に違反した者や、許可条件に違反した者に許可取消などの監督処分を行ないます。海岸法は、津波、高潮、波浪などにより、生じる被害から海岸を防護する法律です。海岸法によれば都道府県知事が海岸保全区域の指定を行ないます。海岸保全区域内においては、土石の採取や水面もしくは他の土地に他の施設等を新築し改築することなどが、海岸管理者の許可を必要とします。許可をうけて海岸保全区域内で一定の行為をする者に対しては、海岸管理者が許可取消を含む監督処分を行なうことができます。また、公益上やむをえない理由などで、海岸保全区域内での一定の行為の許可を取り消した場合には、損失補償をすることが定められています。砂防法では、主務大臣が水上砂防のため必要であると考える土地を指定します。その指定土地内では、地方行政庁が、一定の行為を禁止または制限することができます。この場合、許可をうけて指定土地内で一定の行為をする者に対しては、監督処分が行なわれます。森林法は、農林大臣が保安林の指定を行なうことを定めています。これらの保安林には、土砂の流出や、土砂の崩壊を防止するためのものや、風水害、干害、雪害、飛砂、雪崩、落石を防止するための保安林が含まれています。こうした保安林は、都道府県知事の許可なくして伐採することなどが禁止されています。また、保安林内において、土地の形質変更や、落葉落枝の採取などは、都道府県知事の許可がないかぎり許されません。保安林の指定を解除するには、聴聞を含む慎重な手続が定められています。
土地にかかわる災害防止法制は、ほとんどが、一定の地域を定め、その地域内における一定の行為を許可制にし、一定の監督処分を行なうという法構造となっています。第一に必要なことは、指定地域外の地域についての地方公共団体の条例による規制を拡大してゆくことです。第二には、指定地域を決定する場合に、地域住民の意見を十分に聞くという行政手続の整備と、住民参加の拡大を考えてゆくということです。第三には、監督処分の権限をもつ者が、当該権限を十分に行使しない場合には、その法的責任を追及しうる制度と理論がより整備されてゆく必要があるということです。第四に、土地による災害を全体として防止するための国土計画を重視することです。災害防止は、経済的効果の少ない事業であるということで従来ともすると力を入れて行なわれていない事がありました。第五に、国と地方公共団体の仕事の分担を明確にして、災害対策が、単なる災害復旧の段階のみに終っているような状態をあらためてゆくことが必要であり、そのための法的規制の整備が必要となります。災害の防止は、人間の生存に直接かかわるものであり、単なる公共の安全と秩序を維持するための事業として考えるという考え方を転換する必要があります。

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