地盤沈下や土壌汚染の防止

公害対策基本法は、地盤沈下を典型七公害の一つとしています。地盤沈下に関する法律上の規制の対象には、工業用水、建築物用地下水採取と、鉱物の掘採とがあげられます。工業用水法の法律の規制の仕組みは、次の通りです。本法の目的は、特定の地域について、工業用水の合理的な供給を確保するとともに、地下水の水源の保全を図り、その地域における工業の健全な発達と地盤沈下の防止に資することにおかれています。本法は、昭和三七年に改正され、改正前と異なり、地盤沈下の防止を工業の健全な発達と併存的に主目的の一つに位置づけています。次に、本法の規制の対象とされるのは、製造業、電気供給業および熱供給業を指す工業用の地下水を採取することにあります。さらに、規制の仕方は、政令で定める一定の地域を指定し、一定の基準をこえる井戸毎に都道府県知事の許可を要するものとしています。従来、通産大臣の権限であったものの一部を、昭和四六年改正で郡道府県知事に委譲したものです。都道府県知事には、許可の取消緊急措置の命令、土地の立入、報告の徴収、立入検査の権限が認められています。工場用水法には、かかる具体的な法的規制が講じられていますが、地域指定を実施するにあたって、付加的な条件が付されていること、また、許可の基準に特例が設けられているのは、地盤沈下そのものを総合的に規制するうえで不十分であると指摘されています。

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建築物用地下水の採取の規制に関する法律の規制の仕組みは、次の通りです。本法の目的は、特定の地域内における地盤沈下防止のため、必要な建築物用地下水の採取を国民の生命及び財産の保護を図り、公共の福祉に寄与することにおかれています。ここにいう建築物用地下水とは、冷暖房用設備、水洗便所、公衆浴場などに使用する地下水を指しています。規制の仕方は、工業用水法とほぼ同一です。したがって、地下水の採取を指定地域においては都道府県知事の許可をうけねばならないとして規制し許可の取消、措置命令等の監督処分などを定めています。いずれの法律も、地域は政令によって指定されますが、地域指定を行なうに際して、工業用水法が、付加的な案件などを付しているのに比べて、建築物用地下水規制法では、地盤沈下の規制により強い法的措置を認めている点で相違しています。
鉱物の掘採の場合には、鉱業法ならびに鉱山保安法によって規制が定められています。上記の法律以外に、地方公共団体の条例でも地盤沈下のための規定を設けています。
公害対策基本法は、昭和四五年の第六回国会で一部改正をみ、典型公害の類型に新たに土壌汚染を含めることとし、同時に、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律が制定されました。法律上の規制の対象は、農用地の汚染の場合に限定されています。この法律の規制の仕組みは、次の通りです。本法は一九条からなっていますが、その目的は、農用地の土壌の特定有害物質による汚染の防止及び除去並びにその汚染に係わる農用地の利用の合理化を図るために必要な措置を講ずることによって、人の健康を損なうおそれがある農畜産物が生産され、又は農作物等の生育が阻害されることを防止し、国民の健康の保護及び生活環境の保全に資することにおかれています。農用地とは、耕作の目的または主として家畜の放牧の目的もしくは養畜の業務のための採草の目的に供される土地を指しています。また、一般農地以外に、畜産のための放牧地と採草地とを含んでいます。次に、この法律が規制する対象は、特定有害物質であり、政令で指定されるが二つの態様に大別されています。一つは、土壌のなかにおける当該物質がそこに生育する農作物等に移行し、さらに、その農作物等を人が食するために人体に蓄積して種々の健康被害を生じる物質である。代表的な物質はカドミウムですが、鉛、ヒ素も含まれます。他の一つは、土壌のなかに当該物質が蓄積していることにより、そこに生育している農作物等に当該物質が移行し、そのため農作物等の生育が阻害される物質です。この種の物質として、銅や亜鉛があげられています。現在、カドミウムと銅が政令で指定されています。
本法の規制の基本的構成として、まず、都道府県知事が、政令で定める要件に該当する地域を農用地土壌汚染対策地域として指定することができます。対策地域が指定されると、都道府県知事は、遅帯なく農用地土壌汚染対策計画を策定しなければなりません。さらに都道府県知事は、排出水に係る排水基準もしくは煤煙等の排出基準について、特別の定めをするために必要な措置をとることができます。次に、都道府県知事は、この対策地域のなかで、人の健康をそこなう恐れのある農畜産物が生産されると認められる農用地があるときは、その区域を特別地区として指定することができ、この特別地区の指定があっても、現実に作付けをする者がある場合、指定農作物等の作付けをしないよう勧告することができます。そのほか、土壌汚染防止に関する措置の要請、立入調査などを定めていますが、今日、法と現実のズレが生じている点に注目すべきです。

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