宅地造成等規制法による規制

宅地造成等規制法は宅地造成に伴い崖崩れ又は土砂の流出を生じるおそれが著しい市街地又は市街地となろうとする土地の区域内において、宅地造成に関する工事等について災害の防止のため必要な規制を行なうことにより、国民の生命および財産の保護を図る法律です。同法では、宅地造成に伴い災害が生じるおそれの著しい市街地又は市街地となろうとする士地の区域を宅地造成工事規制区域として指定することとされ、これにもとづいて指定された区域では宅地造成工事は許可制とされ、一定の技術的基準に適合しなければ許可されないとされています。

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知事は監督処分として次のことをする権限があります。
偽りその他不正な手段により宅地造成工事の許可を得た者、またはその許可の条件に違反した者に対し許可を取り消すことができる。
知事は、宅地造成工事規制区域内において許可を得ずしてなされている宅地造成工事等に対しては、工事の停止、擁壁、排水施設の設置等を、無許可等で造成された宅地については宅地の使用禁止等、擁壁、排水施設の設置等を命じることができる等さらに、宅地造成工事規制区域内の宅地で、宅地造成に伴う災害の防止のため必要な擁壁または排水施設が設置されていないか、またはきわめて不完全であるために、これを放置するときは、宅地造成に伴う災害の発生のおそれが署しいものがある場合には、知事は、その著しいおそれを除去するため必要であり、かつ、土地の利用状況等からみて相当であると認められる限度において、当該宅地、擁壁、排水施設の所有者等に対して、擁壁、排水施設の設置、改造、地形改良工事を命じることができます。これらの知事の規制権限は、法律上はいずれも、何々できるとされています。いわゆる行為裁量規定で規定されていることが特徴的です。
この宅地造成法にもとづく知事の規制権限の不行使が違法であるかどうかが判例上争われたケースがあり、それは次のような事案です。本件宅地は傾斜地の山林を造成したヒナ段状のもので、上部住宅地と下部住宅地とでは約九メートルの高低差があり、その間の崖面にはコンクリート擁壁および石積擁壁が設けられていました。ところが、昭和四二年夏近畿一帯を襲った集中豪雨の際、この擁壁が全半壊し、上部宅地の土砂が下部住宅地に崩れ落ちたため、下部住宅地の家屋は倒壊し、上部住宅地の家屋は宙吊りとなって、結局解体収去せざるをえなくなったほか、死傷者を出すに至りました。そこで、この事故の被害者は、上部住宅地およぴ擁壁の造成工事を施行した土木工事請負業者等に対して民法七○九条にもとづき損害賠償請求をしたほか、宅地造成法にもとづき、災害防止上必要な措置をとる権限を有する兵庫県知事の属する兵庫県に対し、規制権限の不行使の違法を理由に国家賠償法一条にもとづいて、損害賠償を請求しました。
この例のように、行政機関が規制権限を行使すべきところ行使しなかったことを理由とする損害賠償請求訴訟では、従来三つの論点がありました。一つは前記のように、行政機関は規制することができるが、規制する義務は法律上定められていないため、行政機関の規制権限不行使が違法になることはないのではないか、ということです。しかし、行政庁の裁量といえども無限制のものではなく、本来は具体的状況に照らし最も適切な措置をとりうるよう行政庁に委ねるというだけの意味をもつものであるため、状況によっては規制権限を行使すること以外には適切な裁量権行使とは考えられない場合が生じます。これがドイツ法でいわゆる裁量のゼロへの収縮の理論です。そして行政の規制権限行使不行使の裁量がゼロに収縮して行政の介入義務が認められる場合は、相手方国民には行政介入請求権ないし警察介入請求権が認められるのです。そこで問題は具体的状況をどうみるかにかかるわけです。この事例の大阪地裁判決では、土木工事請負業者が上部宅地の造成工事中知事が改善命令等を発しなかったことは自由裁量の範囲内で、著しく合理性を欠くものではないが、本件事件発生当時には、本件擁壁はきわめて不完全な状態にあり、これを放置するときは崩壊するおそれが著しく、生命の危険があるため、知事が改善命令、代執行の手段により危険を除去しなかったのは著しく合理性を欠き違法であると判示しました。この裁量のゼロへの収縮が認められた事例はすでにいくつか存在します。もう一つの論点は、知事の規制権限はもっぱら公益のために行使すべきもので、それにより個人がうける利益は単なる反射的利益にすぎないため、たとえ個人が規制権限の不行使により損害をうけても、国家賠償請求することはできないのではないか、ということです。しかし、今日では、行政はたんなる抽象的な公益一般のために活動するのでなく、具体的個人の保護のために活動しているとみるぺきで、反射的利益論は克服すべきです。このように、この二論点の克服により本件の例で兵庫県に対する国家賠償責任が認められたのです。なお、本件のごとき事例で、工事請負業者のほかに、行政主体を被告とする実際的利益は、行政主体の賠償能力にあります。本件の事例でも、敗訴した工事請負業者は賠償せず、結局、兵庫県が全額賠償したようです。

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