日照被害者の救済

建物の高層化が進むにつれて、建物によって日照を妨害されるケースが増加しています。特に都市部でその傾向が増えています。都市部に企業が集まり、それに伴い人口も集中し、地価が高騰し、そのためビル、マンションは高層化され、個人住宅の敷地は狭くなり、都市部では日照の確保が困難な状況になっています。日本では日当りの良い家が大変好まれています。従来の日本の建物が一般に気密性に欠け、かつ暖房設備も貧弱なことから、そのような意識が徐々に形成されてきたものと考えられています。確かに日照を受けることによって、部屋の温度が上昇するとともに明るさも得ることができ、また日光の紫外線による人体生育上の効果および殺菌力も無視できません。加えて昼間日光によって明るく、空が開け、開放感のある環境は、精神的にも充実感、満足感を与えるものです。このような日照の効果は、精神的なものをも含めて、快適で健康な生活を送るための必要条件で、日照を妨害されると快適で健康な生活がそこなわれてしまいます。
そこで日照妨害に対する救済が間題となります。行政上は建築基準法の日影規制などによって建築を規制し、日照の保護を図っています。

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私法上の救済としては、日照望外の原因となる建築物の建築工事の差止請求と日照妨害によって被った損害の賠償請求とが裁判所で認められています。建築完成後の加害建物の取毀請求については、塀などは別ですが、建物については原則として認められていません。
日照が妨害されることは、加害建物が完成する前に気づく事です。建物が建てられなければ、日照の妨害は発生しません。そこで建築の完成前にその工事を差し止める方法が、救済方法として一番効果的な方法となります。加害者が差止めに応じてくれない場合には、裁判所を通じて差止めを請求することになります。しかし、通常の訴訟手続ですと、訴えの提起から判決があるまで長い期間を要し、その間に加害建物が完成してしまいます。完成してしまうと、その取毀請求は困難となります。そこで、まず仮処分の手続で、仮に建築工事を差し止めるように請求する必要があります。その仮処分の手続では、裁判所は、日照妨害によって被害者が受ける不利益が社会生活上がまんすべき程度、受忍限度を超えているかどうかを判断して、差止めを認めるかどうかを決めます。受忍限度を超えているかどうかは、日影規制に違反しているかどうか、被害の程度、地城性、加害の回避および被害の回避の可能性、加害建物および被害建物の用途、先住関係などを考慮して判断されます。また、差止めは、加害建物の全体について認められるのではなく、加害建物のうち受忍すぺき限度を超えて日照を妨害している部分について、認められることになります。
日照を妨害されると、快適で健康な生活環境が損われ、精神的な苦痛を受けますが、その損害の賠償を建築主に請求できるかどうかは、やはり差止請求の場合と同様に、日照妨害による不利益の程度が受忍限度を超えているかどうかによって決められることになります。もっとも受忍限度を超えているという判断は、一般的には、差止請求の場合よりも損害賠償請求の場合の方が、より容易に認められるという傾向があります。つまり、差止請求が認められない場合でも、損害倍償請求は認められるということがあり得るわけです。現在のところ、損害賠償として裁判所で請求が認められるのは、主として日照妨害による精神的な苦痛に対する慰謝料で、土地や建物の価額の低下、光熱費の増大に伴う損失などについてははとんど認められていません。

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