行政上の日照保護規定

日照の保護を直接の目的とした行政上の現定としては、建築基準法五六条の二の日影規制とそれに基づく条例があります。そして、建築基準法五六条一項二号の隣地斜線制限、三号の北側斜線制限も日照の保護を目的とした規定です。以上の日影規制、隣地斜線制限、北側斜線制限に違反する建築物は、建築確認を受けることができず、合法的に建築することはできないので、その範囲で日照は保護されています。
建築物の建築により、日照を妨害される場合、私人相互の民事上の救済としては、建築工事の差止請求と損害贈償請求という方法があります。民事上は、日照の保護だけを直接の目的とした規定はありません。そこで、差止請求と損害賠償請求の認められる根拠は何かという問題が生じます。

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損害賠償については、民法七○九条、七一○条の不法行為の一般規定に基づいて、生活利益の侵害として請求することができます。差止請求の根拠については、様々な議論があり、物権的請求権説、人格権説、不法行為説、環境権説などが主張されています。
物権的請求権説では土地、建物の所有権または借地権、借家権には、それらに対する妨害の予防や排除を請求する権利が、物権的請求権として認められていますが、この説では日照妨害を土地、建物の所有権、借地権または借家権に対する侵害であると考え、これらの権利に基づく物権的請求権によって建築工事の差止めを求めることができると主張するものです。
人格権説では生命、身体、自由、名誉、貞操、氏名権、肖像権などは、人格権の一種として、これらに対する侵害に対して、損害賠償請求だけではなく、それらの支配権または絶対権的な性格から物権的請求権に準じた人格権に基づく妨害排除請求権が認められていますが、この説では日照の享受も個人の快適で健康な生活を維持するものであることから人格権の一種であるとし、日照妨害に対しても、人格権の侵害として妨害の排除を求めることができると主張し、建築工事の差止めを認めるものです。
不法行為説については、日照妨害について、不法行為の効果として建築工事の差止請求を認める説です。この説では物権的請求権説や人格権説のように所有権とか人格権とかの権利にこだわらず、差止めによって保護されるべき利益があり、その利益が侵害されていれば差し止めることができると主張するものです。
環境権説は、環境は土地所有者ないし占有者だけの独占物ではなく、地域住民全体の共有物であるとし、地域住民は環境の破壊に対してその排除を請求することができると主張する説ですが、日照の妨害をも環境の破壊ととらえて、建築工事の差上めについてもその根拠としようとするものです。
差止請求の理論的根拠については、以上のように諸説ありますが、どの説をとるにせよ、日照妨害を受けた場合の裁判所での実際上の差止請求の認否の判断は、被害の程度、地域性、日影規制に違反しているかどうかなどを考慮して、被害者の受ける不利益の程度が社会生活上受忍すべき程度を超えているかどうかを基準としてなされるので、諸説の違いによって差止請求における結論が変わってくることはほとんどありません。裁判例では、差止請求を認めるについて、人格権説と物権的請求権説をとるものが多く、不法行為説をとるものはごく少数で、環境権説については否定的です。

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