日影規制と差止

日影規制に違反した建物によって日照を妨害される場合に、行政上の工事停止命令などの処置とは別に、建築中であるならば、私法上裁判所に建築工事の差止を請求する方法があります。裁判所でその差止請求が認められるかどうかは、日照妨害によって被害者が受ける不利益の程度が受忍限度を超えているかどうかの判断によって決まります。

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この判断においては、被害の程度、地域性とともに、日影規制への違反の有無は特に重要な判断要素となります。しかし、この日影規制は、公法上の規制であって、形式的な地域的区分によって概括的に規制するものであるため、個々の実質的な地域の状況に必ずしも常に適切に対応しているとはいえません。そのためにこの規制違反の有無だけで、私法上の差止めの基準である受忍限度を超えているかどうかを判断することはできません。
しかし、日影規制に違反した建築の場合には、その違反の事実は、差止めを判断するうえで、かなり決定的な影響を及ぼし、ほとんどの場合に差止めが認められることになります。建築基準法一条の規定から判断して、日影規制は最低の基準を定めたものとも考えられるからです。しかし日影規制違反の程度が極めて軽く、敷地の面積や形状などに錯誤があったために違反する結果となった場合のように、違反が悪質ではなく、また、被害者の敷地が広いため、被害者の建物の主要開口部の披害の程度がきわめて軽いなど、受忍限度のその他の判断要素について、加害者側に有利な材料が整っている場合には、差止めが認められないケースも考えられます。
一方で日影規制に違反していない場合では、その事実は、差止の判断では、被害者側にマイナスの要素として強く作用することは間違いありません。しかし、その作用は絶対的なものではなく、差止めが認められる可能性も十分あります。特に日影規制では適用される区域や対象建築物が限定されていることから、規制の対象とならない建築による日照妨害が生じる場合。重大な複合日影がある場合などでは、日影規制違反がないということが、差止めを否定する絶対的な理由とはなりません。
日影規制は、商業地域と工業地域における建築については適用されず、また第一種住居専用地域では軒の高さが7m以下でかつ地上2階以下の建物を、その他の地域では高さ10m以下の建物を、それぞれ建築する場合にも適用されません。しかし、このような建築に対しても、日照保護の必要性をすぺて否定したものと考えるぺきではありません。個々のケースごとに、私法上の受忍限度を超えているかどうかを判断して解決すべきです。特に規制対象外の建物の場合に、その地域の日影規制の規制値をその建物にあてはめた際に、その規制に接触する状況であれば、差止めが認められる可能性が出てきます。
複合日影がある場合では、日影規制でも複合日影に対する配慮は一応しています。敷地境界線から外側へ5mを超えて10mまでの範囲の部分のほかに、10mを超える範囲の部分を設定して、それぞれ許容される最長の日影時間を定めていることは、複合日影を考慮し、それに対応するためのものです。しかし、それにより複合日影の問題が完全に解決されたとはいえません。例えば午前中には東南の建物の日影となり、午後は西南の建物の日影となって、双方の影がほとんど重ならない場合などでは、それぞれの建物が日影規制に適合していても、日照妨害の被害が甚大となるということが生じ得るからです。このような場合でも、日影規制に適合していることを理由に、一律に差止めを認めないとするのは不合理で、他の判断要素の内容が被害者側に有利であれば、差止めが認められる可能性は十分あります。
いずれにしても、前記のような日影規制に適合している場合や日影規制対象外の建物の場合では、差止は認められにくくなりますが、他の判断要素の内容によっては認められる可能性もあります。

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