商業地域での日照保護

商業地域は、主として商業その他の業務の利便を、工業地域は、主として工業の利便を、それぞれ増進するために定められた地域です。住居としての環境よりも、商業または工業の利便の増進が重要視されているため、この両地域での日照の確保の必要性は、他の地域と比較して、最も低くなります。それでこの両地域は、日照の保護を直接の目的とした日影規制や北側斜線制限の適用地域となっていません。商業地域では、建ぺい率や容積率でも他の地域と比較して最もゆるやかな制限となっています。したがって、商業地域は、公法的規制上、最も大きく高い建物を建築することができる地域です。近隣商業地域は、近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主な内容とする商業その他の業務の利便を、準工業地域は、主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便をそれぞれ増進するため定められた地域です。したがって、この両地域における日照の確保の必要性は、住居系よりは低くなりますが、商業地域や工業地域よりは高いと考えられ、いずれも日影規制の適用地域となっています。

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間取り

建物建築によって日照を妨害され、裁判所でその工事の差止めを認めてもらうためには、日照妨害によって被害者が受ける不利益の程度が受忍限度を超えていなければなりません。この超えているかどうかの判断では、日影規制への違反の有無および被害の程度とともに、地域性が重要な要素となります。この地域性を考える場合に、一般的には日照の確保の必要性が高い地域では差止めが認められやすく、必要性が低い地域では認められにくいということがいえます。商業地域および工業地域では、前記のとおり日影規制が適用されません。
しかし、このことから、この両地域では日照の確保の必要性がまったくないと考えるのは早計で、この両地域をこの規制の適用外としたのは、この両地域において、常に日照の保護の必要性がないと考えたことによるものではなく、この両地域における日照の問題を、個々のケースごとに受忍限度の判断要素を総合して、差止めを認めるべきかどうかを判断して解決する裁判所における私法上の解決に委ねられたものと考えるべきです。しかし、この両地域は一般的には他の地域と比較して日照の確保の必要性は最も低く、差止めの最も認められにくい地域で、近隣商業地域、準工業地域は、その次に認められにくい地域ということができます。また、地域性を考える場合に重要なことは、都市計画法上の用途地域だけで一律に考えるのではなく、将来の発展性の予測を含めた現実の利用状況を十分考えなければならないことです。
商業地域または工業地域と指定されている地域でも、店舖や事務所が入っている中・高層ビルが立ち並んでいる典型的な商業地域や、工場がほとんどを占めている典型的な工業地域ばかりではなく、ビルや工場が少ない比較的低層な住宅が多い地域で、将来もあまり発展が望めない地域もあり、それぞれ現実の日照保護の必要性に違いがあるからです。日照保護の必要性が最も低い典型的な商業地域や工業地域では、差止めはほとんど認められないといえるでしょう。
一方で比較的低層な住宅が多い商業地域や工業地域では差止めが認められる可能性が出てきます。このような地域でも、商業地域や工業地域の指定を受けていれば、日影規制による建築制限を受けることがないことから、建築基準法上、隣地に長時間日影を生じさせるような建物の建築も可能であり、今後も日照紛争が多く発生することが予想されます。

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