複合日陰と建築工事の差止請求

建物の建築により日照を妨害される場合に、既存の建物によりすでに日照の妨害を受けていて、二重に日照を妨害されることがあります。複数の建物による日影が複合している状態を一般に複合日影といいます。日影規制では、建築物の敷地境界線から外側へ水平に、5mを超えて10mまでの範囲の部分と、10mを超える部分とに分けて、規制される日影時間を定めています。このうち、10mを超える範囲の部分における日影時間の規制は、複合日影を考慮して規定されたものです。しかし日影規制は、同一敷地上に2戸以上の建物がある場合を除き、建物ごとに日影を規制しており、日影規制施行前に建築された建物によりすでに長時間日影が生じている場合や、方角が異なる複数の建物により日影が複合する場合などでは、日影規制適用地域においても日照妨害の程度がきわめて大きくなる場合があります。方角が異なる場合は、各加害建物により日影を発生させる時間帯が異なるため、発生させる日影時間が、それぞれ、4時間、3時間で、いずれも日影規制に適合しているとしても、まったく日影が重ならない場合には、合計7時間日影となることになり被害が大きなものになります。このように複合日影の場合には、日影規制だけでは十分に解決できない場合が出てくるために、私法上の解決が必要となってきます。

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日照妨害を理由に、私法上、建築工事の差止めが認められるためには、日照妨害によって被害者が受ける不利益の程度が受忍限度を超えていることが必要です。この超えているかどうかは、日影規制への違反の有無、被害の程度、地域性を中心に、その他の判断要素を総合して判断されます。複合日影の場合に被害の程度をどのように考えるかということが間題となります。
被害だけを考慮すれば、既存建物にょる日影も新築建物による日影と仮定して、差止めの可否を判断する方法が考えられます。この方法では先に建物を建てた者が得をし、後から建てようとする者が先に建てた者の分まで制限を受ける結果となり、加害者相互の間で非常に不公平となってしまいます。
それとはまったく逆の方法で、既存の建物にょる日影をまったく無視し、新築建物による日影だけで差止めの可否を判断する方法が考えられます。この方法は加害者双方にとっては公平ですが、被害者にとってはきわめて過酷な結果となっています。
それで中間的な方法が考えられ、複合日影全体の被害の程度、新築建物による日影の程度、既存建物にょる日影と重ならない新築建物だけの日影の程度を考慮して、差止めの可否を判断する方法です。
複合日影全体でも、その地城において確保すべき日照時間を侵害していなければ、差止めは認められないことはいうまでもありません。複合日影全体では確保すべき日照時間を侵害している場合に要因を考慮して、差止めが認められるかどうか判断することになります。
基準時間を午前8時から午後4時までの8時間とし、この基準時間から確保されるべき日照時間を差し引いた時間を日影許容時間というならば、差止めが認められるためには、新築建物による日影時間が日影許容時間の相当部分を占めていることが必要となります。例えば確保されるべき日照時間が3時間である地域で、新築建物による日影は午前10時から午前12時までで、既存建物による日影は午前11時から午後4時までの場合は、複合日影全体では6時間ですが、新築建物による日影は2時間で日影許容時間の40%程度であり、差止めは認められにくくなります。また新築建物による日影時間が日影許容時間の相当部分を占めている場合でも、重なっている日影を除いた新築建物だけによる日影時間と既存建物だけによる日影時間とを比較し、新築建物だけによる日影時間がかなり短い場合は、差止めは認められにくくなります。
差止めが認められる場合に、新築建物の建築差止めの範囲が問題となります。日影許容時間を超える日影の回避義務を新築建物だけに課すのかという間題です。この間題については、日影許容時問を超える日影の時間を、新築建物による日影時間と既存建物による日影時間の割合によって区分し、新築建物による日影時間に対応する日影時間についてだけ回避できるように、工事の一部の差止めを認めると考えることができます。例えば日影許容時間を4時間とし、新築建物による日影時間を4時間、既存建物による日影時間を5時間とし、日影が重なっている時間を2時間とした場合に、複合日影時間は7時間で、日影許容時間を3時間超えることになり、この3時問を、4対5の割合で区分し、新築建物に対し、1時間20分日影を回避させるぺく、工事の一部を差し止めることになります。

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