暴力や嫌がらせによる家屋追い立てされた場合

私は、現在のアパートにもう一五年住んでいますが、最近、持主が変わったらしく、若い者が二、三人で来て、階段の手すりの一部をこわしたり、物干場に鉄骨鉄材を 運びこんてきたりして、散々いやがらせをします。結局は家賃を、現在のニ万五千円円から、九万円にしなければ取り壊すからでていけ、無茶な言い分です。こんな暴力的な追い立てにはどうしたらよいでしょうか。

 こうした場合、居住者がしっかり団結して、法律的にも権利保金の手続をとり、筋をたてて反撃していけば、決してこわい相手ではありません。むしろ、暴力によるいやがらせで、明渡しを求めてくるやり方というのは、最も拙劣な戦術といってよいでしょう。相手がそうした手でくるのは、それ以外に手がないことを自白しているようなものです。てすから、こうした手をうってくる家主というのは決してほんとうにこわい相手ではありません。そのことに居住者が確信をもたれることです。以下に実例を紹介しましょう。
 ある例では、マーケットの一部を買い取ったある業者が、やくざのような若い連中を使って、営業中の店舗の二階で火を燃やし、煙でいぶしだそうとするなど、ちょっと常識では考えられないようないやがらせをして、前の家主からこの建物を賃借してきた居住者や営業者を追いだそうとしました。
 建物の賃借権、借家権は、その賃借人がその建物の引渡しを受けてこれを占有使用しているときには、その後で所有権の譲渡など物権の変動があっても、新たに物権を取得した者にたいし効力を有します。したがって、本問の事例のような場合には、新しい家主は従前からの借家人が賃借権をもっていることを否定できない立場にあります。
 かりに、賃借権の有無に疑問があるときでも、現に建物を使用している人には占有権という権利があります。占有者が占有している建物について行使している権利は、いちおう適法なものと推定されます。ですから、占有者が実は何の権限もない不法占拠者だ、としても、すでに占有が開始されてある程度の日時を経過している限り、所有者はそれを実力で追い立てることは出来ず、明渡請求の訴訟を起こすほかはありません。
 また、実力による追い立てに対抗する占有者側の民事上の法的手段としては、占有を実力で妨害されるおそれがあるときの予防的なものとしては、占有保全の訴、現に妨害されたときの妨害排除としては、占有保持の訴、占有を奪われてしまったときには、占有回収の訴があり、また、それらを被保全権利とする仮処分もあ ります。

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借家人の営業にたいする妨害が威力によると認められる程度に達すれば、威力業務妨害罪が成立し、それほどではない単なる悪戯とみなされるときには軽犯罪法違反となります。
 また、煙でいぶりだすような行為は、人の身体にたいする有形力の行使として、暴行罪に該当し、その結果、眼が充血したり、めまい、嘔吐などをひき起こしたときは傷害罪が成立します。
 上述の事件では、テレビでとりあげられた後のことで、Bという業者の方でしたが、すぐに、簡易裁判所に対し、店舗賃借権に基づく、占有妨害排除の仮処分を申請しました。そして、裁判官に面会し、テレビ番組でもとりあげられるほどひどいやり方を家主側がしており、警察だけではなかなかおさえられず、これでは安心して営業もできないと事情を話し、仮処分は、保証金二万円を積んだということで、即時に決定されました。
 占有妨害排除の仮処分決定後、いやがらせは散発的にまだありましたが、家主側はその後間もなく折れてでて、Bさんには同じ建物の隅のコーナーの一コマに移ってもらう、そのコーナーは店舗として充分に勝手よく使えるように改築し、内装もきちんとする、という条件を出し、賃料は若干値上げを認めることになりましたが、結局、和解が成立しました。Aはこの条件をまもり、Bさんはそのコーナーに移り、現在まで平穏に営業し、繁盛しています。またその建物の持主もすでに変わったとかきいています。
 暴力的な追い立てにあったら、すぐに一一〇番に通報し、警察官を現場に呼びましょう。警察官は、現場のようすから現行犯と認めれば逮捕できますし、犯罪がまさに行なわれようとしていると認めれば、その予防のため必要な警告を発し、またはその行為を制止することができます。また、警察や検察庁への告訴も効果があります。
 Bさんの実例は、その賃借権が借家法で保護されている限り、暴力やいやがらせはまったく無力だということを教えています。警察が、民事問題だからということで、刑事問題としてテキパキ捜査してくれないことがままありますが、そのようなとき、裁判所の仮処分命令がかなりききめがあるといえましょう。
 またこのような場合、警察が効いてくれないからと諦めてしまうのではなく、すぐ信頼できる弁護士に相談して必要な法的手段を講じてもらうことが大切です。

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