住む人と部屋の性格

 住まいの骨格をしっかり準備した上で、住む人独得の住み方を理解して、それぞれの空間へ肉付けをしていくわけです。
 部屋の名称が問題なのではなくて、使い方が問題なのです。洋風といい、和風といったよく使われる単純な名称でも、少し考えると返答に困るわけで、それぞれ住む人と建築家が異なる土俵で物を考えているならば、何回答を出しても一致するわけはありません。玄関などとぎょうぎょうしい名称をつけると、そんな格式ばったものは不必要だと文句もつけたくなる。なるほど、かつては玄関は格式の象徴であり、禄高によって間口もきめられていたためか、今日ではかえって庶民が格式をのぞみ、殿様は土間から直接入りたいと思うかも知れません。そんなことはどちらでもよいことで、またこれが自由に選択できるところに今日の特徴があるのです。
 居間は家族中心の集り部屋なのか、接客中心の集り部屋なのか、また気取って多目的空間と名付けてみても、あまり重要でもありません。どれがこれからの住生活の姿なのかを論ずるのも必要でありますが住まいを現実に設計する立場からいえば、そういうことの是非ではなくて、住む人がどういう使い方、住み方をしたいのかが重要なのです。住む人と話し合いの中で、どんな住み方をしたいのか、を少しでも正しく理解することが必要なので、抽象的な部屋名などにまどわされてはなりません。

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 ながいこと一つの家に住んでいると、毎日頻繁に出入りするところができるもので、それがいわゆる玄関とよばれるところではなくて、せまい台所からの出入口であったり、庭先きの縁側からであったりするものです。誰でも便利なところから出入りするわけです。使い易いことだけ考えれば、毎日の出入りは接客部分とは関係のない、しかも個室とは独立した共通の場所であれば便利です。車を使っての道路からのアプローチも、車を降りるとそのまま雨に当らず出入口へというのが一番よい。このような出入口が住まいの出入口として最も大事に扱いたいところです。
 履物の着脱と収納、その広さ、などは家族の人数や構成などに合わせて考えることはいうまでもありません。アパートなど最小限住居の面積の場合は入口はここ一ヶ所だけになるでしょう。住まいへの訪問者もここで間に合わせることになりますが、面積の余裕があれば、動線からいっても家族と分かれた方が処理し易いので別に設けるのがよい。訪問者を重視するということになると、ここの構え、装置が重要な役割をすることになり、武家屋敷のぎょうぎょうしい玄関構えが生れ、それがひいては武家以後も金持の好むところになりました。しかしそこまで見栄を張らなくてもよですが、常に訪問する人に対して、気持よく包み込むような装置を用意しておくことは必要でしょう。
 さらに面積の余裕と、空地に余裕があるならば、家事用のための出入口、例えば洗濯物の物干場への出入り、食料品の台所への搬入と、厨芥の搬出などの出入口が必要です。これなどは、位置的には第一にのべた出入口とおなじ場所に近いので、計画さえ要を得れば兼用も充分可能です。
 以上述べたように、三ケ所あるいはニケ所出入口があれば、動線もきれいにおさまります。
 そのほか、出入口とみられるものとして、部屋から庭へ連絡するものがありますが、これは出入口といっても全くプライベートなものて、部屋と庭との一体性を目的としたものと見るべきです。庭への視野の拡大を目的として、窓が大きくなり、床までを開口部と考えたもので、実質的には窓であり、部屋を広く使いたければ開け放たれる移動間仕切りです。

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