住宅での畳と椅子

住宅を新築すの問題の中で、在来からよく使われているる畳敷きの部屋を主にするか、椅子に腰を掛ける式の部屋を主にするかがまず第一に検討されることになります。これも単に習慣上から、気分の上から、簡単にきめられ勝ちですが、よく考えてみるとそんな単純なことではありません。畳を、坐る生活、板または別の新しい床材料を、椅子式生活と簡単に区別して考えることは軽率です。もっとひどいのになると、和風と洋風といった乱暴な分け方ぐらいにしか一般に理解していないのが実状です。
 私達の生活は、坐るか腰を掛けるかといった単純な住まい方をしているのではありません。もう少し自由な、気ままな恰好をしているのだし、したいわけです。

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 坐ることと椅子に腰を下すことだけとってみても、どちらが楽な姿態であるか、思っている程簡単な答はでないものです。坐るにしても、正座もあればあぐらもあるし、寝ころぶこともあります。椅子式にしても、高い座の椅予て事務をとるのに便利な形もあれば、座の深く低い休息用のものもあります。小時間寝ころぶには畳もよいが、私などは体がいたくてものの十分も寝ころんではいられません。むしろ専用の寝椅子の快適さには比ぶべくもないでしょう。また座ぶとんにあぐらのくつろぎも、必ずしも安楽椅子より楽だとはいい切れません。こう考えてみると、畳の部屋は必ずしも楽ではありません。
 椅子式の場合でも快適なのは、体に合った椅子の場合であって、市販されている椅子で、そこまで注意してつくられたものは少ない。単なる見せかけの応接セットよりは古畳に座ぶとんの方がはるかにましです。そこで、休息の点からは、ゆったりした体に合った低い椅子をとることになります。もちろん、やわらかい床の上に坐ったり、直接寝ころびたい時もあるでしょう。子供達が遊んでいる姿のように、じゆうたん敷きもよかろうし、畳に籐椅子といった前近代的な形態が別の角度で考えられても一向差仕えありません。
 畳の欠点としてほこりの問題がよくいわれます。特に畳敷きの寝室など、畳床にじかにふとんを敷く習慣の場合、よく取り上げられる問題です。しかし椅子式の場合とて、必ずしもこの欠点をおぎなっているかどうかは怪しいものです。簡単に動かすことのできない重いベッドや、重い椅子の間をぬっての掃除、じゆうたん敷きの場合などはむしろ畳よりほこりをすっている位で、掃除機を使っても大変です。むしろ畳の方が衛生的かも知れません。
 畳の最後の砦は転用性です。自由に居間ともなり、食事室にもなり、寝室にもなり得る点です。寝室にしても、一人位なら、割り込ませることもできる便利さがあります。この点になると椅子式の部屋では考えられないことです。実際問題として、経済的な事情でやむを得ず面積を切りつめている現状と、実際に家具の分だけ余分の費用がかかることは無視できないなどの理由で、畳敷きの部屋をもつ住宅が多いのでしょう。
 しかしだからといって、一人一人のプライバシーの犠牲の上に立って、転用性が要求されるのだとしたら、前向きの考え方ではありません。
 転用性のことを別にすれば、畳に限らず、長い伝統にみがかれたものには、それだけの存在理由が必ずあるものです。畳を新しい一つの床材料として規格の寸法や形を変えてみたり、色調を別の淡い色で考えることも無意味でもないでしょう。
 本質を理解して、住まい方に合わせて判断することです。単純に取捨することは危険です。

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