住宅での団らんや接客

 家族だけの、団らんと食事という考え方は、土間と炉ばたを中心とした団らんと食事という農家の生活をみてもわかるように、日本の庶民に於てはごく一般的な生活でした。ダイニング・キッチンとか、リビング・キッチンが日常当り前のこととして行われてきた。むしろ接客は二の次でしたが、封建制度の格式が次第に庶民にまで診透するようになるにつれて、接客のための部屋が設けられるようになりました。ところが、民家でも格式のある家になればなる程、客座敷を主とする、より上級の武家の住居を模した形式が主流となることは人間の見栄の標本のようなものですが、いつの世でも変りありません。自分達の団らん、食事の場は、住まいの中で次第しだいに片隅に追いやられてしまいます。むしろ、より下級な庶民の住まいの方が、建物全体からみれば団らんや食事の場所が確保されていたようです。しかし家族団らんを犠牲にしてまで、接客の構えを確保することもありませんが、人それぞれに生活の形式があるもので、その秩序を整える意味での接客のための用意を考えてみましょう。

スポンサード リンク

 まず、一般に応接間といわれている、接客専用のものが必要かどうか。これは面積に相当余裕のある場合でも話し合ってみると必要でない場合が多い。これは主人の客が家族と顔を合わせではまずいものか、あるいは積極的に家族ともども客と合った方がよいかによってきまってきます。外の仕事を住まいまで持ち込まざるを得ない政治家とか特殊の実業人のような職能の人には応接専用の室が必要かも知れないが、主人の客に対して少なくとも奥様も一緒になって接待する、一般の人にとっては、専用の接客室は必要ないでしょう。専用の応接室に通された、寒々したぬくもりのない部屋の雰囲気は、二度と訪問する気を起させないものです。家族だけの団らん、食事の場所が、たとえ散らかっていても、人のぬくもりを感じさせ心からなる歓待となるでしょう。
 家族だけでなく、親戚知己と多人数の集りを必要とする家族でも、これは常時集まるわけではなく、年に一回とか二回ぐらいが一般であろう。しかしこれは楽しいもので、家中の椅子を寄せ集めて使ったり、坐ったりさまざまの工夫でけっこう間に合うものですが、あらかじめこのことを考慮にいれて計画しておくと便利です。もちろんいつもは家族の団らん、食事に使用するように計画しておき、そういった集りの場合に間仕切りを取り払って大部屋にします。私の設計する場合は、和室の畳敷の二部屋と、椅子式の団らん室を組合わせたものが多い。和室の次の間に当るところは常時茶の間というか家族全体の私室的な扱いにします。神棚とか仏だんなど設ける場合にはここにします。奥の和室は普段は寝室にしてもよいし、ここまで親しい客は招きいれてもよいでしょう。椅子式の団らん室は接客、団らん時に食事の場として使います。

間取り
間取りの基本/ 地割りの基本/ 住む人と部屋の性格/ 住宅での畳と椅子/ 寝室は布団敷きかベッドか/ 住宅での団らんや接客/ 台所とユーティリティ/ 浴室や洗面所と便所/ 通路と応用/ 収納と空間利用/ 和室と床の間/ 神棚や仏壇などの習俗について/ 家相のこと/ 住まいの中の遊び/ 動線に沿った空間/ 空間のつなぎ方/ 階段の遊び/ 環境の一部としての住まい/ 屋根の形/ 日本家屋の屋根/ 外壁と開口部/ 建物の基礎/ 部屋と庭との境目/

       copyrght(c).間取りガイドドットコム.all rights reserved

スポンサード リンク

プライバシーポリシー