和室と床の間

 和室を設けるかどうかが、まず問題です。畳敷きのこと、すなわち和室は形といい、使用機能といい、生活様式に深い関わり合いのあることであるから、納のいくまで話し合ってきめるべきです。
 和室を設けるとすればどんな使い方をするか、またどう使ったら有効であるかを分析します。在来から多く利用されていた寝室としての使い方、畳敷きに敷ぶとんと掛ぶとんの住まい方は前にも述べたようにベッド使用と本質的には変らないので、これが好きな人は寝室として使うことは全く合理的です。寝室として鍵を掛けにくいということはありますが、これも扱い方によっては処理できることがらです。
 個室としてではなく、茶の間とか居間として、共通利用の場としての使い方についてはどうかというと、結構日常の気楽な生活の場としてならば、椅子が好きでない向きにはよいと思います。
 いずれにしても坐ることが前提なのであるから、足の不自由な人にとっては不向きであろう。
 この坐ることを念頭において、和室の成り立ち、特色を考えてみたいと思います。

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 坐るという形式が定着してきて以来、置敷きであった畳が、部屋全体に敷き詰める材料としての現在のような畳が案出されました。
 畳表は汚れたり、すり切れたりした場合に表替えをします。また時には特出して天日にほして温気を取除くなどの操作をするのに便利なようにある単位の大きさに分解できるようにした。畳の大きさと部屋の大きさが一定の関係にあれば都合がよいわけで、こうして今日あるような規格ができました。
 京間では畳の寸法が九五センチ(三尺一寸五分)と一メートル九〇センチ(六尺三寸)になっていて、部屋の大きさは畳に合わせた内法寸法を採用しています。東京間では部屋の寸法を柱の心心で測るつくり方をしているので、少し小さく、九一センチと一メートル八二センチが柱の幅の関係で少しつまった寸法になっています。
 だから部屋の大きさは、この畳から割出されて三畳・四畳半・六畳・八畳・十畳・十五畳などが基準になっています。
 東京間は、柱と柱の中心を基準とする心心寸法、京間は、畳の大きさを一定にして、柱と柱の内法を基準とする内法寸法をとるのが習慣です。
 このように監察化された部屋の形が和室の特徴の一つです。
 さらに特色をなしているのは、坐るということから目線が椅子式よりも約四五ないし五〇センチ低いことを考慮にいれて、すべて設計の高さが割り出されているものです。
 天井の高さなども比較的低く、ニメートル五〇センチぐらいが普通です。
 内法の高さ(建具の高さ)は一メートル七六セチ(五尺八寸)が定法です。一メートル七三センチ(五尺七寸)も使われましたが、前者に定着しているようです。椅子式にしては、少し低いきらいがあります。窓台の高さも一般に低く、四〇センチが肘掛け窓の寸法です。茶室に至ってはさらに低く、内法の高さも一定しませんが、高い部分でも一メートル六〇センチぐらいです。天井の高さも、高くてもニメートル六〇センチと坐って動作をするときの目線を基準にしてすべて割り出されています。
 また和室といわず日本式というか、住まいそのものが密閉型よりも 開放型です。
 これは四季の移り変りがはげしく、温湿度がこれまた大きく変化するのに対応するためです。冷暖房の設備をした場合は別ですが、全面的に機器に頼ることに問題があるとすれば、戸外との密接な接触は、この国の住まいをつくる上に欠くことのできない要素です。
 素足の畳から戸外への接触を、永い生活の智恵で巧みに解決してきました。素足の畳から板張りの縁に、時には縁の高さを落して二重に縁が設けられます。そこから沓脱石に下りてはきものをはきます。こうして庭の中の誘導路である踏石へと続きます。庭と建物との境は開口部全体を解放、開閉できる建具によって仕切られます。広い開口部を開閉するのに便利なように突上火の蔀戸から引違いによる開閉に移り、雨を防ぐための板戸は、左右引込みから一ケ所に繰り込み火の軽い雨戸が考案されました。現在では内側から障子、ガラス障子(木製またはアルミ製)、網戸(木製またはアルミ製)、雨戸(木製またはスチール製)と材質の変化はあるが基本的には在来と同じ手法です。
 室内の間仕切りは、原則として引違いの襖で、壁はすくない。プライバシーを守るということよりも、通風を第一にするために考え出した方法です。採光をとる庭面は、明り障子ともいわれる紙張りの障子を用います。
 襖といい、障子といい、夏季の湿気を調節するのに都合のよい材料で構成されているわけです。
 壁は比較的すくないが、部屋の中心とも思える一面は壁になっており、ここは仏具などを置いた、床の間の伝統が受け継がれて和室の中心として今日に至っています。部屋の中心として、絵画を掛け、花を生ける。現代の和室にふさわしい新しい形の壁面が創造されてもよいと思います。
 床の間というと、古風な固苦しい形しか想像できない向きもあるが、全く自由です。
 ここにいくつかの床の間の例を示すが、いずれも古い茶匠の好みのものが多いが、自由で、現代にそのまま使っても少しも不釣合いではなくまことに新鮮です。

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