環境の一部としての住まい

 良い環境は、私達の手で守らなければならないと考えながらも、私達は何等かの形で環境を改変しながら今日まで生きてきました。そして、これからも改変をくり返しながら生きつづけていくわけです。住まいをはじめとする建築物も、目に写る自然も、すべて環境改変の歴史です。住まいが大地に根を下ろしたときから、自分だけのものではない。住まいも、より良い環境を形づくるための一つの素材として、周囲の自然と共に街や村の一部として、互いに溶けこむようにありたいものです。

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 住まいができ上って、お祝いに伺った客人が、この辺りに来て新築の住まいを尋ねようとして、とある静かな一軒の家でその所在を問うたところ、尋ねる家がその家だったというような、何年も何十年も前からそこにあった、というような家がつくれたなら最高であろうと思います。誰でもがそうあるように希って建てたいものです。環境を守ることはそういうことではないでしょうか。
 床・壁・天井で包まれた内部空間を、外部からの自然の障害や人為的な障害から保護するために、先人はさまざまな材料によるさまざまな構想で、自然との戦いや、外敵に対処しながら、住まいを構築してきました。
 住まいのたたずまいは、そこに住む人々の生活をそのまま反映し、身近に手に入る材料で、最もつくり易い構法に左右されながら、永い年月を経て定着していくものです。アメリカのコロニアルスタイルも宿場町の街並も、こうして生れ育ってきたものです。生活や風土の強い影響をうけて育っていく住まいは、時代的な特性や、地方的な特性がにじみでるのも当然の理由があります。現代に於ては、構築される材料も、流通機構の発達により、一地域にとどまらず全世界に流通している状態です。構法も、学問並びに技術の発達によって、次々と新しく開発されつつあります。加うるに、設備機器をはじめとする多くの機器の発達は、冬を暖かく、夏を涼しくすることも一般化しつつあります。人々の生活も、世界的な範囲であらゆる国々との交流がすすめられ、その結果、生活そのものも互いに同化され、吸収されて、国際化の傾向が著しい。こうした情勢の中では在来の地方性ばかりでなく新しい形の住まいが生れてくることは当然でしょう。それと同時に、永い間に培われた民族の生活や習俗も、執拗に生き残ることでしょう。それにもまして、その国の気候や風土に至っては、むしろ変るはずのものではありません。
 住まいの移り変りは、まことに緩慢で、見たところでは動いていないようですが、確実にその時代の生活を写しているものです。
 設計に当って、生活の正しい把握がのぞまれるゆえんです。
 生活の正しい把握とは、当然のことながら私達が生を受けている今日の生活のことであって、けっして過去のものではありません。正しく今日を理解できたならば、昨日まで生きてきたものと解けあわないはずはない。突然今日があるのではなくて、流れるように過去と連続しているものです。こうして永い歴史は今日の姿を残しているのであって、鎌倉時代のものと江戸時代のものが同居して丁同差仕えないわけです。
 街並保存や景観保存、自然保護が単純に、性急に取り扱われることはむしろ危険です。新しくつくられるものの外から眺めた景観が、在来の景観を損うかという問題も大切ですが、そうすることによって質的に既存のものにどう影響し、どう損うかのチェックがより重大なことです。
 住まいを環境の一部として解け合わせる最も大切なことは、私達の周囲を含めて生活を大切に扱うことです。生活は生きているのであって、生きているということは、どんなことよりも強く美しいものです。

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