屋根の形

 住まいのたたずまいの中で、特に集落として目につく特色は、何といっても屋根でしょう。
 南欧のスパニッシュ瓦でふかれた鮮かな赤褐色、これは群をなすと更に美しい。和瓦屋根の織なす銀灰色の渋い縞模様。洋瓦に多くみられるさまざまな色調もすてがたい。材料入手の困難さや、防火的意味も含めて、都会的ではなくなった茅ぶき屋根、シングルぶき、実に多様な材料がそれぞれの国の風土に溶け込んで、どれをとってみても美しい。
 これら屋根ぶき材は各国によって多少異なってはいても、屋根ぶき材としての個々の性質はあまり変ってはいません。だからどこの国の屋根ぶき材でも大体そのままの形で使うことができます。これは雨を防ぐという条件が一致しているためでしょう。だが、細かく検討していくと、それぞれに微妙な相違があることがわかります。それぞれの国の気候との関係、主体構造との関わり合いなどによって、永い間に改良され変遷して、ここまてきたものだけにそれなりの理由があるようです。

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 その地域に多く、そして広範囲にわたって用いられている材料とか、一般に普及している構法などその地方特有の使い方があるものです。はじめてのところは同じ材料や手法を採用するのが最も安全です。
 もし、新しい材料、新しい工法を採用するとするならば、在来の材料や工法、もちろんそうなっている形を含めて、なぜこの材料で、この工法が行われているかを徹底的に調査し、研究した上で採り入れたいものです。
 徳島は台風にたびたび見舞われる風の強いところですが、吉野川の流域に今でも点々と残っている古い民家では、母屋は茅ぶきで、ふっくりとむくりのついた寄棟造りが多い。下家の庇とか、別棟の附属家は本瓦ぶきで、これもまた、むくりがついた見るからに重圧なものです。
 本瓦ぶきは屋根瓦そのものも重いし、左右の瓦の重ねも多いので、建物も一般のものより木部の部材も大きくつくられるのが普通で、今日では費川もかさむので、社寺以外はあまり用いられていません。
 洋瓦の中でも本瓦と同じような半円形の断面をしたものにスバニッシュ瓦があります。この瓦も屋根瓦自身も重いし、ふき方も、半円形の雌型と雄型を交互に組合わせて、本瓦ぶきに似た手法でふいていくので、意匠的にも重量感があります。
 石造とか煉瓦造のマッシヴな構造か、木造でも骨格の太い柱を用いた場合ならよく似合いますが、繊細な木割りのものでは、似つかわしくないようです。勾配は比較的緩い方で、また軒の出も長く出しにくいので、雨量の多いところでは問題です。
 日本では、もともとあまり使われませんでしたが、薄い天然の石板を使った天然スレートが、ヨーロッパ各地の古い町並に残っています。この材料の接合部は、平板を重ねるだけなので、木製の板を材料としたシングルぶきと同様に、重ねを多くして、勾配を強くしないと雨仕舞がうまくいきません。
金属板は接合部の処理が比較的簡単なので、緩い勾配にできることが、ほかの材料に比較して有利です。緩勾配の屋根にするには、現場施工の防水方法を除いては、この材料をおいてほかにはありません。ただし、厚さの薄い材料なので、防暑・防寒・遮音などに対しては、単独の材料だけでは無理なので、別の材料を下地材として重ね合わせて補うことになります。
 このように、屋根ぶき材料と屋根勾配とは密接な関係にあるもので、屋根の形もこれによって変ってくるし、地方地方で特色のある形が存在することも理解できます。恰好だけできまるわけのものではありません。

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