日本家屋の屋根

 在来の日本家屋は、神社仏閣の一部を除けば、全体に色調は淡いのが多く、国によってはまことにカラフルなところもあります。
 屋根の色調も例外ではなく、和瓦としては色の種類は少ない。一体に銀灰色が多く、他の色としては、山陰・山陽地方の渋い赤褐色ぐらいのものでした。近年カラフルな瓦が多くなったのは洋瓦の影響だと思います。瓦自身の色調は見事ですが、家全体として調和しているかどうかは別問題です。

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 建物自体がある高さの高いものとか、石造とか煉瓦造のように重量感のあるものとか、壁体自身がカラフルな色調の場合は、原色の鮮やかなものが似つかわしく、在来の和瓦の色調では弱すぎます。反対に平家建てか、二階ぐらいの小規模で壁面も渋い色調の建物では銀灰色ぐらいが無難です。
 基本的な形として最も一般的のものは、切妻と寄棟で、そのほかはこの二つの応用だと思えばよいでしょう。
 屋根の小屋組構法の面からみると先ず切妻が最も単純で造り易い。しかしこれを支える壁体部分からみれば軒が一様ならば箱のような壁体の寄棟造の方が自然です。どちらが多く使われていたかは、さまざまな条件によることで、簡単にはきめられません。
 単純に雨だけに限ってのみ考えれば、四方に雨を落す方が壁面を雨にさらす部分が少ないので、壁面保護には有利です。切妻の場合は、妻部分の高い壁は全く雨にさらされたままです。
 木造の場合はどんなに壁面の仕上げを工夫してみても、骨組が木造なので、雨に叩かれることは芳ばしくない。古い日本の家は平家建てか、二階建てでも下家などを設けて、あまり壁面が大きくならないように考慮してあるのが多いのはこのためです。
 軒の出を多くとることも、強い日射を防ぐ意味もありますが、雨による壁体の損傷を防ぐ目的の方が大きい。
 石造とか煉瓦造・鉄筋コンクリート造などは、雨に打たれることをそれほど考慮する必要はないので、特に軒の出を長くするには及びません。
 軒といなどは、元来なくてもよいように屋根をつくるべきです。屋根の棟から伝わり流れる雨水は、深い軒の先から軒下の雨落ちに落ちていたもので、少し念をいれれば、人の出入りするところだけ軒といをつけておけば、不便はなかったものです。
 雨が垂れ流しなら、腐蝕の心配のある木造壁体に対しては、軒の出を長くして、雨にあたらないように注意を払うことにもなるでしょう。
 軒の出はできるだけ長い方が吹降りには有効ですが、構造上からは簡単なことではありません。屋根は垂によって支えられているわけであるため、軒の出は様の大きさや間隔、また様そのものを支える部材の寸法や仕組みによって大きく左右されます。
 五〇センチ以下の軒の出ならば、様は四センチ×四センチ半ぐらいで四五センチ間隔に配置すれば充分です。この寸法で軒の出を一メートル近く出すとなると、軒先が瓦の重みで波打って見苦しい。そこで様は五センチ×一〇センチと成を大きくします。これならば軒先が不均等に下がらなくてすみます。これ以上の出になると、垂だけでは無理で、二重楯にするか、はね木を利用します。神社、仏閣など一メートル五〇センチ以上のものの多くはこのはね木の方法を用いています。
 軒の出を多くすることは、片持梁になるわけであるから、軒先は構造的にも軽くしたいわけです。また軒が長く出ているものほど先端は目立つところです。とりわけ雨水の最終の落ち場所であるから傷み易いので水が切れ易くしておきたい。
 軒先先端の処理方法として、淀・広小舞などによる方法、垂鼻先を基板でかくす鼻かくしの手法などがあるが、この部分は部屋から見れば天井の延長としての見切りの役割と、外からは屋根の先端としての形を決定する重要な要素になるので特に気を配ってほしいところです。
 この部分のちょっとした手法の相違が、建物全体の意匠の扱いにまで影響するものです。
 構造的な安全さと雨水処理の機能を充すことを考慮にいれた上で、軒先のおさめとしたいものです。
 軒先のおさめ方の数例を示したが軒先の厚さは軒の出が多くなれば厚くなりがちですが、意匠的にうまく処理すれば軽快にそして丈夫なものも可能です。軒といは内といとして造り付けのものもありますが、できれば内といでない方がよいでしょう。

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