家具の機能

家具や器具といわれるものには、どのようなものがあるのでしょうか。それらの分け方から、その性格、機能を探ってみると、まず第1は、大きさ、容量による分け方があります。大家具、中家具、小家具、あるいはその大きさが変化する組合せ家具、ユニット家具などです。有名な団地サイズの家具はこの分類に入ります。第2は移動性からの分け方で、建付け家具や移動家具などであり、それらには移動できるが固定した方がよいもの、移動させたほうがよいものといった意味が含まれています。第3は代表的な行動に対応する一連の家具を、食事用家具とか、就寝用家具、団らん用家具、学習用家具などで分ける方法です。その他、大人用、子供用といった使用する人による分け方、布製家具、木製家具、金属性家具といった材料による分け方、重量家具、軽量家具といった重さによる分け方等々様々な分類方法が存在します。

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これらの分類方法は、単なる興味本位でならべてみたわけではありません。家具の持つ様々な機能のなかで、何を最も重視すべき機能としてとりだすかということが、とりもなおさずこの分類方法となってあらわれること、したがって、分け方は家具の機能の把握そのものであることに他なりません。防災を常に念頭におく消防署なら、家具の機能のなかでも、材料の可燃性、不燃性は、最も重視すべき側面です。また運送会社なら、家具の大きさ、重量、破損のしやすさなどが注目の的になります。さらに人々の購買欲をかきたてるマスコミやメーカーにとっては、デザイン様式が最大の関心事となります。
では、よりよい空間秩序を確立することを願う住み手にとっては、一体どのような側面から家具をとらえるべきなのでしょうか。またどのような機能をとり出すべきなのでしょうか。
住まいは、家具類と結びついた住み手の行動の全体の入れ物としてかたちづくられてきました。それは互いに性質の異なる行動の分離が時間的、空間的に求められ、転用による時間的分離が困難となる範囲で空間的に分離が確立し、そこに一つの空間秩序が形戎されるというプロセスによってです。しかし、互いに干渉し対立する異質な行動の空間的分離は、家具類の発達と無関係ではありえません。今ここにある一つの行動の立体的影響圏、作用圏をモデル化して考えてると、まず第1に、家具自体の占有する物理的占有領域があります。これは家具の大きさと形態によってきめられます。第2にこれを使う人間の操作領域、動作範囲があります。これは、その家具を使って行なう住み手の行動の一連の動作範囲によってきめられます。第3はそれらの行動にともなう感覚領域があります。つまりそこから発生する、音、光、熱、臭気などが周囲に達する範囲であり、それらは熱、臭気、音、光となるほど大きくなっていきます。
様々な行動は、このような三つの領域において相互に対立と統一をくりかえしながら全体として時間的、空間的に秩序づけられていきます。そのなかでのいくつかのパターンを示すと、それは次のようなものになります。まず、複数であっても同質であるような行動の間では、それぞれの行動の動作領域、あるいは感覚領域が重なりあい、全体としてその作用圏が小さくなることにより、空間の共用が可能となります。また、平面的に考えれば、占有領域が重なることはありえませんが立体的にこれを見る時は、占有領域が重なるといえないこともありません。
次に、互いに異なった性格を持ち反撥しあうような行動は、これらを時間的に分離するのと、空間的に分離する場合の二つの方法が考えられます。前者は空間の転用といわれるものであり、後者は空間の専用化です。
しかし、異質な行動といっても、すべての領域で反撥するのか、またある領域では共存をゆるすのかという点で分離のパターンが異なってきます。例えば感覚領域のなかでも、音はかまいませんが視線は困るといった場合と、音も視線も困るといった場合では、当然分離の方法も異なってきます。この場合、これらの異質の行動の分離は、その領域以上の広い空間を与えることによって当然可能となりますが、空間量が限定されている時は、その領域が重ならないような人為的分離、すなわち間仕切りが要求されます。空間の高度化、機能分化は、このよ うにして生まれてきました。
家具類、なかでも設備器具の技術的な発達が、これらの行動の作用圏を大きく変えてきました。かつては炊事一つにしても、その行動が成立するためには、薪置場、灰捨場、煙出し、水瓶等々の広大な空間を必要としましたが、それが、電気、ガス、給排水などの各種設備と、これに結びついた電気ガマ、ガスレンジなどの器具によって、わずか10平米内外の空間にまで圧縮されることが可能となりました。同じようなことは、入浴や排泄に外風呂や外使所としてかなりの空間を必要としたものが、上下水道や給湯設備と、便器やバスタブの発達によって、ユニットバスと化したことでも明らかです。
これらは、従来の個々の器具の機能の不十分さを周辺の空間で補っていた段階が、器具が社会的に設備化されることによって機能が高度化された結果、第1に、器具そのものの縮小、コンパクト化、つまり占有領域の圧縮、第2に、その操作が簡略化されることからの動作領域の縮小、第3に、操作時に発生する音、光、熱、臭気などを取り除く、あるいはその影響範囲を小さくすることによる感覚領域の縮小が可能となったこと、そしてそのことにより、不用となったこれまでの空間が除去されていったことを示しています。
このように、設備器具は行動の作用圏を縮小することによって、より少ない空間量をもって、空間秩序を形成することに大きく貢献してきたのです。一方で椅子やテーブル、ペッドなどの対人家具、動作家具というべきものは、住み手の行動に際してそれに必要な姿勢や動作を支持し、行動目的の実現のために、一連の動作をスムーズに進行させる役割をもっています。それは空間の転用に対しては大きい障害となりますが、共用空間、あるいは専用空間においては、動作を平面的にも、立体的にも支持することにより、そのなかでの行動をより確かなものとします。また、タンス、棚、ロッカーなどの行動にともなう種々の物を収納する収納家具ともいうべきものは、第1にものを立体的に収納することによって空間の高密化を可能とし、第2にその収納を系統的に行なうこと、つまり、整理、片づけで裏打ちされることによって、ものの出し入れ、つまり時間の高密化を容易にします。
これらの機能は、第1に、専用空間においてはその行動に固有のものを収納することによって、ますますその空間の専用的性格をたかめ、第2に共用空間においては、それぞれの行動に必要なものの位置を確定することから、動作家具と同様、行動の安定化を図り、さらに収納家具がものの入れ物として、ある一定の大きさをもつことから行動間の緩衝地帯、一種の間仕切りとしての役割を果たし、第3に、転用空間においては、片づけを容易にすることによって、その転用を円滑に行なわせます。
住み手の行動目的を実現するために、その具体的なあらわれとして動作に結びつき、しかも行動の質的発展にともなう行動間の矛盾の解決として、行動の時間的、空間的分離に役立つこと、ここに家具の本質的な機能があり、これから設備器具、動作家具、収納家具の分類が生まれてきます。

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